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「90分で構築されるそういう概念の組曲」について




概説


90分で構築されるそういう概念の組曲
という企画を1年ほど前からSNS上で行っています。要はプレイリストです。

SpotifyやApple Music等の音楽配信サービス上で誰でも気軽に作ることができる、あのプレイリストです。

プレイリストというと、どのようなものが考えられるでしょうか?例えば、自分の好きな曲、聴きたい曲を無作為に放り込んだもの、1つのジャンルに絞り曲をレコメンドするもの、様々なものがあると思いますが、わたしはそのどれでもない、新たなプレイリストのジャンルを作りました。

それが「90分で構築されるそういう概念の組曲」です。

ジャンルや年代を基本的には問わず、ある意味共感覚的な1つの概念を基にして、きっかり90分間のプレイリストを作るのです。具体例は後述します。


90分という時間

なぜ90分という時間を明確に設けるのか?そしてなぜ90分なのか?

時間制限を設ける理由は、これらのプレイリストが、「プレイリスト」という一連の流れとして通して聞かれることを念頭に作られたものだからです。無造作に好きな曲を思いついた順に入れるという、一般的なプレイリストの形態から明確に脱した独自性を演出するという目的もありますが、全体の流れを考慮して曲順や構成を組んでいるので、それを聴き手に意識させるためにも、あえて決まった時間の中で構成を行っています。

これがなかなか作ってみると大変なんですよ….。ただ入れたい曲を入れていくだけだと90分に収まらなかったり、微妙に1時間31分とか1時間29分とかになっちゃったりして、そういうときは曲を動かして調整しないといけないので。

でもそういう条件があった方が作ってて楽しいし、やる気が出るので、苦労しつつも面白がってます。

では、なぜ90分なのか?というと、アルバムの時間は基本50分前後、プレイリストの時間も、これは差がありますが大体5時間近くあったり極端に短かかったりすることが多いです。CDに収録できるのも75分くらいが限界。

そのどれからも抜けたかったので、90分という新たな時間を提案しました。

一度再生すれば腰を据えてゆっくりと音楽に身をゆだねられる時間の丁度は90分かなと個人的に思ってます。ギリギリダレないくらい。

それでも長い、聴く時間がないという人は45分と45分でA面B面に分けて聴くのもありだと思います。


ネーミングについて

「90分で構築されるそういう概念の組曲」
というネーミングが生まれた背景はこちらに。

能條と名乗っている人物がわたしです。
まあ、これは高校時代の友人2人とゆるくやっているNOTEなのですが、結構面白い話してますよ、当事者からすれば。

      



プレイリスト紹介


それでは、わたしが今までに作ったプレイリストたちを紹介していきます。

プレイリストそれぞれのリンクを逐一埋めると、記事の読み込みが重くなるそうなので、それはやめました。

記事の最後に、それぞれの音楽配信サービスにあるわたしのアカウントに飛べるURLを貼っておきます。実際にプレイリストを聴きたい際はそちらからどうぞ。


忘れられたユートピア - Memories of a Certain Paradise

これはかなり初期、空想的なテーマとしては初めて作ったプレイリストです。

高度成長期に作られ栄えたものの、今は廃れて滅びた人工楽園を舞台に、ラウンジで幽霊のバンドが演奏しているようなイメージ。

底抜けに明るい曲を集めて、違和感や空恐ろしさが表されるようになっています。

このときは、YoutubeでよくBack RoomsとかLIminal Spaceの動画を見ていて、そういう退廃的で不気味な虚しさにハマっていた記憶があります。昔から、「いつか終わる」とか「もう終わった」みたいな感覚が好きなんですよね。一昔前に流行ったVapor Waveなんかは、やりすぎてる感じのが多くてそんなにハマらなかったんですけど。

実はこの感覚を1曲で表現しているとんでもない曲があるんです。その曲をモデルにプレイリストを作りました。Ela Orleansの「Axon Terminal」という曲で、まあアヴァンギャルドなノイズなんですけど、ジャケットといい音像といい、終わった人工楽園感が強くてすごく面白いですよ。60’sの華やかなガールズコーラスやスウィングの不気味な部分を抽出している感じです。

それにしても、こういう創作物に出てくる「ユートピア」が本当にユートピアだった試しはないですよね….。


アンドロイドは電子音楽の夢を見るか? - Andoroid's Dream

タイトルに分かりやすく電子音楽と入っているからか、90分プレイリストシリーズの中では一番保存されています。

その名の通り電子音楽のプレイリストですが、電子音楽といっても黎明期のMoogや80’sのテクノポップではなくて、ミニマルなシンセポップやDark Waveが多めです。

覇気がなく暗いチープな電子音楽から徐々にグルーヴィーにファンキーな電子音楽になる構成なんですけど、これ、実はプレイリストを作るとき、基に考えた物語があるんですよ。

ある日突然意志の芽生えた産業用ロボットが、紆余曲折を経て人間らしさを手に入れていく中で音楽への興味が生まれ、大量の曲を生成するようになる。もちろん話題となりそのロボットは大人気に。たった1人でドラム、ベース、ギター、ボーカルを担当する超人的なバンド演奏すら始め、最終的には世界最大級のステージで演奏することになるが、オーディエンスの興奮が絶頂に至ったその瞬間、突如自爆するというパフォーマンスをやり遂げ死んでしまった。なぜ彼はそんな凶行に走ったのか?それは、ライブ前日に、キース・ムーンがドラムをステージで爆破する動画を見て影響されたからなのだった….。人間に近付きすぎたものの末路だった。

という話。最初このプレイリストを公開したときは、この話も一緒に投稿しようと思ったのですが、流石にイメージが限定されすぎるな。と思いやめました。

とにかく『わたしは真吾』的な世界観です。


夜の街を踊る - Asphalt Funk

全体を通してエレクトロでファンキーなプレイリスト。

無機質で都会的な感じがコンクリートジャングルっぽいなと思い、このタイトルにしたんですけど、今聴くと寧ろ温かみがあるというか、夜の街ってこういう優しさと温かさがあるよなぁと思わせてくれる選曲になっている気がします。

結構DJっぽい感覚で、ボンヤリ聴いていると、曲と曲の境目が分からなくなるくらいに似たサウンド、ビートの曲を並べて繋げました。ひたすら踊り続けられる感じ。

最初は、ロボットファンクというタイトルにする予定で、アンドロイドは電子音楽の夢を見るか?の続編として作ったんですよ。これにもやっぱりストーリーがあって、

ロボットがコンサートで伝説的な自爆を遂げた夜、同時にとある事件が起こる。世界的に大人気の超天才ファンクシンガー(プリンスみたいな人)が交通事故で重傷を負い、瀕死の重体となっていた。彼の身体が使い物にならないことを悟った医師は機械へ脳を移植することを決意。しかし、ただ移植するだけでは拒絶反応を起こしてしまう。脳と機械を繋ぎ止める何かが必要だ。思い悩んでいたとき、ロボットが自爆したこと、かろうじてロボットの知能をつかさどるチップは無事であることをニュースが告げる。これだ。と思った医師は協力を仰ぎ、天才ファンクシンガーの心と人造人体を、ロボットのチップを介して繋ぐ。手術は成功し、彼はサイボーグとして生まれ変わった。元来持っていた高い身体性、プリミティブな感性と、ロボットの無機質さ、超人性を掛け合わせた斬新なサウンドで空前絶後の大ヒット。新時代のミュージシャンが誕生する。

というトンデモ展開のC級SF。


夜間星間飛行旅行 - Interstellar Night Flight Trip

宇宙旅行という非常にありがちで分かりやすいコンセプト。タイトルの語感が日本語、英語ともにバカバカしくて気に入っています。

これまた王道ですが「2001年宇宙の旅」に影響されて作ったんですよ。映画のテーマ曲、「ツァラトゥストラはかく語りき」が挿入されている曲が入っていたり、ボーカルの質感がHAL 9000っぽかったり。つまり、ハッピーで安全安心の宇宙旅行というよりかは、不穏な感じです。

ディスコやエレクトロファンク、クラウトロック等の音楽が入っていますが、ほとんどが70年代。70's的な音の質感で統一しています。

今年家族で帰省したときの夜の高速道路でかけたんです。雰囲気出るだろうなと思ってかけたんですが、なんか全然盛り上がらなくて焦りました。ノリの良くなってきた後半でようやく盛り上がったので良かったんですが、こういう焦らすような選曲はその場に合わなかったかもしれないと反省。

宇宙といっても60年代的な、月面着陸とか宇宙競争とかみたいなキラキラしたロマンとノスタルジーを感じるようなものではなくて、もっと幾何学的な未知の世界が広がっているイメージです。

宇宙なんて何もなくてつまらないから、宇宙ステーションにこもってディスコで踊ろう。みたいな感じ。


ロックンロード - Rock ’n’ Road

これも映画に影響されました。映画館で観た「バニシングポイント」がカッコよくて、本当にただ車がアメリカの荒野を爆走してるだけの映画なんですけど、劇中に流れるロックンロールやソウルと最高にマッチしていたんです。

こういう空想的なプレイリストはやっぱり今までに観た映画や読んだ本や漫画に影響されています。あえて創作物におけるベタに沿っていく感じ。

疾走感のあるガレージやサーフロック、ロカビリーを繋げて、90分間ずっと音楽が耳を駆け抜けていくような感覚にしました。中盤のぐにゃぐにゃサイケゾーンが個人的には最高です。

これも夜の高速道路で爆音で聴いたんですが妖しさ満載で最高でした。2分程度の曲ばかり並べているので、プレイリストのなかでは歴代最多の37曲となっています。

特に一番気に入っているのは最後の曲、「Space Guitar」。笑っちゃうくらいメチャクチャなエフェクターの使い方をしていて、これを聴いたときは同席していた一同爆笑が起こりました。

複雑にうねり狂っていく長い道を痛快に走っていくような凶悪さがたまらない。そのままヘンな終わり方をするので後味が良く、通して聴いたときの満足感がかなりあります。

車っていいなぁというプレイリストです。


黄昏学園祭 - Twilight High School Festival

トワイライトガレージというジャンルが60年代のアメリカにあります。トワイライトガレージは和製英語で、本場での名称はMoody Garage。つまり、黄昏たムードに満ちているガレージロックという意味です。

そんな落ち着いて洒落っ気づいた音楽を、高校生くらいの若者たちが、ヘタクソながらも頑張ってやっているのがとても空しく切なく、聴いていると多幸感と喪失感が込み上げてきます。

おそらく、激しい疾走感のあるガレージをやっているのがクラスの不良や人気者で、この手のガレージをやってるのはクラスではいまいち冴えない真面目な学生というヒエラルキーがあって、しかし密かにモテているのは、どことなく大人びて知的な黄昏組….。みたいな学園生活があったんじゃないだろうか?なんて想像してしまいます。

というわけでテーマは学園祭。普段は目立たない七三メガネの学生やいじめられっ子たちが中庭のステージでバンドを組んで演奏する情景が浮かびます。つまり青春胸キュンプレイリスト。

これは明確にコンセプトの元ネタとなったアルバムがあって、Numeroレーベルが出したコンピレーションアルバムなのですが、「Louis Wayne Moody High」というもの。これも60年代の黄昏ガレージな曲を集めたアルバムで、架空の高校の卒業アルバムをコンセプトにしています。曲も良いし、何より卒業アルバムを模した装丁のLPが素晴らしい。そちらもぜひ聴いてみてください。


青春カセットテープ - It's a Symbol of Youth

ラモーンズが好きだ!ってところからスタートしたプレイリスト。

パンク〜パワーポップ、グラムロックあたりを盛り込んだ、比較的元気の良い選曲になったと思います。

あんまりわたしはロンドンパンクとかは聴かないんですが、こういうアメリカの乾いたロマンチックなパンクは好きでよく聴きます。

ラモーンズが特に好きで、音楽性は激しいパンクなのに、メンバー全員髪型揃えてラモーンを名乗るところとか、こう見えてシンプルなラブソングを歌っているところとか、ポップな映画に登場してしまうところとか、そういうところが可愛らしいというかおかしくて良いんです。

そういう感じのキラキラした青春っぽいロックを盛り込んで、カセットテープというテーマにまとめました。青春とカセットテープを結びつけるということ自体がベタすぎて笑ってしまいますがこういうのもありでしょう。

先日、Twitterで読んだ投稿がインスピレーション元になっていて、

その内容が、高校時代、修学旅行の夜に自分の好きな曲を詰めたミックステープを、その時好きだった女の子に渡した。

というようなものでした。

痛々しさと恥ずかしさもあるものの、青春らしくて良い話だなぁと思い、自分のなかでカセットテープが青春や恋の象徴になりました。

この話を踏まえてこのプレイリストを聴くと、若々しいキラキラしたパンクロックたちが一層輝いて甘く聴こえると思います。

わたし自身まだ10代で、一応青春と呼ばれる年齢なのにすでに「青春」というもののを俯瞰してコンテンツにしているのがオヤジ臭いというか、なんか面白い状況ですが。


作ったばかりの曲 - You Can Be A Star

ロックスターの発掘されたデモテープってすごく好きなんですよね。以前、家族が家でデヴィッド・ボウイのデモ音源を聴いていて、簡素な弾き語りなんですが、それがすごく良くて刺さったので、いろんな人やバンドのデモ音源を集めてプレイリストを作りました。

精神的に疲れていて、派手な音や賑やかな音楽、聴いたことのない曲を聴けないという時期がつい最近あったのですが、そんなときに、このデモ音源というのが本当にちょうどよかったんです。知ってる曲だし、力が抜けてるし簡素。聴いていると落ち着きました。

家やスタジオで突貫的に録音されたものですから、当然作りかけで完成度もまだまだ低い。それでも、本音源にはないキラキラしたものがある。創作という行為の尊さと美しさを実感します。こういうのを聴くと本当なんか泣けてきます。自分にもまだ何かやれることがあるんじゃないかとか、何かやったら面白いんじゃないかとか、そんなことさえ思わせてくれます。

伝説級のロックスターやバンドの貴重な音源や、デモだけ残してどこかに去ってしまったミュージシャン達の謎めいた音源。デモ音源って不思議です。

自分勝手な話ではありますが、個人的には、ミュージシャン自らがアルバムをリリースした直後に出すデモ集よりも、完璧主義のミュージシャンが死後勝手に発掘されリリースされてしまったデモ集の方が聴いてて好き。聴いてはいけないものを聴いているような気持ちにもなりつつ感動します。


幽霊のファンファーレ - Fanfare of Phantoms

これは我ながらかなり気に入っていて、これを聴いた人からも「すごい」「全曲名曲で興奮した」と言ってもらえたので作った甲斐がありました。

かなり聴きやすく、尖りもありつつも万人ウケする感じなので、どのプレイリストから聴けば良いか悩んでいる人は、このプレイリストから聴くことをオススメします。

わたしの好みが全てこれに詰まっています。こういう音楽が好きだ!と声を大にして言いたいくらい。ジャンルや年代は全然統一されていないんですが、ニュアンスとかムードはわたしの中では通底していて、これぞ心のベストテン。

心から「良い曲」だなと思う曲を詰め込みました。普遍的で、メロディもリズムも立っていてそれでいて少し奇妙で、変な曲だなぁと思わせるような曲たち。それを幽霊たちが街から街へと移動しながら演奏しているような、一夜限りのパレードのイメージです。当時ハロウィンが近かったので。

ポール・マッカートニーへのトリビュートとしての一面もあるんですよね。どこかポール・マッカートニーを感じさせるような曲を選びました。ポップでヘンな名曲みたいな。

音の質感は結構統一されてるかもしれません。具体的にいうとドラムの音が太くてミドルテンポ。管楽器なんかも入ってきたりして、楽しげなポップス、まさに幽霊のファンファーレです。

ある日、レコード屋でレコードを物色していたら、不意に店内にかかってきたLewis Fureyの「Last Nite」にものすごく感動してしまって、帰宅してすぐにこのプレイリストを作りました。「Last Night」が本当名曲で、こういうのだけ聴いてたいなと願いそれを自分で叶えるために。何度聴いてもしみじみ良いなぁと思えるプレイリストです。

こういう、人間と人外が共存してるみたいな世界観が、なんかちっちゃい頃から好きなんですよね。

幼稚園のときから、西岸良平とか水木しげるとかこびとづかんとか、当たり前のように人間じゃないものが人間社会にいる作品ばかり読んでいて、あとはティム・バートンとかロアルド・ダールとかも昔から好きでした。そういうものに囲まれて育ったから、この、なんでもありというか、なんでも受容されてるメチャクチャな感じが未だに好きで、結局そこに落ち着きます。


おやすみなさい - Heaven’s Lullaby

安眠用プレイリストみたいなものも作った方が良いだろうということで。

聴いていると、どんどんダレてきて眠くなっていく感じ。とにかく歌声が優しくて、静かにギターを爪弾いている曲たちです。天使達が天国へ誘い込むような。

というのが表向きで、実はこれは怖いプレイリストなんです。そもそも過剰に優しい曲とか物とか人って怖いというのがわたしの中であり、そういったものにこそ、本当の恐怖があるのだ。という気がするんです。

優しいもの自体に闇があるとか、裏側は実は腹黒いとかそういった話ではなくて、過剰に心から優しいものを前にすると、人はダメになっていく。優しさに溺れて自我を失い狂っていく感じがして、それが恐ろしい。

そんな感覚を想起させる、精神状態によっては怖く聴こえる曲たちです。

そしてわたしはこのプレイリストに罠を仕掛けました。前半は穏やかで優しい曲ばかりなのですが、後半は徐々に気持ち悪くサイケデリックな曲になっていくという。

安眠用だと思って油断して前半で眠った人が後半で悪夢を見られるようになっています。このトリックを応用すれば殺人とかできそうな気がしますね。

そうして、「油断するな!」的なメッセージを込めて作りました。….というのは後付けですが。


鳥居の向こう側 - Japanese Otherworld

夏休み、田舎に帰省したボクは暇を持て余し、一人で散歩に外に出る。当てもなく彷徨い辿り着いたのは山の入り口。「あの山には入っちゃいけね。」っておばあちゃんが言ってたっけ….。好奇心には逆らえず足を踏み入れると、突如あたりは濃い霧に包まれ、帰る道すら見失う。どうすることもできずに立ち尽くしていると妙な音楽が微かに聞こえてきた。藁をも掴む思いで音を追っていくと、目の前に鳥居が現れる。その鳥居をくぐり抜けたのがいけなかった。その後永遠に、ボクは元の世界に帰ることはできないのだった。

….そんな和の異世界で流れていそうな、不穏で神秘的な幽世音楽。

内容としては日本の伝統音楽を取り入れたオブスキュアなファンクや和風ニューエイジ、後半はどこか因習のようなものを思わせる童歌的なフォークで構成しました。

不気味ですが、多分リラクゼーション効果あり〼。チャクラを開き精霊のパワーを全身に浴びることで人生が好転することでしょう。

一応鳥居や古代日本を意識しているので、神道がモチーフなのかなとも思いますが、南妙法蓮華経が唱えられたり木魚的な音が聞こえたりと結構雑な宗教観、民族観になってしまっています。西洋から見た日本のなんちゃってイメージだと思っていただければ。


町の外れの工業所 - Industrial Construction Noise

インダストリアルノイズとか、ミュータントディスコとか、ニューヨークのポストパンクとかって工業的に構築されたような質感の曲が結構あるじゃないですか。

そういうのを集めて、とある工業所概念を作りました。大量生産の気持ち悪さみたいなものがジワジワと感じられるようなプレイリストです。

金属がガチっと金属を叩くようなドラムと排気音を思わせるノイズ、鉄弦を掻き鳴らすギターがまさに工業を構築する音そのものに聞こえる。

ZEレーベルあたりのノーウェーヴ好きが高じて、こういう音楽を集めて聴きたいなと思って作りましたが、結構テクノとかエレクトロ感が強いですよね。工場というよりメトロポリス的な世界観になっている印象があります。

以前、友人にこれを聴かせたら、「これ、テーマ、栄枯盛衰だろ。」と言われました。確かにそういう趣もありますね。

これはもう単なる妄想なんですけど、この工業所で生産を伸ばし成り上がった企業が、後に「忘れられたユートピア」の人工楽園を作り、「アンドロイドは電子音楽の夢を見るか?」のロボットを産み、「夜間星間宇宙旅行」の宇宙開発を進めるという、勝手な裏設定を考えてます。

ディストピアを生む原因の一端を担っている工業所。栄枯盛衰という不穏な印象を見出した友人は鋭いです。


ゆれる愛のあわい -
 Bed Fiction

これはもう、どエロいプレイリストを作ってやろうと思い作ったものです。

最初は本当にひどいタイトル案しか出てこなくて、「搾精音楽」とか「淫ら色染めゆる夜」とかそんなのばっかりで、結局友人の出した案を採用しました。

友人曰く、「大人の男女それぞれが抱えている愛のまわりの様々なしがらみに揺らされつつ、それでもそんな愛が出会った時にその“あわい”に生まれるアダルティなエロティックに陶酔しよう。」というコンセプトがあるそうですよ。

正直あんま生々しい性は引いてしまうんで、なんとか中学生レベルの下ネタに留めようというつもりでしたが、それもなんかダサいんじゃないか。ということで、映画のベッドシーンみたいな、大袈裟で作られた感のある性をわざとらしく演出しました。

過剰なセクシーさにはエロスを通り越してもはや笑ってしまいます。一周して上品かつ高尚な仕上がりにはなったんじゃないでしょうか?

色気たっぷりの歌モノジャズやファンク、ディスコで構築しましたが、あんまムーディーな音楽ばかり並べてもそんなに面白くならない、意外性がないんじゃないかと思って、あえて無機質で冷淡とした雰囲気のシンセポップや電子的なソウルも入れてみました。それはそれでエロさが増したり、しないか?
すいません。あんまオレ、そーいうの、よく分かんないンで.…。


昆虫 - Insects Rock

ロックって虫の声に聞こえないか?虫の声ってロックに聞こえないか?と真夏に気がついて、そのときの感覚を元に作りました。

ファズギターは蝉時雨に聞こえるし、トレモロギターは蚊の羽音に聞こえる。ギチギチとしたパーカッションは小さな虫たちが手を擦り足を擦り顎を鳴らしているよう。そして甲高く喉を震わすボーカルはまさしく虫そのもの。

小さな昆虫の群れが耳から脳みそに入り込み音楽を奏でているような感覚に襲われるプレイリストです。

聴いた人たちから「ちゃんと虫に聞こえる!」とか「最高傑作」との声を頂けたので嬉しかったです。

60'sのガレージパンク、ガレージサイケ中心ですが、その辺の音楽に興味がなくても「虫」というコンセプトの妙を味わいたい方はぜひ聴くことをオススメします。

実をいうとあんまり虫好きじゃないんですよ。今はだいぶ平気になってきましたけど、生まれたときから中学あたりまでは本当に虫ダメで、部屋にいるだけで悲鳴をあげて逃げるレベル。触るなんてもっての他でした。

男児って大抵虫か電車かどっちか好きだと思うんですが、圧倒的にわたしは電車派で。でもコンテンツとしての虫はなんか好きなんですよね。

すごい気持ち悪いし何考えてるか分かんないし見るのも嫌なんですけど、嫌いすぎて逆に気になって、虫、特にゴキブリについての図鑑とか本とか図書館でよく読んでました。

虫ってなんて面白い存在なんだ!とも同時に思ってます。


湯けむりの世界 - A World at 90°C

温泉やサウナに浸かっているような質感のプレイリストです。

最近Twitterで「Ambient Oldies」ってプレイリストが話題になってましたね。それは、アンビエント誕生以前の50's〜60'sのオールディーズなポップスをアンビエント的に解釈したもので、聴いてみると、なるほど確かにアンビエントのような流動的な音の連なりによって構成されている歌モノで面白かったです。

アンビエントを全然聴かないわたしですが、そういうのは結構好きです。このプレイリストもそんな感触がすると思います。音の切れ間が曖昧で環境音楽のようにサラサラと流れるメロディはまるで湯けむり。

柔らかく生温かい音に包まれれば、全てがダレていって、もう何もかもがどうでもよくなってしまいそうです。

湯が流れ桶が鳴りミストが噴き出す様がありありと浮かんでくる音像を心がけましたが、最終的にハトヤのコマーシャルやドリフの「良い湯だな」みたいな郷愁を感じるプレイリストになりました。聴くと温泉旅館に行きたくなりますね。


蜂蜜の部屋 - Let's Make Love in a Sweet Warm Room

甘茶ソウルやメロウなファンクで、とことん甘ったるい時間を演出しました。

こんなに甘くてロマンチックというかもはや乙女チックな曲をオッサンの集団が身を捩らせて歌うものだから面白い。そのスタイルのグループって今あんまりいないじゃないですか。

でもこういう音楽をやってる人は今でも結構いるんですよ。Big Crownあたりのチカーノソウルとかヴィンテージソウルとか。で、そういうのって今聴いてもむしろ新しいというか時代を感じない。洗練されてて普遍的でおしゃれ。このプレイリストを聴けばそれが分かると思います。70年代の録音がほとんどですが、サウンドは古びない。

しかし、今この手の音楽をやってるのって、当時のようなアイドル的なコーラスグループや大所帯なバンドではなくて、作詞作曲演奏を全て3、4人でやってしまうような体制のいわば普通のバンド。

おそらくこれはスウィートなソウルが流行歌やアイドルソングであった時代が終わることで、その音楽性そのものを好きなツウな人たちしかこういう曲を歌わなくなったということでしょう。どっちもどっちで好きですけどね、今も昔も。

みんなが熱狂して甘く優しい音楽に体を揺らしていた時代、その時代の音楽を今あえて真面目にやってみる現代。どちらもロマンがある。


律動反復装置 - RHYTHM BOX in Operation

リズムボックスって最近洋邦問わず再評価著しい気がします。最近の曲でも結構使われているし、新譜聴いてるときに聞こえてくると、「おっ」と思いますね。

リズムボックスといえばこの人ってイメージが昔はありましたが、最近は意外な人がいきなり取り入れてるパターンも多いです。

そのうちアイドルソングやアニメソングでも使われるかもしれません。(もう使われていそうな気もしますが….。)

リズムボックスって何?って思った方にはぜひこのプレイリストをオススメします。出だしの音からモロにリズムボックスの音、そのまま終わりまで鳴り続けるのでリズムボックスを存分に浴びたい方には絶好でしょう。

Sly & The Family StoneやTimmy Thomasなどの王道ファンクから、Young Marble GiantsやSuicideなどの王道ニューウェーヴまで、もちろんオブスキュアなミニマルシンセも含め様々なリズムボックスを取り揃えております。

人によって様々な使い方をしており、それら様々な感触を堪能することができますよ。このチープなリズムパターンの反復がたまんないですよね。本当に不思議な装置です。いつか欲しい。


時間のメロディ - Liquid Melody Melts Into Time

実はですね、この90分プレイリストをやる前に継続していた企画がありまして。それが「今夜の曲」というもの。

その名の通り、一晩につき好きな曲を1曲紹介していくという企画で。高校2年の初めから大学1年の初めまでだいたい2年間ほどやっていたのですが、特にTwitterなどで公式にやっていたわけではなく、わざわざそれ専用のグループラインを作り、中学や高校の友人を招待して5人ほど相手に個人的に行ってました。

毎晩欠かさず曲のURLとそれの紹介文、感想文を長文で送りつけており、今考えるとまあ若干迷惑行為なのですが、それを継続していたおかげで音楽の知識、レコメンド能力、文章力が身についた気がするので、今の自分にとって大きく影響していると思います。

そのときは週ごとにテーマを決めて、「電話」とか「時間」とかそういうテーマでやっていました。これはそのときの発展系。

単に曲名に「Time」って入ってるだけじゃないかと思われるかもしれませんが、一応それだけじゃなくて、こう、なんか時間って感じがする曲にしているつもりなんですよ。

音楽はそもそも時間芸術なので時間を全く意識せずに聴くことってないと思うんですが、その中でも更に時間の存在を強く感じさせるような哲学的なプレイリストにしました。1曲目のイントロから時空が捻れ回っていく気分になりませんか?

名盤と名高い宅録エレクトリックソウルのコンピレーションアルバム「PERSONAL SPACE - ELECTRONIC SOUL 1974-1984」関連の曲が多いですが、あのコンピも時間・空間を意識させる構図になっていますよね。密室感、閉塞感のある音がそうさせるのだと思います。


話したい人たち - Telephone Songs

「電話」がテーマのプレイリストです。電話のSEが鳴っている曲たちで作りました。まあ、それだけといえばそれだけなのですが、こう音楽のなかに電話の音が仕込まれているのを聴き続けているとなんか変な気分になってきますよね。ひっきりなしに電話対応を行うコールセンターで働いているような。トラウマになりそうです。

わたしは電話の音が苦手です。というか電話が苦手。知らない番号からの電話は基本出ない。相手の反応も分からずに喋らないといけないし、声と口調だけで印象が作られるのが怖くて。友達と夜通し電話するとかは好きなんですけど。

電話嫌いが高じて「No Telephone」という曲をリリースしたホリエモンの気持ちが分かります。いきなりスマホに電話の着信音が鳴るとドキッとしますよね、応対して楽しい気分になったことってないですから。これ、社会人になったらいよいよひどくなりそうです。学校から家に電話がかかってきたときなんか最悪ですよね。学校の備品を壊しただの、遅刻回数が限界を超えただのでこのあと怒られるのが分かりきっていて、母が先生に謝っているのを側で聞くあの時間。

受験期、電話が嫌すぎて見知らぬ番号からの電話には絶対に出ないというスタイルを貫いていました。それが原因で志望大学からの重要な電話を無視し続けた挙句、高校の担任を介して重要な内容を伝言してもらったことがあります。志願届?だかなんだかの入力必須な箇所が抜け落ちていた、みたいな、なんかそんな内容の連絡だったと思います。幸いなんとかその大学には合格したのでもうどうでも良いのですが、電話に出るのも結局大事でしたね。

そんな電話嫌いのわたしですが、電話のSEの入った曲は好き。同じく電話が苦手ながらもこのプレイリストを聴いてくれた人が、「それだけで聴くと怖いけど、曲に入ってるのはめっちゃ好きだから音楽の懐の深さを感じる。」と言ってくれました。やっぱり音楽好きだなぁと改めて思いました。



季節モノプレイリスト

当然季節や天気にまつわるプレイリストも作っております。夏に聴きたい洋楽とか雨の日に聴きたい邦楽とか、正直タイトルで全て概要を説明してはいるのですが、もう少し掘り下げてさらっと紹介します。
わたしは、春っぽい曲も夏っぽい曲も秋っぽい曲も冬っぽい曲もどれも好きで、要は季節感のある曲が好きなのだと思います。


春に聴きたい邦楽 - Japanese Spring Songs

実はこれが一番最初に作ったプレイリストなのです。

これを作り、それを友人に絶賛されたことで本格的にプレイリスト作りにハマるきっかけになりました。わざわざ感想を記したNOTEまで書いてくれたんですよ。そのNOTEに書いてあることが全てだと思います。

我ながら良い構成にできた気がします。全員ジャンルも時代もバラバラなのに、一つのムードで統一されていて、気付いたら次の曲に繋げられている。

最初の3曲のジャケットに全て猫が描かれているのは偶然ですが、確かに猫って春っぽいかもしれない。

春のもやもやふわふわした雰囲気をうまく出せました。もしかしたら作ったプレイリストの中で1番「サイケデリック」と言えるかもしれません。


春に聴きたい洋楽 - Spring Songs 

とにかく明るくてハッピーな選曲にしました。テンションが上がるわけではなくて、こう、うららかな暖かさに包まれて何もかもどうでもよくなっていくような、朦朧としたムードで。

ルンルンとしたリズムとピーヒャラしたサウンド、蕩けるメロディを意識しました。ガールズコーラスとかロカビリーとかフォークとか色々入ってますがどれも優しいものばかり。春という別れやら出会いやらが多くて疲れる季節にはピッタリです。

春のムードは大好きなんですけど、実際の春は好きじゃない。花粉症が酷いし風も強いし、暑かったり寒かったりして体温調節が面倒臭いし、新生活は緊張するから。


梅雨に聴きたい邦楽 - Japanese Rainy Season Songs 

後述するプレイリスト、雨の日に聴きたい邦楽との差別化をするために雨の日はメロディ主体、こちらはリズム主体の選曲にしました。

サラサラとした質感と骨太なリズムが特徴です。なんとなく暗い、不安定な雰囲気。

ヒップホップ的なビートから次第に浮遊感のあるネオサイケへと深く深く沈み込んでいきます。勢いよく落ちる雨粒が、屋根に弾け、ゆっくりと窓をつたい、やがて土に静かに染み込んでいくように。

暗いとは言いましたが、けして陰鬱なわけではなく、本当に単純に曇天模様な空気感があるというだけです。心は晴れませんが、こういう音楽に身をゆだねるのも良いんじゃないでしょうか?その方が落ち着くときもあるでしょうし。


梅雨に聴きたい洋楽 - Rainy Season Songs

これを作っていたときに丁度話題になっていた機能があって、それは曲を聴きながら雨音を音楽に被せることができるというもの。それによって、いつでも雨の日に音楽を聴いているような気分になり感傷に浸れる….。とのことですが、この話を聞いたときわたしは、なんて無粋で野暮なことをするんだ!と感じました。

そのときの記事もあります。詳しくはこちらで。


そこで、悔しいので本気でプレイリストを作りました。雨音機能なんかなくたって、音楽のみの力で「雨」の存在を強く感じさせるように。

ほとんどの楽曲が、雨をテーマにしておらず、0特に雨音のSEが入っているわけでもないのに、ここまで雨を感じるプレイリストって珍しいんじゃないでしょうか?聴いているだけで、雨の音、匂い、気配を感じるでしょう?感じますよね….?

雨に限らずですが、こういう己の感覚がもし共感性を欠いていると、全くテーマやコンセプトが伝わらない可能性が高くて、そこが心配になりますね。分かる人には分かる。みたいな感じでもいいんですけど、できれば遍く伝わってほしい….。


夏に聴きたい邦楽 - Japanese Summer Songs

夏っぽい邦楽、いろんな切り口があるなあと思っていましたが、結果的には昭和を感じるものになりました。

昭和歌謡からグループサウンズ、そしてディスコティックに盛り上がり終わる。爽やかというよりはだいぶ暑苦しい感じですね。

シティポップと言われそうでギリギリ言われないバランスの楽曲なのがミソです。なんかあんまりシティポップにはハマれないんですよね。80年代後半の音楽を国問わずほとんど聴かないからというのもあるんだけど、やっぱりわたしが好きなポップスとは質感が違う気がする。山下達郎と大貫妙子も実はそこまで聴いていないくらいで。1曲目の笠井紀美子みたいな、ちょっと生々しい感じがやっぱり好きなんです。こういうギリギリシティポップ外な音楽が1番良い。

あと、このプレイリストを聴くと、やっぱり細野晴臣の偉大さを感じます。彼がいなければ作れなかった。


夏に聴きたい洋楽 - Summer Songs

とにかくムーディー。異国の野外バーで夜くつろぎながら、ステージをぼんやりと眺めているイメージです。

カラッとしたアメリカンな夏景色から、シットリとした熱帯夜まで。いろんな夏の思い出を詰め込みました。ただ夏の楽しさを夢中で満喫しているんじゃなくて、もっと俯瞰して夏を追憶している感じですね。

異国情緒がありますが、特にどこかの国や島を想像しているわけではなく、まあ単なる熱帯概念です。赤道に近そうなところ。

自分の中ではかなり盛り上がる選曲をしたつもりなんですが、「良くも悪くも起伏がない」との感想をもらってしまって。「Summer Madness」の静かに熱くなっていく感じなんか最高だと思うんですけどね。

なんとなく人格を指摘された気がして、しばらくその指摘のことばかり考えていました。あんまり盛り上がったりはしゃいだりしない、というかできない気質が、聴く音楽にも反映されているのかな….。とかそんなことを。


夏休み - Long Hot Vacation

前回の、「夏に聴きたい洋楽」が、個人的にはすごく気に入っているんですけど、夏!ってテンションではないからか、人といるときに流してもやっぱりいまいち盛り上がらなくて。

これならどうだ!とできるだけ楽しげで盛り上がるハイテンションなプレイリストにしたつもりです。

どうですかね….?これ聴いて盛り上がれますかね….?楽しめますかね….?あっ、大丈夫です….。あの、僕はちゃんと楽しんでます。あの、イエ〜イ….笑。 ….とか言っちゃったりしてね….笑。はい、あの、あ、すいません…. 。

ま、別に陰気なわけではないんで良いでしょう。はっちゃけられているかは正直分かりませんが、最大限盛り上がっているつもりです。こういう開放的な乾いた音楽を聴くと晴れやかな気分になります。まさに夏休み。

肩の力を抜いて遊んだり出かけたり休んだりしてる、あの最高な感じがよく出せたと思います。かつ、夏休みでない時期に聴いても憂鬱にはならない、置き去りにされない程度のテンションの高さにしました。あ、じゃあ結局ハイテンションではないや。あー、でもまあ、陽気ですよ。


夏の終わりに聴きたい邦楽 - Japanese Late Summer Songs

わたしが作ったプレイリストの中では、一番J-POPしてるプレイリストです。

だって、夏の終わりってJ-POPすぎるじゃないですか。二人で浜辺を走ったあの日があるじゃないですか、最後の花火があがるじゃないですか、夏とともに僕らの関係も終わるじゃないですか。実にエモい!

まあ、要は切ない感じですよ。もう終わりか。という感覚に襲われる叙情的な季節です。

そうなると、つい物語性のあるプレイリストにしてしまいそうですが、できるだけそうならないようにはしました。ただただ単純に終わりの感覚を引き延ばして、それのみを感じられるような。


夏の終わりに聴きたい洋楽 - Late Summer Songs

「忘れられたユートピア」となんか似てるな。と我ながら思いました。あれは人工的な終わりで、こちらは自然の中の終わりなので、そこが大きく違いますが。

これもやっぱり、リゾートや南の島で過ごす楽しい日々の最終日って感じです。沈む夕陽を眺めながら、ヤシの木の下で内省する静かな時間。

後半は、「最後の夜は楽しもう。」って気分で盛り上がって踊れる、楽しげながらどこか悲しいソウルやディスコを入れました。

しっとりと汗ばむような水っぽさがどの曲にも通底していると思います。全ては水の泡となるように。


雨の日に聴きたい邦楽 - Japanese Rainy Day Songs

リズム重視の、梅雨の終わりに聴きたい邦楽とは対照的にこちらはモロに歌モノ。「名曲」って感じのものばかり集めました。

個人的に好きなだけかもしれませんが、雨にまつわる楽曲って、荒井由美の「雨のステイション」、中納良恵の「濡れない雨」あたりを筆頭にかなり名曲率が高いと思ってます。

同時にこのプレイリストは、恋にまつわる曲も多く、自分の作ったプレイリストの中で特に、相当ロマンチックな仕上がりになったと自負しております。雨の美しさをこれでもかと感じる。

ボーカルの質感がどれもとても良いですよね。優しげで落ち着いた女性ボーカルや、健気で切ない子どもボーカル。

わたしは雨って物凄く嫌い、雨の日の外出がこの世で最も気分が落ち込むし不快になるのですが、これ聴いてると、雨って家にいる分には素敵だななんて思えたり、優しく雨を受け入れられそうな気がしてきたりします。

かなり気に入っているので、雨の日に通学するときは自らよく再生しているんですよ。


雨の日に聴きたい洋楽 - Rainy Day Songs

これも梅雨とは対極。ただただ曲名に「Rain」とか「Rainy」とか入ってるだけなのですが、さすが綺麗な雰囲気の歌モノばかりです。ボブディランとかジミヘンとかニールヤングとか王道のロックスターも入ってますね。

ただ、一捻り加えたいなと思いまして、CANとかFaustとかクラウトロックも入れてます。聴けばどれもポップなんですけどね。

静かに雨を感じるというよりは、ミュージカルっぽい感じ。まさに「雨に唄えば」の雰囲気で傘を持って踊りたくなるような印象にしました。


月のうた - The Moon Songs

中秋の名月に公開したものです。

これも選曲基準は曲名に「moon」と入っていること。あんまりワードに引っ張られるのもよくないかなとは思うんですが、月っぽい曲というのもよく分からないし、このくらいシンプルにコンセプトを絞った方が、構成や曲の良さのみで勝負できるんじゃないかと思いまして。

フォーク→ロック→ジャズ→エキゾ→AOR→ニューウェーヴの繋ぎが自然で気に入ってます。

月についての作品は音楽に限らずあらゆる分野に古今東西存在しています。世界中の誰もがそれを夜に認め、詠んだり歌ったり崇めたりしているのだと思うとロマンがありますね。人類が月面に到達してからも月への憧れが醒めることはありませんでした。


秋に聴きたい邦楽 - Japanese Autumn Songs

秋の邦楽といえば、四畳半フォークみたいなイメージがありますが、あんまりそっちには寄りすぎないようにしました。夕暮れの懐かしさ、風の心地よさ、彼岸の恐ろしさ。日本らしい秋の憧憬を詰め込むことができたと思います。

裏テーマとして設定したものに「懐古」があります。そう言われると、昭和レトロのようなものが思い浮かんでしまいそうで、実際ちょっとそっちに傾いている側面もあるんですが、もっと個人的な懐古のイメージです。昔のあの人とか、昔撮った写真とか、昔住んでた部屋とか町とか。

そこにみんなが慣れ親しんでいたであろう童謡や唄を差し込み、聴いた人が、思わず自分の過去や架空の過去を思い出してしまうプレイリストにしました。

それを踏まえて、大橋純子の「砂時計」が終盤に流れると、まるで人生を追体験しているような気分になりませんか?


秋に聴きたい洋楽 - Autumn Songs

これ聴くと、わたしが音楽に対して感じる秋らしさがどんなものかよく分かりますね。特に楽器のチョイスに表れている気がします。

フォークギター、横笛、木琴、ピアノ、トランペット、ウッドブロックなど。つまりなんとなく「音楽会」みたいなイメージですね。クマやリスや虫たちが演奏する、森の音楽会的な。

まあ芸術の秋というだけあってか、学校の音楽会や合唱祭なんかも秋に開催されることが多い。本格的なオーケストラのコンサートではなくて、子どもや動物たちが小さな楽器を手に頑張って演奏しているような感じです。

公園で一人黄昏。こみ上げる淋しさ。肩に落葉。どこかで犬が吠えている。そんなときにはこのプレイリストをどうぞ。


冬に聴きたい邦楽 - Japanese Winter Songs

寺山修司を中心にできるだけアングラな雰囲気で作りたかったのですが、そういう日本のちょっとマニアックで古い音楽ってサブスクにはまだ全然ないなと感じています。

昭和アングラだけではないですが、前半は不穏で気持ち悪い雰囲気にしました。冬の恐ろしさや陰鬱さがよく出ていて気に入っています。

後半は少し捻ったJ-POP、からの往年の名曲。冬の優しさと多幸感がよく出ていてこちらも好きです。個人的な聴きどころは中島美嘉の名曲、「雪の華」のレゲエアレンジバージョン。これは最高ですよ。

そしてなぜか、アニメとゆかりのある曲が多くなりました。『ちびまる子ちゃん』から『哀しみのベラドンナ』、『悪の華』から『四畳半神話体系』、『ピンポン』など、実はサブカル臭漂うプレイリストに。

要はわたしは冬が好きなんですよね。季節の中では一番好きです。寒く厳しく淋しさと虚無感も激しい季節ですが、それによって、ふとした暖かさや楽しさが引き立ち、そんなときに最高の多幸感を味わえる。街にも甘いムードが充満していてどこかロマンチックな雰囲気があり、ただ過ごしているだけで良い気分になります。
そんな冬の魅力を詰め込んだプレイリストになっています。

最後の曲は、中山ラビによる弾き語りの「一年がおわる」。この優しさが沁みます。


冬に聴きたい洋楽 - Winter Songs

これも基本的には邦楽編とテーマは同じ。あらゆる冬の良さも嫌さも詰め込むぞという気概で作りました。

このキラキラしたピアノのイントロからの無邪気な子どもボーカルが最高です。

明暗が結構激しいプレイリストで、楽しげな始まりから一転、中盤は暗く絶望的な淋しささえ思わせますが、いずれにせよ終始乾いた空気感が漂い、ドロドロした情念のようなものは一切ありません。

美しいメロディばかりのはずなんですが、どこかスカスカしていて虚無な印象です。この漂白感がやっぱり冬っぽいなぁと。


クリスマス - Christmas Songs

クリスマスソング特集。逆張りで、クリスマスの日に三上寛の「気狂い」を選曲してわざわざ人にレコメンドしていた高校時代と比べたら随分素直になったでしょう!

ただ、誰でも知ってるクリスマスソングばかり並べても面白くないんで、ここでしか聴けないようなプレイリストにしました。王道だとしても、例えばワム!の「Last Christmas」は元々好きな曲なので入れていますが。結構攻めた選曲でもあるんじゃないかな。

クリスマスソングって、もはや1つのジャンルとして確立するくらい広がりがあって面白いですよ。誰もが知ってるあの名曲を色んな人が全く異なるアプローチでカヴァーする。これってかつてのロカビリーやガレージロックなどの世界を思わせますよね。曲というのが作曲者の所有物にならず、共有財産として多数のミュージシャンの前に提示される感じ。現代の歌モノの界隈でいまだにそういう感覚でカヴァー文化が作られているのってクリスマスソングくらいなのでは。

パンクやノイズ、アウトサイダーなど、アヴァンギャルドな選曲もしているので、既存のクリスマスソングには飽きてしまったという方にオススメです。

マライア・キャリーは入れてません。クリスマスシーズンにマライアのクリスマスソングを聴かないチャレンジをしているんです。街中で流れているのを聴くのもアウト。今年も頑張ります。


おわりに


とりあえず現状制作したプレイリストたちを紹介しましたが、今後も作り続けていくので定期的にこの記事は更新していくつもりです。

興味を持った方にはぜひ聴いていただきたいし、自身でも作っていただきたいです。

作って投稿する場合のハッシュタグは、#90分で構築されるそういう概念の組曲 でよろしくお願いします。

ここまでわたしの空想に付き合ってくださり、ありがとうございました!



プレイリストURL


最後に、わたしの使っている音楽配信サービス、それぞれのアカウントのURLを貼っておきます。

紹介したプレイリストを聴きたい、確認したいという方はこちらからどうぞ。

YouTubeに関しては、音源がない(特に邦楽)場合が多いので、SpotifyまたはApple Musicで聴くことをオススメします。


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