モノたちよ、旅だつのはいいが戻ってきてはくれまいか。わたしがきみたちの存在を忘れてしまう前に。
「良く切れるはさみをちょきちょきしながら、〇〇出ておいで~〇〇出ておいで~と唱えると、探しているものが出てくる」というおまじないがあります。
初めてそれをやって、2週間見つからなかったものが突然そこに現れた時、わたしは大きくびびって、鋭利なはさみを床に落としました。
毎日、何かしら探し、探し当てたものを使い、使ったものが行方不明になり、それを探しています。探す必要がなければその時間を別のことに有意義に使ったり目の前の仕事が猛スピードで進むはずなのに、どこかに行ってしまう。
仕事の遅延の理由は、主にそれです。
すぐに旅立ってしまうモノたち
しゃもじ。
かくれんぼがとても上手。キッチンをにらみ、前回しゃもじをつかったシーンを思い浮かべますが、わたしの脳裏に浮かぶのは、しゃもじに足が生えて楽しそうに外の世界に走っていく姿です。
はさみ。
はさみはもともと立派な足が二本あるので、道具の中では有利です。ただ、さきっぽがとんでもなくとがっている洋裁ばさみの場合は、ほかのはさみよりも足跡がつきやすいのですぐに見つかることがおおいです。
セロハンテープ。
娘が時々情熱的に使うので、真剣に消滅していることがあります。真ん中のホイール部分のみで、そこらへんに落ちていたりします。どちらにしても、タイヤの形と同じなのでかなりどこまでも転がっていって見えなくなります。
黒の油性マジック。
これ、我が家にはすごい数があります。なぜか出先で必要になることが多く、買わなければなりません。バッグのなかに常に油性マジックを持つ人なんて、いますか?よほどじゃない限りないです。でも携帯電話よりも使用頻度が高いわたしの場合は、持つべきかもしれません。バッグすら持たずに歩いていることが多いので、できれば余計な物は持ち歩きたくないタチなんですけど。
はんこ。
常習犯です。もう、はんこ社会が終わればいいと思っています。でも、こどもと同じようにハンコは大好きなので、ぺたぺたとあちこちに押すことはしたいなあと思っています。こどもとわたしがいる限り、ハンコ業界が困ることはないと思います。
「はんこ」で思い出しましたが、はんこを探すとき、「はんこはんこはんこは?」と必ず言っています。ぜひ音読してみてください。さいごの「は」は「わ」と読む方です。ややこしいですね。というどうでも良いことに今気づきました。
洋裁の道具でなくなりやすいもの。
糸切ばさみ
裁ちばさみよりは足が短いので遠くにはいかないのですが、小柄なだけに隠れるのがとても上手です。見事な隠れ方でなかなか侮れません。
20センチものさし
一本足ですが、おそらく異常な跳躍力があります。使用頻度高めなので、あと4,5本買っておこうかと思うほどです。
のみ
一本足ですが、異常な突き刺し能力があります。針以上です。見つけてもすぐに飛びついてはいけません。柄の方を見つけるまで我慢です。
恐ろしい現象として、上記の全てが一気になくなることがあげられます。
実際にあります。なぜこんなことになるのか、途方にくれるばかりです。
今まで生きてきた中で、なくして最も驚いたものは、
名字です。
すぐに、違う名字にすげかえられましたが。たぶん1秒か2秒か3秒か、わたしには名字がない時間があったに違いないのです。法律上は知りませんが、事務手続き上、あったはずです。
そして次の瞬間から、違う名前で呼ばれるようになりました。
へんなの。
でも、そのなくしたものを探す必要はなかったので、珍しいタイプの失くしものです。
話は、もう少し進んで、最近の困りごとは
「何を探しているのかを忘れてしまう」ということです。
そのうちに「探している」ことすら忘れ、
「何か忘れている気がする」という気分が残るだけとなります。
探す、忘れる、忘れる、探す。
無限ループです。
ところでね、わたし、思い出せないんですよ。
ここで自分が何を書きたかったのか・・・。
何かを書きたかったのでしょうか。
何かを書くつもりでしたか?
掻く、の方だったかもしれません。
最近、おなかがかゆいことがよくあるので、そっちだったのかも。
もうっ!!!!!ほんとにいやになっちゃう。
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