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わたし史について

『結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです』

多くの人間が耳にしたことがあり、多くの人間の胸に残っているフレーズだと思う。とても素敵な言葉。

その感性は持ち合わせているものの、どうも上手く消化できないものがある。

私は26年間、バージンガールであった。
あえてオムガールズみたいでかわいい言い方をさせてもらう。

26年間バージンガールであった人間が一体どんな人生を歩んでいたのか、どうか読んでいっていただきたい。

中学時代


勉強に部活に、楽しくとにかく元気に生きていた。
たしかお米3合とか食べてた。(お母さんごめん)
当時の私の好きな人は、バスケ部のキャプテンの彼。
クラスも出席番号も同じで、何かと一緒にいることが多かった。
寡黙でボケっとしていて、つかみどころがない。
だけどバスケが凄くうまかった。いつの時代もギャップこそが正義なのだ。

国語の授業で漢文を音読していた時、彼が当てられた文章がとても長くて。
読んでる途中で『はあ。。。』とでかめのため息をついた時、そんなところがほんとに好きだと思った。(今思うと独特すぎる)

ミサンガを編んでプレゼントして
腕に着けたら校則違反だからと、足首に着けてくれて。ディズニーに行ったらお揃いのスティッチのキーホルダーを買ってきてくれて、スクールバックに着けて友達に冷やかされたりしていた。
すごく甘酸っぱい恋愛だったと思う。

彼を好きだった2年間。
この2年間は私の恋愛の入り口であり、だけどやっぱり26歳の今でも言葉にするのを躊躇うくらいには、私の恋愛の元凶でもある。

高校時代

高校は女子高に進学した。
ひざ下のスカートに、白い靴下。
日傘をさしている学生が多く、いかにもお嬢様学校という感じだった。
地毛が茶色く、スカートを膝上まで捲っていた私はよく生徒指導で捕まっていたし、その程度でギャルポジションに君臨していた。(ラブアンドピースすぎる)
大学受験に備え高校二年生からは河合塾に通い始め、ある男の子と仲良くなった。
地元のイオンのタリーズで一緒に受験勉強をし、メールのやり取りをして、多分しっかり好きだったと思う。明日一緒に勉強しようというお誘いのメールを受け取り、嬉しくて実家のバカデカ冷蔵庫をペチペチ叩いていた夜を思い出す。どちらとも言葉に出すことはなくただ一緒にいた。
恋人関係になることはなく、だからこそ今も良い友人として仲良くしている。

大学時代

おしゃれな人がたくさんいるチャラチャラした大学に入ったし、しっかりテニサーに入った。
よくわからないお酒の飲み方をして、渋谷の街への溶け込み方を覚えながらこれまた楽しく生きていた。

サークルの先輩・バイト先の人・ライブハウスで出会う人。何度も恋愛のにおいはしたけど、どれもいい匂いはしなくてそれらは見えていないふりをした。男女の友情って成立しないのかなって何度も落ち込んだ。私は友達だと思っていたのに、あなたはそうじゃなかったんだね。言葉にしたらこの友情は壊れてしまうのに、それでもいいと思うほどの関係だったんだね。
今思うと仕方のないことだけど、当時は本当に鬱陶しくてめんどくさくて、寂しかった。

そんなこんなで恋愛とか恋人とかセックスとか、正直1mmも興味がないまま大学生の終わりが目の前まで迫っていた。マイノリティである自覚はあったし、それでいいと思っていた。

なだらかだった私の人生に傾斜がつき始めたのが、大学卒業を目前とした冬。
今のわたしを構成する全てである、彼との再会である。

社会人

再会後、私たちはあっという間に社会に放出された。この間まで何の責任もなかったのに、企業の名前を背負って社会人として生きる事に息苦しさを感じながらも、我々は我々としてまた関係性を進めることにした。何でもなかった同級生が、大切なパートナーとなった春。

彼との交際はその後3年半続き、また私にとってこの3年半は本当にかけがえのない、全てが大切で愛おしい瞬間であった。今の私を構成する全てであり、生きる理由だった。

恋愛を前提とした人間関係に全く興味がなかった私が、唯一興味を持った人間。
そんな彼とは、プラトニックな愛を育んでいた。
彼は所謂、アセクシャルというセクシュアリティだったのだ。

アセクシャル(またはエイセクシャル・エイセクシュアル・無性愛・Aセクシャル)とは、他者に対して性的欲求を抱くことが少ない、またはまったく抱くことがないセクシャリティだ。恋愛感情(好きという感情)を抱くことはあっても、その相手に性的な感情を持つことはないことが特徴である。性的マイノリティの人々をあらわす「LGBTQIA」の「A(=Asexuality)」がアセクシャルだ。

そんな彼と過ごす中で成長した私の価値観を、ここに忘れずに残しておきたい。

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