病院実習の時に、大学の先生って何しているんですか? その1
面と向かって、誰かにそう尋ねられたわけではありません。
そして、これは「私(糠信)」というごく特異的な人間の勝手な戯言です。
①学生さんに指導や助言をする
②学生さんと一緒に患者さんに関わりに行く
③自分自身が患者さんと楽しく関わる
④教員として必要な仕事をしている
⑤勉強をしている
なんとなくですが、この辺りかな、という気がします。
①学生さんに指導や助言をする
言うまでもありませんが、大事ですよね。病院実習(臨地実習)は看護学生さんにとって本当に大きな学びと成長の機会です。「学校で習った知識を活かして実習する」というのは”できたらいいね”とは思うものの、実際には「そういえば聞いたことがあるな」と思ってもらえたら上等。教員は教えたつもりになっていても学生さんにとっては「聞いたことありません」ということも珍しくないので、責めるべきは学生さんの記憶に残る講義を出来ていない自分自身。
「学生さんの理解の理解が浅い・視野が狭い・考えが足りない」と言ってしまう先生もいるけれど、今まさに成長している学生さんのモチベーションを損なう表現はしたくないので私は「理解が深まった・視野が広がった・考えが磨かれた」と表現するようにしています。病院の環境にいるだけで学生さんの顔つきが変わっていきます。臨床って、本当に素晴らしい。
②学生さんと一緒に患者さんに関わりに行く
学生さんは困ることに遭遇します。私の中では「困ることがない実習だったら、やる意味がない」と考えているので、積極的に困ってほしい。そして、できればそれを私(教員)に相談してほしい。「報連相が大切です」というけれど、「おひたし(怒らない・否定しない・助ける・指示する)も大切です」ともいうけれど、名目倒れというかタイトルだけが空回りする”出オチ”みたいな状況に陥ることもありますよね。「報連相しやすい存在でいたい」と私自身は心がけています。でも、私みたいな人ばかりだとバランスが悪いので、厳しい先生も必要。嫌われ役を引き受けてビシビシ叱ってくれる先生にも感謝しています。
で、「関わりが難しい(と学生さんが感じる)患者さん」には、私もいっしょに行ってお話をすることもあります。上手くいく時もあれば上手くいかない時もあります。学生さんが「先生、凄いですね」と言ってくれると嬉しくなっちゃいますが、経験を積んでいるから出来ることでもあるので、「君もきっとできるようになるよ」という言葉を返すようにしています。
「この学生さんは、きっと私よりも素敵な看護師さんになってくれるだろうな」と私はいつも思っています。学生時代の自分のイタさをしっかりと覚えているので、素直にそう思えます。大学時代、問題行動ばかりだった私の武勇伝は、また機会があれば(笑)。
③自分自身が患者さんと楽しく関わる
私は今の大学に着任してもうすぐ20年。実習でお世話になる病院や施設の皆さん、患者さんや利用者さんとも、ある意味で「同じ時間を過ごしている」とも思います。「昔はこの病棟はこうでね」とか「これが出来るまでは、こんな風に」など、自分の中では思い出話ですが20歳そこそこの学生さんにとっては既に「歴史の授業」という感もある様子。ジェネレーションギャップという言葉さえ聞かなくなりましたが、学生さんの思う”普通”と自分の”普通”がかみ合わないことも、また楽しいものです。
そして、患者さんや利用者さんの中にも、”以前、受け持たせていただいた患者さん”や”十年以上にわたって、「先生!元気ー?」と声をかけてくださる患者さん”もいらっしゃいます。「その後、お加減はいかがですか?」と尋ねると色々なことを話してくださいます。そのやりとりが、私自身の励みになることもしばしば。学生さんにも元気をもらっているけど、患者さんにも元気をもらっているな、と実感します。
書きたいことが多すぎて、長くなりすぎるので、一度区切ります。
<つづく>