大学ぼっちだった私に関わり続ける変なやつの話③
彼が学校に来なくなった。
と言っても、サボりである。
基本的に私からラインすることはなく、彼からの連絡を待つ日々。
1度勇気をだしてラインをした。
「学校きてないの?」
自分から連絡するなんてうざくないかな。
でも普段遠慮なくライン送ってくるのは向こうだよね。大丈夫大丈夫。
そんな意味の無いことをつらつら考えてたら数分後返信があった。
「家で寝てた」
なんかほっとした。
そう思ったのもつかの間、「昨日夜遊んでてさ〜
なんだ。遊んでんじゃん。
やっぱ遊び人じゃん。クズじゃん。わかんないけど。
私も遊ばれてんのかな。
そんなことが頭をぐるぐる回った。
モヤモヤ考えてはいても、私から何か詳しく質問することは無かった。
彼女とはどうなのかとか、なぜサボるのかとか。
お昼ご飯の誘いを断ることもなかった。
そうしたらある日、彼女と別れたことを彼から言われて知った。
かといってきっと他にも遊んでる女の子いるでしょと思い(根拠は無いが)、絶対付き合いたくは無いと思った。
なにしろ今の関係は異様に心地よい。
授業を一緒に受けるか、お昼ご飯一緒に食べるか、放課後大学で喋るだけ。その他は何もなし。大学を出たらバイバイするだけ。
ラインもほとんど会う前のライン以外、使わなかった。電話ももちろんしない。
ただ会えばなんだか楽しい。落ち着く。それだけ。
うちの学部では男女2人で授業受けているのは私たちくらいだった。
学部の他の学生からも、異様な目で見られてた気がする。
いや、直接付き合ってるのか聞かれたこともあるから実際そうなのだろう。
でもそんなことどうでもよかった。
そんな生活をしていると、ますますお互い一緒にいることが当たり前のようになっていた。
向こうがたまに授業をサボることはあっても、放課後は必ずと言っていいほど会って喋っていた。
集まるのは決まって7号館のフリースペースである。
会う前には決まって彼からラインがくる。
「しゃべろ」
最初はどこいる?って確認があったが、
次第に「7号館」とだけ送られてくるようになり
ついには「7」とだけくるようになった。
そんなたった1文字のラインがたまらなく嬉しい。
逆に誘われなかったときは、落ち込んだ。
誰に見られてる訳でもないけど「私は別に平気だよー」という振る舞いをして帰った。
私は普段バスで駅から大学まで通っていた。
徒歩だと30分くらいかかる距離である。
彼と毎日放課後喋るようになって、ある日
「駅まで一緒に歩こう」
彼は突拍子もない提案をいつもしてくる。
私も私で「バカだ」といいつつ結局その誘いに乗ってしまうのである。
駅までの道中、大きい道路から少し逸れると細い路地になり、橋を渡った先に小さな公園がある。
ブランコと馬の揺れる遊具しかない小さな小さな公園。
真っ暗な公園で寄り道をしてブランコに乗ってみる。
また歩き始め、コンビニによってお菓子とか買ってまた寄り道。
お互い帰る時間を延ばす方法を寄り道で作り出す。
「好きかもしれない」
④へ続く。