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大学ぼっちだった私に話しかけてきた変なやつの話

夏が終わりかけようとし、窓を開けると心地よい風が吹き込んでくる9月。

新社会人生活もそろそろ"なれない生活"と名乗れないほどには身体になじんできた。

そんなとき、大学一年生のときの日記が出てきたので、当時のことを書き出してみようと思う。


大学入学してから、私は友達を一人も作れないでいた。

入学式後、勇気を振り絞り話した子も、他のグループに入って私のこと見向きもしなくなった。

自分からグイグイ話しかけられない性格に落胆しながらも、ぼっちのまま私の大学生活はスタートをきったのである。

授業は一人でうけ、お昼ご飯ももちろん食べる相手がおらず。

ひとりで人の多い学食に行く気にもならず、人気のないベンチでおにぎりを素早く食べて図書館で時間を潰す生活がはじまった。

昔から友達付き合いがうまくいかず、小学校ではぼっちだった苦い経験はあるが、
またぼっち生活に戻ってしまったのかと胸がいたんだ。


そんなある日、午前の授業が終わった私は一人でお昼休みに向かおうとしていた。

1番後ろの席で机を片付けていると、ひとりの男子が前の方からやってきて声をかけてきた。

見上げると確か、他の授業のグループ学習で同じ班になった、身長が高すぎる男子である。(後から聞いたが身長187センチの長身だった。)

「一緒にお昼食べよう。」

そう言われた私は、なぜ私なんかに話しかけてくるのか理解が追いつかないに決まっている。
だが、ただテンパるダサいやつにはなりたくないと思い、何食わぬ顔でその提案を受け入れた。

「いいよ。食べよう。」

学食の人混みが苦手な私の意見を聞き入れてもらい、ベンチで食べることになった。

何を話したかは正直覚えていないが、部活やバイトなどたわいもない話をした気がする。

「サークルは入る予定あるの?」
「軽音かな〜」
「そうなんだ。うちの親もバンドやっててさ〜」…

日記には「あの人、私の好きなバンドのボーカルに似ている。」とだけ書いてあった。


その日から、毎日のように一緒にお昼ご飯を食べる仲になった。

午前の授業が始まる前に、必ずと言っていいほど彼から「ご飯たべよ」とラインがくるのである。

コミュ障の私も、彼となら不思議と気を張ることも無く、落ち着いて隣でご飯を食べられる。

向こうには仲良いグループがあるのにもかかわらず。
どうして私なんかと。
そうは思いつつ、午前中は彼からのラインを気にしながら授業を受ける日常を送っていた。

たまに、「1限一緒に受けよ。どこいる?」

そんな誘いから、授業で私の隣の席に来ることもあった。

ぼっちで地味な私にかまうなんて心底変なやつだと思った。

しばらく話すうちにわかったのは、恋愛観が合わないことと別の学校に好きな人がいること。くだらない話をしていても気を使わず楽しめること。

「モンブラン食べたことない。」
と私が言うと、

「それは人生損してるわ。」
とモンブランを過大評価する。

そんな食べ物の話なんてして意味があるわけじゃない。けど楽しい。

ここにきて初めて男友達ができたかもしれないと少し嬉しくもあり、恋愛対象にしてはダメだとも思っていた。


そんな日々が少しすぎた頃、私は部活に入り新しい友達ができた。

それと同時期に、あの人に彼女ができた。


②へ続く


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