「特撮」堂々巡りその7
ところで、特撮ものについて語ってきたが、流石にこれは特撮ではなかろうという作品もある。
「UFOセブン大冒険」
「マジカル7大冒険」(1978)
「少女探偵スーパーW」(1979)
「スターダッシュNo.1」(1980)
「ピンキーパンチ大逆転」(1982)
これら作品は、UFOセブンは未来のタイムトラベラーの話、マジカル7はオーパーツの石像の力で時を超える話、スーパーWは宇宙人と地球人の少女コンビが事件解決、スターダッシュは幽霊に見守られたスターの卵の話
ピンキーパンチは宇宙からきた少女戦士たちの話。
SFにファンタジーである。
ただ、これらはドラマ仕立てのバラエティ番組なのだ。
美術もドリフターズのコントレベルである。色々拙いのは見ている子供にも伝わるのだ。
ドラマというにも苦しい感じだ。
ただ、子供の自分が毎週楽しみに見ていたのも事実だ。
少女探偵スーパーWは宇宙人の少女は変身能力で捜査をするが「鏡を見ると死ぬ」ため、相棒が毎週蘇生させるのだ。
ある回では彼女は座頭市に変身し、刀に映った自身を見て死んだこともある。
ところで、これらはアイドル主演だからか女性が活躍するものも多い。
「美少女戦士セーラームーン」が10年後と思えば、ちゃんとドラマとして制作すれば、歴史が変わっていたのではないか。
そう思うと数年後に一世を風靡しセーラームーンや「美少女仮面ポワトリン」(1990)に先鞭をつけた「スケバン刑事」(1985)の前哨戦の感もなくはない。
1980年代はアイドルの時代なのだから。
これらはTBSだが、東京12チャンネル(現テレビ東京)では同時期に「お化けのサンバ」(1980)と「もんもんドラエティ」(1981)というモンスターを題材にしたドラマ仕立てのバラエティを放送しており、もんもんドラエティでは日本の吸血鬼俳優として特撮ファンおなじみの岸田森がドラキュラ役である。
いや…もんもんドラエティには日本特撮史上無視できないコーナーがあるのだ。
「お茶の子博士のHorrorTheater」である。
突然赤い服のお茶の子博士が現れて、正味三分のホラーの短編映画が流れる。
アベックが狭い空間に閉じ込められて焼死、突然殺人鬼に襲撃される、テレビに映っていた殺人者が現れて殺していく、隕石の物体を拾った男が宇宙生物に取り憑かれ怪物になる、怪獣マニアの青年が怪獣に踏み殺される、本に襲われ食われる、突然霊に踏切に突き出される。
お茶の子博士の正体は映画監督の手塚眞。
ぴあフィルムフェスティバルに参加していた手塚の才能に目をつけ声をかけたという、途中からホラーだけではない、「手塚眞のお茶の子シアター」に改題したが、当時プロ作品でも珍しい特殊メイクなどを使い、不条理な死ばかりか肉体損壊まで描く。
思えば、当時の日本のテレビに他にこの映像を置ける場所はあっただろうか。
いや、私も怖すぎて途中から目をそらしていたし、クレームも多かったらしい。
しかし、今にして思えばこれは日本特撮ばかりか日本の映像史に於いてもこの番組はマイルストーンだったのではないか。