周りをよく見て歩こう_240201
車に轢かれかけた。
正直、少しすごくびっくりしてしまって、その瞬間の10分後に「やっと落ち着いてきた」と思ったけれど、その後も数時間おきに「落ち着いてきたかも」と何度も思うことになって、いつ本当に「落ち着いた」のかはよくわからない。
・
ちょっとモヤモヤ、クシャクシャしていて、そんな頭の中に風を通したくて外へ出た。(そうでなくたって夜の散歩は好きだ)
出掛けに同居人からいろいろと声を掛けられる。どれも私の安全を慮っての言葉なのだけれど、うるさかった。うるさかったけど、まあ確かにどれもその通りだったので、言われたようになるべく明るいところを、歩道のある道まで出れば歩道を、選んで歩いた。
ガードレールのある歩道を、ぼうっと進む。そういえばLINEが来てたけど返事してなかったなとか、もうあれから一週間経ったのかとか、そういうことが浮かんでくるものの、一歩二歩と歩行運動と同時に消化され、然るべき箱の中に収納されていく。
さっきまで脳みその中で駄々をこねていたのに、歩くだけでスヨーンスヨーンと物分りが良くなる。むしろ、物分りも何も、元々それは何でもなかったのにわたしが勝手にわたしの中で煮たり焼いたりしていたのだろう。そいつらの問題ではなく、結局わたしの問題なのだろう。
顔を上げたら、黄色と黒のツートンが可愛いツーシーターのそれがわたしを煌々と照らした。
零。
それがとても近くに居て、そのままわたしの方向に向かってきてて、ほとんど速度が落ちないことに、刹那、何の疑問も抱かなかった。
一。
その次には、心臓がバクンバクン。まさに身体を打っていた。
横断歩道を渡っていたところに突っ込んできた車は、既の所でわたしの存在に気が付き、ハンドルを切り、まったく接触することなく交差した。
心臓を抱きしめながらぐるり振り返った(無意識のうちに横断歩道はわたりきった)。車は固まっていた。そこから、ノロ、ノロノロと少し蛇行したかと思うと、後方から別のボックスカーが迫ってきたのもあってか、ゆっくりと加速し行ってしまった。
・
車は見送り、しっかり歩道の内側にいても、アドレナリンがガンガンに分泌されていた。何度も何度も、脳内でその出来事が再生された。まったく減速することなく突っ込んで来られたものだから、自分が渡っていた横断歩道が青信号だったかどうかわからなくなってしまった。(その自信は今もない。でも、青だったと思う)加えて、出掛けの同居人の言葉がリフレインしてきて、それもまたわたしを混乱させた。
こわかった。だれか。だれか。SNSに書き込みたい衝動は飲み込み、よくやりとりしている友人2〜3人に思わずメッセージした。だれかにこの「こわかった」を聞いてほしかった。身体から「こわかった」を出したかった。
幸い、彼女たちから返事がきて、そのうち一人と電話が繋がりドン・キホーテの屋外喫煙所に据えられたベンチで気の済むまで話をして、わたしは帰路につくことができた。
幾度となく聞いたことのある言葉だけど、与えられたいのちだということを改めて噛み締め、眠った。