![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/38957455/rectangle_large_type_2_ecd8d59ae0c530939484c113e9d7c36a.jpeg?width=1200)
理科系作文の作り方③
※上記の本より抜粋
■パラグラフ(段落)序説
段落の満たすべき条件として、そこで何を言おうとしているのか一口に概論的に述べた文(トピック・センテンス)が含まれるのが通例。
段落に含まれるその他の文は
・トピックセンテンスに述べた事を具体的に説明する
・そのパラグラフと他の段落との繋がりを示すもの
上記のいずれかである必要。
日本語の場合、以下の3つの理由からトピック・センテンスを最初に書くというルールを守るのは難しい。
①先行する段落との繋ぎの文を初めに書かなくてはいけない場合がある
②毎回トピック・センテンスを頭に書くと文が単調になりがち
③日本語の特性(述語が文末に来る)がそうさせない。
だが、理科系文(論文など)を書くとき、初心者はなるべくトピック・センテンスを頭に持ってくるように意識すべき。
段落の長さは200字から300字を推奨。
短すぎる段落が続くと読者に散漫な印象を与えてしまう。
理論物理学者のレゲットが日本の物理学者へ化学英語の書き方についてのエッセイを寄稿していて、そこに「レゲットの樹」と呼ばれる日本人と欧米人が書く文章の構成図の比較がある。
日本人は文章を構成する時、読み終わってはじめて全体が理解できるような文を作るが英語の文章ではコレは許されない。
英語では「読者が補って読んでくれるだろう」という部分もくどいほど明確に考えの道筋を書く習慣がある。
「明白でない」よりも「くどい」をよしとする。
■ハッキリ言い切る姿勢
日本人はゆかしさもあってはっきりと言い切らない文を良く作るが、欧米の人からすれば著者の考えは不明確で支離滅裂だと思われる。
これはそれぞれの文化の違いが原因と思われる。
欧州は契約社会であり何をするにも契約がつきまとう。
異文化の者同士が同じ生活圏にいることで、契約を交わす際に暗黙の了解など成り立たない。
徹底して明文化させた文書でもって契約し、食い違いがあれば徹底抗戦する。
日本は反対に島国であり、方言の違いこそあれど同じ日本語で、生まれ育った場所は違えど欧州のような「異文化」とまではいかない日本語の通じる範囲の他者と触れ合うことがほとんど。
移住することもそうそうなく、世間が狭い為、まず周辺住民との関わりの中で角を立てないことが重要とされてきた。
同調をよしとしてきたが為に、言わなくてもお互いに「察する」文化が根付き「明白でない発言」も思いやりの側面を併せ持ってることもあり美徳化されてきた。
日本人的に言えば「〇〇であろう」という言い回しは「○○だ。」という断定的な言い方の、より丁寧な形として使われるが、欧米人種にこれは理解できない。
日本の会議ではのらりくらりと言い切る形を避ける傾向がある。そのせいで結論に行きつくまでに余計な時間がかかっているケースが多い。
フランスには「鮮明な言葉はフランス語ではない」という言葉がある。
日本には「はっきりした表現は日本語ではない」という言葉がある。
文化の違いによる文章の作りに差が出ることは仕方ないし、言い切らない美徳もあるが、理科系の作文を作るのであればはっきりと言い切った方が良い。
思えば日本語には、普段から『約』『おそらく』『ほぼ』『ほど』『ぐらい』『たぶん』『ようだ』などのぼかし言葉が多く日常で使われている。
理科系作文を作る際には、それらを使う際にそれが本当に必要か吟味する必要がある。
本日はここまで。