あの日のメリークリスマス
シンゴと♡
……
……
手が震えた……
顔面蒼白ってこんな感じだろうか……
自分で見ていないのでわからないが
そう感じて頭の中が真っ白になった……
その時感じた感情を言葉に出す手段が
見つからないほどの衝撃だった……
握りしめたこぶしに力が入っているかさえ
わからないほどににぎりしめていた……
彼女の部屋の机の上にあった日記を見た……
見なきゃよかった……
いや、見てよかった……のか……
震えが止まらない……
怒るべきなのか……
怒鳴って泣かせればいいのか……
そのときぼくはわからなかった……
「今日は帰るよ」とメールを送った……
日記には大量の文字がぎっしり書いてあったが
その一行だけが浮き上がるように見えて
その瞬間……思考が停止し……
怖くなったのか……
いかりなのか……
よくわからない気持ちが
ゆっくりと渦をまき
マーブル模様ができあがり
パタンと閉じた……
彼女との出会いはよく晴れた夏の日だった
友達と遊んでいたときに
用事の合間に来た彼女は
挨拶をかわしただけですぐに
帰ると言い出した……
とても
綺麗な
栗色の
髪の毛が
夏の風に
揺れて
色白の
肌が
透きとおるほど
奇麗で奇麗で奇麗で
弾けそうな笑顔に見惚れた……
「もう2度と会えないかもしれないね」と
なぜか、ぼくの口からとっさにでた言葉だった……
彼女はそのまま帰って……しまった……
数分後
彼女が
戻ってきて
ぼくの手のひらに
メモ用紙を握りしめさせた……
そしてまた
夏の日の夕立のように
すぐに去ってしまった……
周りにいた友達はきょとんとしていて
ぼくも同じようにきょとんとしていて
良く晴れた空の雲を眺めて歩いた……
少しだけ離れたベンチに座り
メモ用紙を開いた
「2度と会えないのはイヤ、また会いたい」
「・・・・・@・・・」
とメールアドレスが書いてあった……
見た瞬間時が止まり
何度も何度も読み返した……
ぼくはすぐに携帯を取り出し
その瞬間に思った「うれしい」という
感情むき出しのメールを送った……
その日の夕方
彼女から会いたいと連絡があり
約束の場所に向かうと
「付いて来て」と言った彼女を
ゆっくりと
追った……
一人暮らしの彼女の部屋は
とてもいい香りがして
すっきりと整っていた
心臓の鼓動がいつもより
早くなった気がした……
予想していなかった展開に
戸惑い
ぼくの思考は鈍くなり
どうしていいかわからず
ぼけーっと立っていた
「そこ座って」
「なんで、今日初めて会ったばかりなのに……」
と聞いている途中……
突然
唇を……
奪われた……
……
……
ハタチそこそこの健康な男子には
受け止めきれないほどの衝撃と
抑えきれない感情が溢れた……
それからデートを重ねた
泊りがけでディズニーランドにも
行った……
クリスマスイブの前日に彼女からの着信……
「いまから来い」
男の声だった……
日記を見ていたから
なんとなく予想はできた……
呼ばれた場所にいくと
そこに……
見た目でヤンキーとわかるような男が5人いた
その夜
ぼくは
地元の
ダチを
呼び出し
コンビニで
買った
甘い酎ハイを
二人
真冬の海で
飲んだ
「なぁ、もうクリスマスイブだな」
そのとき飲んだ甘い酎ハイは
なぜかぜんぜん甘くなくて……
「クリスマスイブに男2人で砂浜って……」
二人で涙が出るほど笑ったっけ
Merry xmas