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角の丸い長方形の、薄い貝殻の池_240130

6時に目が覚めた。
6時のアラームにしている「pop virus」が聞こえてくる。正直、目が覚めたのとアラームが鳴ったのと、どちらが先だったかよく覚えていない。

その次の瞬間に、ずんよりと重たい感覚が身体と頭に降りてきた。
ずんより、ずんより、ずんより。
今日はとっても天気がよく日中は14度くらいまで気温も上がるという天気予報を確認していたので、ちょっと遠出でもしたいなと思って昨晩床についたのだけれど、この「ずんより」かぁ。
ずんよりに引きづらるようにまぶたを閉じそうになるののせめてもの抵抗で、携帯をペタペタさわりSNSを開く。深夜なのか早朝なのかようわからん時間の友人の投稿を見つけ、反射的にコメントを送る。後に、目と頭が覚めてから見返すと、極めてどうでもいいコメントを送っていたんだけど、まあSNSでのやりとりなんてそんなものが8割方だろう。大方、極めてどうでもいいものでわたしたちは繋がっている。実に動物らしい。

結局「起きた」といえるのは11時過ぎだった。
ちょっと悩んだけれど朝のルーティンのストレッチをする。ある方がアップしているたくさんのストレッチやヨガの動画から毎朝一本選んでやっているのだが、今日のは多分はじめてのやつだった。タイトルに「森と湖」とあり、たしかに湖畔で撮影されていて、合わせられた音楽もどこか木々や水を感じさせるもので、ずんよりモードのわたしにはちょうどよかった。

ちょっと遅めの昼ごはんを頂きながら同居人と話していたら、機嫌のよくない自分が露骨になった。
ここ数日ちょっとこういうところがあって、同居人に対しどうこうではなくこちらの問題だとわかりながらも、それもめちゃめちゃ悪いわけじゃないから悩んだり苦しんだりしきれるわけでもなかった。今朝のずんよりも、これとどこかで繋がっていることはよくわかっていた。

パーッと出掛ける気分にはならなかったけど、空とか海とか、なんかそういうものを眺めたいなと思い、車に乗り込んだ。

大きな池を囲む公園へやってきた。
やさしくも真っ直ぐな午後の陽の光が注ぎ、風もなく、天気予報の言う通り気持ちのいい午後がそこにあった。

わたしは目を凝らした。
水色とピンクと時々少しの橙で、角の丸い長方形をいくつも並べた、水面。それら長方形は、幼少期に海へ連れて行ってもらったとき必死になって集めた、爪で叩くと乾いた音がして太陽にかざせば向こう側が見える、薄い貝殻のようだった。水面の上にのっている空気は柔らかく、ある意味冬らしくなく、こちらを刺すこともなければ避けることもない。目線をあげて、水淵の向こう側の、歩道の向こう側の、木々。特に何も訴えてはこないが別に冷たいわけではなく、ただそうとして、そこにいる。(近づいてみたら、もしかしたら何か言っていたかもしれない)
池には鴨がそれなりの数いて、小さな彼女が見つめていた。自分の背丈よりもある、偽の丸太で作られた落下防止用の柵を握りしめた彼女が、わあ、と高い声をあげたのに合わせて鴨たちが一斉に動き、水面が揺れた。彼女はとても嬉しそうに一段と高い声で笑った。

もう何度も来たことある場所なのに、初めてここに来たような気持ちになった。

それから池を臨むベスポジに構える、大手アメリカナイズドコーヒーチェーンバックスに入り、溜まっていたポイントで豆200gと交換し(危うく数日後にポイントが失効するところだった)、生チョコケーキとホットコーヒーを注文した。
生チョコレートが、左と右、両奥歯とその一つ手前の奥歯の隙間から、全身に染みていった。機会があれば販売中にもう一度頂きたいけれど、ポイントの失効にすら気付いてなかったから難しいかもしれない。

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イコカ
この度は読んでくださって、ありがとうございます。 わたしの言葉がどこかにいるあなたへと届いていること、嬉しく思います。