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理科系作文の作り方⑤

※上記の本を参照
※前回の続き


■格の正しい文を


言葉同士の関係がきちんと保たれた文。『ある言葉』が抜けてしまっていたり、ねじれていない文のこと。

例1
ここで問題となるのは,前に述べたように,端子容量とケーブル容量が大きすぎると発振が停止したり,不安定になったりする.

「ここで問題となるのは〜」から始めるなら最後は「〜である」と終わらせるべきなのに、問題を示すのではなく問題である状態(発疹が停止したり、不安定になっていること)を伝えるだけで文が終わっている。

このように途中で主語が変わった文を『ねじれた文』と呼ぶ。

例1(修正後)
ここで問題となるのは,前に述べたように,端子容量とケーブル容量が大きすぎると発振が停止したり,不安定になったりすることである.

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例2
本稿では(中略)資料管理の全体を取り上げることは避けて,各企業に共通する主題にしぼり,客観情勢にそれぞれどのように対応しているかを具体例を中心に述べることにする.

この場合は「何の」各企業に共通する主題なのか、「何が」客観情勢に対応しているのかがわからない。

例2(修正後)
本稿では(中略)資料管理の全体を取り上げることは避けて,話題を各企業に共通の問題にしぼり,各企業の資料管理者がそれぞれ客観情勢にどのように対応しているかを具体的に述べることにする.


※以下は演習問題

演習問題
アルミニウム製錬は電力多消費の代表のようなものなので,別項にのべるように電力単価の切下げ,別の新製錬法の開発努力もしているが,電力の安価な地域へ出かけて製錬することが計画されている.



■紛れのない文を


意地悪く読もうとしても他の意味には受け取れないような書き方をする

例 黒い目の綺麗な女の子

これは8通りの意味で読めるとのこと。
以下のようにコンマをつければ分かりやすくなりますが、私は頑張って7通りでした。

「黒い」  「目の」  「綺麗な」  「女の」  「子」


① 目の黒い、容姿が綺麗な、女の子

② 目の黒い、容姿が綺麗な女性の、子供

③ 綺麗な黒い目を持つ、女の子

④ 綺麗な黒い目を持つ女性の、子供

⑤ 綺麗な女性の、黒い目をした子供

⑥(何かが)黒い、目の綺麗な女の、子供

⑦(何かが)黒い、目の綺麗な、女の子



誰が見ても、同じ意味で受け取ってもらう文にする為には、修飾語を置く位置を修飾すべき語に密接させるのが原則。

誤解できないように書き直すには、何度も文を組み立て直し、疑いの目を持って読み直す必要がある。



■簡潔


荒っぽくても良いから簡潔に書く。
以下は添削が必要な例文。太字の部分が必須ではなく取っ払ってしまっても意味が通る部分。

例文
組換えDNA研究を実施するためには,分子生物学に関する基礎的素養はもとより,微生物とりわけ病原微生物の取扱い方法等を身につけた人材が不可欠である.
しかし,現在のところ,組換えDNA技術に関する十分な教育訓練を受けた専門の研究者は比較的少なく,しかも,そのほとんどは大学等基礎研究機関に所属する研究者であるのが実情である
また,病原微生物の取扱いに関する教育訓練は,医学・獣医学などの分野以外ではほとんど行われていない.
したがって,高度の専門能力を有する人材を養成するため,大学等における教育の充実を図るとともに,組換えDNA技術,病原微生物の取扱い,物理的封じ込め等に関する教育訓練を行うことが望ましい.
また,この分野の研究者がなお少ない現状にかんがみ,広く国全体において共同研究,人材交流などを強化することにより組換えDNA研究を推進することが効果的であるので,国としてもこのための措置を講じることが必要である.


例文(修正後)
組換えDNAの研究には,分子生物学に関する基礎的な教養があり,微生物ことに病原微生物の取扱いに習熟した研究者が必要である.こういう研究者は絶対数が不足で,しかも大学その他の基礎研究機関に偏在している.病原微生物の取扱いの教育訓練が,医学・獣医学などの分野に限られている点にも問題がある.対策として,大学における関連諸科学の教育を強化するとともに,然るべき場所で組換えDNA技術,病原微生物の取扱い,物理的封じこめなどの訓練をおこなう必要がある.この訓練は,次節で提案する総合的な研究施設に担当させるのが適当であろう.また,民間研究機関をも含めて共同研究,人材交流を促進するように国が措置すべきである.

単に短ければ良いものではなく、無くせば意味の通らなくなる単語・用語は残しつつ、限りなく無駄な言い回しを省く事が理科系の文には求められる。


本日はここまで。

◎今日の呟き
今朝は布団が暖かく、5時に起きたのですが、三度寝をしてしまいました。理性に本能が負けてしまったんですね。朝走れなかったので帰宅してHIITを実施しました。
作文の技術を学ぶと必ず「できる限り短くする」ということが書かれてあります。意識していればあるい程度短く文を矯正できるのですが、惰性で書いていると意識が緩んできてしまい、当初の注意力はどこへ行ったのやら、ひどい文章になります。
というより、毎日のサラリー仕事をこなしながらのnoteはなかなか答えます。でもこの負荷に慣れれば、それが自分の力になると信じて続けている僕がいます。








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