君と歩いた

「10年間ありがとう」

昨日、歩いているときに

感じた……

違和感……

君はもうずいぶん前から悲鳴をあげていたのに
ぼくは気づかない振りをしていたよね……

ごめんね、苦しかったよね

もう……

さよならなのかな……

なつかしいね
ちょっと思い出してみようか

一緒に博多に行ったときは
屋台で食べたラーメンが美味しかったね
君にスープがかかってさ
君はぷんぷん怒ったっけ

一緒に京都に行ったときは
清水寺で観光客に
いっぱい踏まれちゃってさ
やさしく拭いたよね

大阪のリーガロイヤルホテルの
グレードアップされた部屋には驚いたよね
床もふかふかでさ

和歌山に行ったときはホテルの前に
和歌山城があったね

奈良に行ったときは飲みに行って
電車で寝過ごしたら京都でさ……
終電終わっててタクシー乗って……
ホテル代と飲み会代より高くて泣いたよね

滋賀のサービスエリアでサラダパンっていう
なぞのたくわんとマヨネーズのパンが
美味しかったよね

淡路島に行ったときは明石海峡大橋からの
景色がとってもきれいだったね
玉ねぎが美味しくて

高山では朴葉味噌と飛騨牛が
美味しくて、白川郷がきれいで
冬にトンネルの事故渋滞で
朝まで動けなかったね

名古屋はいっぱい思い出がありすぎるよね(笑)

伊勢神宮のうどんはやわらかくてね
疲れて来た人のために柔らかくて
濃い味付けなんだよって教えてもらったよね
赤福は歯に沁みるんだよね💦

営業でバリバリやっていたころから
生き残ってくれた唯一の戦友

今日はまだまだ新入りで研修期間の
彼と一緒だよ

まだ、ぎくしゃくしてるんだ……

営業を離れてからは

温室のぬくぬくした床を歩くだけで
退屈だったかもしれないね

東京は大都会でさ
六本木ヒルズがでっかくてね

思い出がいっぱいありすぎるよね

今日は帰ったらピカピカに磨いてあげるね

明日は最後の引退式をしよう

ぼくが大切に履いていた

キミ革靴とのお別れ

10年間ありがとう
親愛なる君へ。