見出し画像

道の先にあるもの

昨日、わたしにとっての初めてのバレエの発表会が終わりました

まだ寒さの残る春の日に、昨年末から通い始めたお稽古場の発表会がありますとお知らせがありました

バレエを始めて16年
最初は立ち方さえも知らず、バレエを見たことも無いし習っている人も周りにいなかったわたしにほんとうに基礎の基礎を丁寧に繰り返し教えてくれる先生がいました
昨年までそこに通いながら、別の厳しいお稽古場に通うこと7.8年
先生が93歳とご高齢のためにクローズしてしまったことで現在のお稽古場に移りました

そこでまた改めてバレエと向き合い、わたしにはバレエは大きな軸だなぁと思っていた矢先の
発表会のお知らせでした

Instagramを始めたのはバレエの海外のページを見たくてでした
あの頃、まいにちバレエのことばかり考えていたなぁ
今思えばちっともできていないのに…
鏡の前で歯磨きしながら腕の動きを練習したり
お風呂洗いをしながらグランプリエをしたり
洗い物をしながら後ろタンデュ
揚げ物をしながらルルベ

そんな日々から16年経って
その道の先にこんな日がくるとは思いもしませんでした

メンバーは70歳後半の男性をルイ14世に見立てた40代〜60代のわたしたち貴婦人

ゆったりとした音楽の中ほんの少しずつひとりひとりが無理なくメインで踊る場面もありつつ
みんなで息を合わせて踊る演目でした

そこから始まった4ヶ月の練習期間
そして昨日の本番はほんとうに忘れられない時間になりました

練習を共にする間に
皆それぞれにお仕事やご家族のこと、お店を切り盛りしている方もいて、このお稽古場ではわからない一人一人の役割を担いつつここにこの時間立っていることがわかりました

当たり前だけれど、若い生徒さんたちと違って
家庭や社会の中で何かしらの立場がすでにある私たちのクラスは、普段は暮らしの端っこに楽しみとしてのバレエがあって、この4ヶ月は一斉にバレエにスポットライトが当たるような日々でした

練習は厳しいし、暑さも辛いし、緊張するし
そこに加えてのそれぞれの暮らしの出来事があって、それでもみんないつも笑顔でした
それがほんとうにすごいこと
いつも、より良い舞台にするために同じ方向を向いて、できないところを共有して励まし合って過ごしました

できないことに心の中で落ち込んだり
歯がゆい思いをしたり
時には挫けそうになったこともきっとあって
だけどお稽古場でそれを見せることなく
みんな精一杯でした

細やかに気配りしてくれた方や
中心になって導いてくれた方や
小さなことも何度も確認して一緒に練習してくれた方や
不安な気持ちを互いにわかるわかると共有し合った人たち

そんな場面をたくさん積み重ねての昨日の舞台でした


舞台袖の廊下にて
滑り止めの松ヤニをポワントにつけているところ



髪の毛は
本職の美容師さんである78歳の男性メンバーの方が
とっても素敵に整えてくれました


袖からみる舞台の光景
照明が眩しくて舞台は光り輝いていて
向こうの袖にいるダンサーたちがみえて
こちらも同じように思い思いに振り付けの確認や体を整えたり舞台の様子を真剣に見つめていたり

そんなことさえ、夢のよう


わたしにとってさらに大きな出来事は舞台の1ヶ月前に先生からポワント(トゥシューズ)で踊ることを薦めていただいたこと

これまでにバーレッスンで少し履いていたくらいでセンターで踊ったことなどありません
お教室でもバーで練習していて、後半は足が痛くて思うようにできないほど
それでもちょっとでも正確に、ちょっとでも大切にとポワントのレッスンを受けていたその日、声をかけてくださったのです

とはいえ、そこからの1ヶ月まるで振り出しに戻ったように課題が山積み
体の使い方がまるで違うし、相変わらず足の爪が痛くて曲の後半には立てないし

周りの人達にいろいろと相談して
つま先にはパートナーが仕事で使う陶芸用のスポンジ(キメが細かくて弾力がある)を秘密兵器にしてあとはひたすら練習あるのみ
テーピングを使って、家でもポワントを履いて練習してみたり娘に動画を見てもらってあちこち直してもらったり


一ヶ月の間に、不思議なものでいろいろな不安や問題は解決されてわたしなりの精一杯で
無事にポワントで踊ることができました

まだまだ足りないところも練習すべきところもあるけれど、そういうことを乗り越えた感動と喜びと感謝が、踊り終わった瞬間にみんなから溢れていました

すこぶるメンタルの弱いわたしがなぜか本番は緊張していないことにも驚きでした

ほんとうに思い切って臨んでみてよかった

バレエがまたより一層わたしの棺桶のデザインを豊かにしてくれました

この場を作って指導くださって、さらにはポワントを薦めてくださったちだとしこ先生に
一緒に汗を流して練習を重ねてくれた仲間たちに
この日を迎えるまで支えてくれたパートナーと娘に
舞台を見に来てくれた方々に
そしてこれまでバレエを教えてくださった2人の先生たちに
心からの感謝を


楽しかった

何もかもをほんとうに楽しめました


夢見た道の先にまだ何があるのか
これからも楽しみにしようと思います

すっかりとバレエごとに長い記事になってしまいました
お付き合いありがとうございます

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?