応用情報に駆け込んだ 午後の後半編
10月13日、いよいよ午後の部、ほんとうの選択問題と取っ組み合った。
残りの3問を選ぶ
とりあえず2問は片付けた。ここまでで1時間は使っていなかったと思う。
根拠のない若干の余裕に身を委ね次の問題を探した。
性格の問題だが好物は後に残しておくタイプだ。とはいえ本当の本当は心の余裕なんて無い。心の奥底を覗いていたらたぶんここでくじけている。
矛盾を抱えながらも考えた。答えがかっちり出るネットワーク(たぶんできる)、データベース(まだ未練がある)、組み込みシステム(やってみないとわからない)は後に回そう。うまくいけば時間もかからず解いた後にすっきりできる。情報システム開発(3番手筆頭前頭だった)も今回は固い答えになりそうだ。逆にサービスマネジメント(テーマ表からさっぱり想定できない)とシステム監査(モヤるけどいけるはず)をどうするか。
思春期以上に悩みを抱えながら、結局、試験前から選んでいたサービスマネジメントをやり始めた(だったらさっさとやれよ)。
ただ結果的にこれは失敗だったと思う。
問10「サービスマネジメント」をやって苛つく
問題一覧のテーマには「サービスデスクの立上げ」とだけ書いてあったやつだ。手抜きすぎじゃね?
実際は中堅電子機器販売会社(ここはあんまり関係ない)の営業支援システム(ここもあんまり関係ない)の社内向け対応をしてたシステム開発部サービス課で手一杯になったんでサービスデスクを作ってそこに移管しようって話をサービス課のサービスマネージャのC君に検討させたら経験豊富な担当者は暗黙知で手早く処理してるらしいってところまでは突き止めたからC君をサービスデスクのサービスマネージャにしてサービスデスクの業務経験豊富な人を新規で雇ってC君の配下でサービスデスク業務を担当させるんだけどサービス課の業務は減らしたいからサービスマネジメントのうちの定型のやつを洗い出してサービスデスク要員は詰めようって話だった。
何回サービスって言ったかを当てるクイズではない。
しかもシステムには(もはや名称は関係ない)標準変更というやつとは別に通常変更というのがあってどうやらサービス課の担当者は操作マニュアルを持ってるみたいなんだけどもうちょっと気を利かせて問合せ対応ノウハウ集を作ることにしたんだけど先にどうやら定型業務手順書っていうのを作ったらしくしかもこれはできがいいとかってC君は自負してるんだけど上司のD課長からは定型化できるやつを洗い出せって言い出して問合せ件数を調べたら定型業務手順書に則って処理する標準変更を1日8件受けててそれ以外にも問合せがあるからさてどうしましょうという問題だ。
D課長の方針はサービス課の業務量が増加しそうだし長時間残業されたらリンダ困っちゃうから業務をなるたけサービスデスクに押し付けてついでに初っ端で答えられるかどうかっていう一次解決率バク上がりさせたら顧客という名の営業たちも満足するんじゃねって考えてて本当に満足したのかよって知りたいからKPIを作れってC君に命じるんだけどさてこの場合D課長が満足するKPIはなんでしょう?
今読み返してもイライラする。サービスデスク作って人雇いながら人詰めるぐらいならDXやりなよ。しかもサービスデスクってサービス課の中にあるんじゃないの?サービスデスクの人は扱いを変えるってわけ?だいたいさ。何回同じこと言ってんだよ。などと余計なことを思ってしまったので終わった。
この状態になったても答案用紙に全部答えを書いたものの最後に捨てた。
ちなみに最後の工数計算は問題文の将来2割増しで余裕も2割見とくってところを読み飛ばして間違えた。てへ。ぺろ(計算の途中の小数も繰り込まないとたぶん不正解になる)。
自己採点(あちこち平均):11.0点。
今、答えを思い出した限りでこの点数。最後に選んだ情報システム開発より高かった。見なかったことにする。
問11「システム監査」で挽回を狙う
全部答えながらもまるで納得のいかない問10に翻弄されて時間をすっかり費やしてしまった。ただ、これは自分のせいだ。余計なことを考えずに文面だけ追って淡々粛々とやってれば点数が稼げた問題だったと思う。ただただ体力だけが相当削られた。
ここから最低でも2問、できれば3問やっつけたい。これでシステム監査が穴埋めじゃなかったら組込みシステムあたりをやってたような気がする。
問題には大きく穴埋め形式と下線部形式に別れている。個人的には迷うこと無く穴埋めだ。下線部はどこに引いてあるのかを追いかけるだけで疲れる。しかもようやくみつけても番号が違ったりして、そんなことをしてる間に今度は問題のほうを忘れる。目と物覚えの両方が悪いとこういうことになる。その点穴埋めは箱(穴)の位置が目立つので押さえやすい。
だいたい応用情報の午後はこの追いかける作業が大半だと思う。あんまり本質的じゃない気もする。でも、それだから助かってる気もする。本質を突かれたらたぶん答えられない。
話を戻すと、過去問をやった限りではシステム監査はモヤる。だいたい今回のサービスマネジメントのような状態になる。それで後回しにしたんだけど1問分のビハインドを挽回しようってなると確率の高さではこれかなと判断した。「判断した」なんて書いたけどもう目はバッキバキだったと思う。
解きはじめてちょっと元気が出た。これってAIじゃん!別に詳しいってほどじゃないけどけっこう好きかも。テーマにちゃんとチャットボットって書いてありましたけどね。ただ日頃からよくある世の中のFAQのなんちゃってAIにはうんざりしてて汎用の生成AI頼みで生きてる者にしてみるとこれは答え甲斐がある。
しかもざっと読む限り監査っていうより単なるレビューじゃん。と、問題本文の「監査部長の指示」のところに書いてありますけどね。しかも穴埋めの答えが「レビュー」らしいんだけど大丈夫なのか心配になる(各予備校の模範解答が全部「レビュー」だった)。システムの受け入れテストがって言ってるぐらいだから「フェーズゲート」とか「ステージゲート」とかではないよね?「デザイン」とかも付かないよね?実務を取っていた頃には名前なんてどうでもよかろうと高をくくっていた罰が当たりそうになった(避けた)。
それは置いてもありがたかったのは設問が単純だったことだ。ほぼ「穴を埋めなさい」としか書かれていない。その穴の箇所は周りの文章からも一般的なAIやレビューの知識からもおおよその文言を想定できた。あとはそれを文中から探せばいい。闇雲に読むのとはわけが違う。
さはさりながら前の問題で時間を食いつぶしてるのでさっさとやった。
自己採点(あちこち平均):16.0点。
余談だけど(余談ばかりしてるけど)お客様からのお問い合わせチャットボットの対象として新製品以外の現行の何とかも対象にしなさいよって指摘に関して何とかとは何かという問題があった。各予備校の模範解答は「季節性のある製品」が大勢を占めている。ここを「製品」とだけ答えた。確かに問題文には「季節性」という言葉もあった。試験テクニック的にはそれを書くべきなんだろうけどそこに限定するような話は問題の中に無い。受験生が集う掲示板だと学習用のデータベース整備の負荷を考えたらある程度は限定するのうだろうという意見もあった。もしそれが現役のメーカーの人だったらちょっと反省してほしい。ユーザーが求めているのは自分の買った製品の答えだ。メーカーの都合なんて知ったこっちゃない。これだけは真面目に言っている。
問5「ネットワーク」で息を吹き返す
なんて偉そうなことを言ってる場合じゃない(試験中は静かにしてました)。システム監査はけっこう早く解けたので次行こう、次。
ここからは技術系だ。わかるかわかんないか、かなりはっきりする。ぬっこ状態はない。
まず冊子をパラ見した限りで構成図が簡単だったネットワークに手を付けた。
これは家で過去問をやった時よりも速いタイムを叩き出せたんじゃないかと思うぐらいスラスラ解けた。
幸いだったのは文字数限定アルファベット問題の答えがすっと出てきたことだ。NAPTとURL。長期記憶にはいささかの自信もない(短、中、長、全て網羅しております)。こういう基本的なやつもたいてい指示語連発になる。それが。出た。わお。奇跡。
気分が良くなって問題文と構成図をなぞった。解ける。解けるぞ!確認する環境?サンドボックスだろ?選択肢にあるじゃん!
自己採点(あちこち平均):18.0点。
これでとにかく5問解いた。
ところで文字数指定が無かったらNATとFQDNって書いてたかもしれない。NATは昔の知識、FQDNは試験対策でようやく覚えた最新知識だ。ITが発展してきたのと並行して仕事をしてきた。その間に用語が増えた。それも略語かカタカナ。「IT」という言葉すら無かった頃は、よくて「情報システム」、へたすりゃ「コンピュータ」で話は済ませていた。なんなら「コンピュータ」か「コンピューター」で揉めていた(単なる決め事だった)。SIerに勤めてたけど(勤めてる間にSIerって呼ばれてることも知らなかったよ)、大昔、営業が持ってきた客からの問い合わせメモには「ラン」ってカタカナで書いてあった。走らんし。
問8「情報システム開発」でおおいに勘違いをする
などと、調子づかなければよかった。ただ、どうしてもサービスマネジメントの答えが嫌だった。試験の答えに好きも嫌いもあったもんじゃないけど、「こんなんで受かったって釈然としない」と柄にもない不思議なことを考えていた。今なら言えます。受かりゃいいんだ、受かりゃ。
ただ時間の余裕はあった。確率を上げるのにもう1問ぐらい解いてみて当たりがあったら儲けものという気持ちもあった。それでここから3問、いわゆる技術系問題を食い散らかした。
まずやったのが情報システム開発だ。クラス図は一見ややこしそうだがそんなにたいしたことはないと踏んだ。実は図はたいしたことなかったけど凡例がたいしたもんだとわかったのは模範解答が出てからだ。最初の送信例の図なんてちょろいと思って斜めに見た。これが誤りだとわかったのも後々の話だ。
そしてなにより1問目の穴埋めで「あれ?気づいちゃったんだけど。これってさ。オブジェクト指向じゃん!」と思い込んだのが間違いだった。問題一覧にもオブジェクト指向と書いてある。問題本文中にも度々出てくる。なのになぜかしら自分で気づいたつもりになっていた。
脳内に何か変な物質でも出ていたんだろう。「カプセル化」と「継承」の記憶の抽斗はすんなり開いた。この調子で次の。ああ?なんだっけ、メソッド呼び出しても処理だけ変えるやつ。タン。抽斗が音を立てて閉まった瞬間だった。「ポリモフィズム」もしくは「多相性」。この後の記号式のところでちょっとだけ開いた。「オーバーライド」。でもすぐ閉まった。
残りはメソッドやクラスを答える問題で後になってよくもまあ見事にと我ながら感心するほど逆へ行った。親クラスを継承した子クラスのメソッドが「データ取得()」はなんとか合っていた。でもそれ以外は。「できない」だ(できます)。FTPSとCSV(じゃなくてXMLにHTTPSです)。プロトコル(違う、フォーマット)。クラス作成の親はなんと答えたのかすら覚えていない(問題用紙にメモする余裕も無かった)。
正直、この辺になると削られすぎて切れるか否かの瀬戸際だった。鉛筆と消しゴムってもしかして拷問の道具かなんかのために発明されたんじゃないの?
自己採点(あちこち平均):6.6点。
なんで試験中に「情報システム開発…けっこう、いけたんじゃねーか?」と思ったのかわからない。
問6「データベース」と問7「組込みシステム」を生齧る
「もうええでしょう」。そんな声が聞こえてくる…んだったらよかった。
いったん湧き出た脳内物質はあっという間に大脳皮質新皮質を蹂躙した。まともな判断?「はぁ!?」。ピエール瀧より小池栄子のほうが強かった。
この期に及んでまだデータベースに未練があった。SQLさえクリアできればけっこう正解率が高いと思っていたからだ。よせばいいのに手を出した。あれ?これ、何だっけなー?思い出せそうな気がした。"WITH RECURSIVE"。模範解答にはそう書いてある。見たこともない構文だった。何を持って思い出そうとしていたのかさっぱりわからない。そう思いませんか?
さすがにくたびれ果てていた。普通の受験生はこういう時にどうするんだろう?やっぱり解き終わったところの見直しかな。組込みシステムの問題を見たりしないんだろうな。
見てみた。ああ、イヤホンで電話が掛かってきたり"OK! Google"って呼びかけたりするとどうなるかって話か(最近は"Hey!"って言うの?)。へー、音楽と電話だとクロックって変えるんだな。数字書いてあるし計算だね。なんで見たのかわからない。ただ感想だけを述べるにとどまった。
さすがにこれで新しい子に手を出すのは辞めた。見直しするにも終了時間が迫ってて焦るとしくじりそうなんでそれも辞めた。
採点してもらう1+4問を選ぶ
あー、終わったー。ではない。
最後に問題用紙の左下、選択する5問に○印を付ける作業が残っている。これだけは何が何でも忘れてはいけない。
とにかく5問。といっても必須の問1セキュリティには最初から○印が印刷されている。
残り4問。問4システムアーキテクチャと問5ネットワークはできた気がする。これはぜったい選ぶ。
残り2問。さて。答案用紙には後3つ答えが書いてある。実際にはデータベースと組込みにも答えらしきものが書き散らかしてある。ここから何を選ぶか。システム監査はいけるんじゃないか?と思う。いける。と信じたい。サービスマネジメントは採点がブレる。こんなんブレんわけがない。公式な合否が出るまでずーっとモヤる。かたや情報システム開発は(「かたや」と言ってるぐらいでいったん2択になった)できてる気がする。いや、できた。己のオブジェクト指向の知見を全て注ぎ込んだ。あってる。きっと。でも、もし外れたら全滅する(結果、した)。となれば、監査と開発で。いや、サービスは少なくとも部分点は稼げる。と思う。一か八か安全見るか。
一か八かに出た。ぐりぐり丸を書いた。
試験が終わって日が暮れて
そんなこんなで退室可能時間もとっくに過ぎ(試験終了10分前からは退室もできない)タイムアップを待つだけになった。そういえば先に退室した人もいたにはいたけど少なかったな。合格確定教室(妄想に関しては前半戦をお読みください)の割りにはけっこうみんな粘ったな。お疲れさま。
試験官の終了の合図で答案用紙が集められた。
ほんこにほんこの終了。精も根も尽き果てるだっけ。弓折れ矢尽きるかな。戦いすんで日が暮れてかも。スマホ見てーな。検索かAIで一発なのに。こういうとこだな。きっと。
真っ白な灰と消しゴムのかすをかき集め荷物をバッグに詰めて席を立っ…立っ…ジョーだと思ったらクララになっていた。立った。
ぞろぞろと校舎の階段を降りる。受験生が。同じようなスタイルの。どいつもこいつも個性が無いな。そんなことを考えながら。
1階に着いた。みんなが左に行ったので右に行く。人混みは嫌いだ。校舎から出る。外の空気を吸った。中には同じ方向に来た人もいた。歩きながらストレッチをしている。本人はストレッチのつもりなんだろう。でも端からだとゆーとぴあの「よろしくネ!」にしか見えない。ダメだ。疲れてるネ。
ぼんやり歩いた。キャンパスは広い。校舎はどれも似通っている。迷子になった。
発表を待つ(待っている)
試験は終わった。でも受かったわけじゃない。合否はいつわかるんだろう?受験票にも書いてないし。
調べてみると「だいたい2カ月後」ってことになっていた。「だいたい」ってなんだよ。と思っていたけどIPA自体が試験後にスケジュールを発表する仕組みになっていた。実際の受験者数見合いなんだろうか?ここも後付けサクサク方式なんだろう、たぶん。
で、何日かして発表されたスケジュールは…12月26日木曜日正午…だと…
遅くなったけど。はい。これ。クリスマスプレゼント。ってことか。乙女か。
落ちて聞く除夜の鐘。辛すぎだろ?
待ち切れない(待ってられるか)
待ってられないので自己採点をした。
といってもIPAの公式な模範解答が出るのは12月24日だ。きっと受験生の解答見て「あ…こう来たか…そんなつもりじゃなかったんだけど…みんなの答え見るとなんかそっちのほうがあってるような気がしてきたんですけどどうですかね?」「あ…なるほど…これ不正解にするともめそう…そんな気がするんですけどどうでしょうね?」「あ…もめるな…もめますね、これもめちゃいますね…もめ事が起きそうですね。もんでももまれたくないんだけどどうしたらいいでしょうね?」「あ…そういえば…前にももめそうになってもみ消しましたよね。ね。みんなでやりましたよね?」みたいな話があるんだろう(もし不合格だったらこれを見られたからだということにする)。
ところが世の中、奇特な人がいる。予備校だ。先に模範解答を出してくれて、しかも予想配点まで付けてくれている(IPAは配点を公表していないので各社の独自集計らしい)。中には会員登録をしないと配点予想を教えてくれないところもあるけどたいてい無料だ。資格を取り始めると受かっても落ちても「じゃあ次やってみっか」ってなる人が多いのかな?
▶️大原
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おしまい。
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