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読書感想文〜孤独の意味も女であることの味わいも〜
情報番組のコメンテーターとかで露出されている、美しき国際政治学者の三浦瑠麗さん。
ノーブルで凛としたファッションも相まって、とても女性らしいビジュアルで、クールでクレバーな発言に大物や有名人もタジタジ。
おばちゃん的には、うーん天は二物を与えるなぁっていうのが率直な印象でした。
あまりにもかけ離れているし、研究領域についての私自身の無知も相まって、たぶん、普段だったら手に取らない類の本なのですが。ツイッターで勝手にフォローしていて感想がたくさん目に留まり、思わずKindleでポチッとして読みました。
実は2度読みしています。
1度目は、私が勝手に想像していた「中学から私学のお嬢様」的なイメージとはまるでかけ離れた、彼女の苦しすぎる軌跡が、全然裕福ではなく地方出身の自分の昔の心情を一部思い出させ、息苦しくなったため、ざぁーっと読み流してしまいました。
彼女のようにすごく優秀ですごく美しくなくても、地方出身でなんとなく周りから疎外感があり、家庭に経済的余裕はなく、自身が道を切り開いていかざるを得ない女性だったら、深いところで共感できてしまう話です。
さらに彼女と同じく、娘であり、かつ娘を持つ母ならば、なおさら。
思うに、彼女は幼少の頃から思慮深く、少し大人っぽく女性らしい容姿だったのではないかと推察します。だから、母親はその歳不相応な大人っぽさや女性性を隠すために、意識してか無意識か野暮ったい服装を強要したのでは。
私の5歳くらい下の彼女。子ども時代の地方では特に、女性に母性や社会的女性らしさを求め
、もっといえは、女性は弱く守るべき組み敷く存在、という見えざる意識が強かった。
こうした価値観にうまーくハマれば良いですが、そうじゃないとなにも選び取ることができない、中学生までがとにかく息苦しい。
また、自分の母親が子どもがみせる女性性を忌み嫌うことを十分に理解しているからこそ、深く悲しい痛みやなにかも母親に明かすことができず、自分1人で我慢して押し殺して封印する、彼女の究極の孤独が深い。
さらに大人になって、自身が結婚して母になったり、母になろうとするときにも、その呪縛がある。
三浦という姓が夫の姓であることが、この位の地位の方が旧姓を使わないのが意外であり、逆にしっくりいくといいますか。それが当たり前の世界で育ったからでは?とも思います。
子どもを持つことに対する悲しみや執着。「八方美人」と彼女が表現するとおり、仕事も育児もちゃんとやろうとし過ぎてしまう。仕事があるからって、よいお母さんじゃないと思われたくない。
自身の母が、複数の子を産み育て、三食しっかり作り、裁縫弁当教育をきちんとしていればしていたほど、呪縛がきつい。
そうした描写が、全てシンクロするわけではないですが、頭の中で自身の昔を思い出させて、胸がざわつきました。
さらに言えば、仕事のポジションの不安定さも、息苦しさに拍車を掛けます。彼女の場合は、仕事についての自立は夫の要求ではありますが。
でも、あまりにざぁーっと読みすぎて、ザワザワしたままの読後感だったので、再読。
2度目は、とくに前向きな共感が強かったです。とくに最終章を精読できたから。
ものすごくざっくりと言うと、歳を取るっていいね。経済的自立っていいね、ということ。
経年と自立と自由がもたらす、ニュートラルな孤独。さまざまに経験し感じてきたからこそ、娘がみせる女性性に恐れ戦かない心持ち。
かなり清々しい読後感で、硬質で無駄のない文章もあいまって、自己肯定できる内容でした。
ふと、西原理恵子さんの本にも似てるなーと。真正反対にみえて、地方、家族振り回され、美人、都会、個を際立たせる創造的な仕事、母となる、逞しさ、が私の中でピタリはまりました。
女性の孤独に万歳、です。