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介護用のエプロンって?

いろいろな「縫うこと」に関しての依頼を受けています。

以前、「介護中の母に、食事用エプロンを」という依頼を受けました。ついでに自分のも。条件はこれ。

色は地味に。柄はなし。カフェエプロンのようなもの。洗濯は必要なく、拭けばそれで済むもの。

ここから、わたしの迷いが始まります。

地味な色。つまり茶色か紺か黒ということらしい。それは食事の時に楽しくなる色なんだろうか。どちらかというと、胸元、口元に近いところの方が汚れるのではないだろうか。

いろいろな方にも調査をしました。総合すると、

①柄があると、パニックするからだめ。

②明るい色はびっくりして食欲がなくなる。

③よだれかけのようなものは、プライドが傷つく。

④長いエプロンは装着させるのが大変。

実体験からくるご意見多数です。

私はね、楽しくなる方が良いと思ったんです。だから、黄色とか薄いピンクなどを提案したんです。

すべて、アウト。

実はご依頼者様の一言が、ちょっと引っかかっていました。

「年寄だからね。柄と言ってもせいぜい絣」

高齢だから、地味。高齢だから、柄はいらない。あらら?

「○○だから」という固定概念の縛りつけがあるのではないか、と。

どうしてもそんな暗い色のエプロンで食事をしてほしくないなあという気持ちが先行し、少しこの案件を寝かせたのでした。

この記事を拝見して、そのことを思い出しました。おばあちゃまを想う、愛に溢れかえった記事です。こんなに思ってもらえるおばあちゃま、幸せですね。

おばあちゃまに会いに行くときの服装って、あまり考えることでもないかもしれない。でも、おばあちゃんに会いに行くならば!誰かを元気づけるために出かけるならば!きれいな色の洋服で行きたい。おばあちゃん、元気になるにきまってる。お洋服が好きなおばあちゃまなら、なおさらきれいな色で会いたい。

介護施設に行くと、とにかく落ち着く色合いのインテリアが目につきます。高級なところは重厚な色の木が使われていたりします。

服の色というのは、心への影響は大きく、それは自分にも他人にも同様です。おじいちゃんおばあちゃんが集まる某場所の映像を見ると、みんなくすんだ同じようなブラウスやらコートやらズボンやら。着ていて安心・楽ちんなのでしょうか。とても寂しくなるような色合いです。なぜ一様にあの色合い、あの恰好なんでしょうね。

わたしはね。自分が高齢になったときにどんな気持ちになるのかわからないけれど、できるなら、赤とかピンクとかを着ていたい。できるだけ明るい色を着ていたい。

どうなるのかな。「前はさ、おばあちゃんになったら赤やピンク着ようとか思ってたけど、この年になるとその色はもう疲れちゃうんだよね」とかぼやいてくすんだ色を着ているのかしら。

結局、少しだけ寝かせたこの案件。さらにお客様と意見を交わしての結果、わたしが作ったのはこういうエプロンでした。

エプロン1

ご依頼者様のご要望は変わることなく、一貫していました。なので出来うる限り汲み取ることに。

左が介護者、右が被介護者のものです。ポケットも不可、ということでしたので、このスタイルに。せめても、ということでウエストにワンポイント入れさせていただきました。

とにかく食事の時間にびっくりさせたくない、というのがお客様のご要望でした。その気持ちを全面的に汲み取り、せめてワンポイントだけでもということでリボンやウエストに違う布を組み合わせています。今でも、この色で本当の良かったの?という思いはありますが・・・。日々繰り返される食事にトラブルはできるだけ避けたい気持ちはとてもよくわかります。

ちなみに、右のエプロンは「ワンタッチエプロン」というもので、簡単に装着できます。装着させる時も、結んだり被ったりがなく、ワンタッチで装着できます。お試しあれ。

この写真は、「新川崎タウンカフェ」で販売会をしたときの様子です。

カフェ販売会

彼女はこのカフェの店長さん。このあと1秒でエプロンを外して業務用のエプロンに着替えていました。1秒で付けられて1秒で外れるエプロンです。

ちゃっかり最後は宣伝だ♪

縫工房Silkでは、エプロンの受注も承っております。自分だけのエプロン。手に入れて日常生活をちょっとだけ楽しいものにしましょ!


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もり まさの /縫う人/おはなし届け屋さん/人形劇士
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