試着室で思い出したら本気の恋だと思う
大学生の頃
1番の友達が3年付き合った恋人と別れたあの日
彼女の話を聞いてる中で、今でも忘れられない言葉がある。
「服を選ぶ時、彼の好みか考えなくて良くなったんだなって思って」
そう言って、これお気に入りだけど着てなかったんだ、とKolorのスカートをつまんでくるっと回った。
なんだか切なくて、なんと声をかけたらいいかすごく迷って、そうなんだ。すごく似合ってるしかわいいと思ってたよ伝えた。
私の言葉を喜んでいる彼女は、どこか寂しそうだった。
逆説的にいえば、人は恋をすると相手の好きそうな服を選び、無意識の中で意識的に自分の好きを抑えるのだろうか。
恋愛がよくわからない私にとっては、到底理解できない感覚であり、なんだか窮屈そうだなと感じたのを覚えている。
あれから約6年が経った今、2023年の夏
サテンとシルクが大好きな私だが、初めてリネン100%のシャツを買った。
紛れもなく、恋人の影響である。
服が大好きな私たちは、出会った頃からよくセレクトショップへ足を運んでいた。
リネンや麻が好きな彼に対して、似合うね。私は苦手素材だけど。と何度言ったことだろう。そのわたしが、リネンのシャツを買うなんて。
いつぶりか分からない、ワンピースを2着買った。
かわいいから買おうの気持ちの中に、彼が好きそうだなが含まれている。
なんて単純なんだろう。
思わず笑ってしまうけど、8割ほどは「いろんなかわいい綺麗な私を見せてやろう』という傲慢な気持ちであるのもまた、よい私だ。
彼のことは好きだけど、恋愛に疎い私は今自分がどのくらい彼を好きなのかは正直よく分からない。
尾形真理子が言っていた、試着室で思い出したからこれは本気の恋なのかな。
いつまでもフレキシブルに生きたい。
わたしに制限をかけないために、人に影響されることも必要なのかも知れない、なんて思った夏である。
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