兵庫県知事選と大荒れ兵庫県政

〜20年にわたる井戸県政の遺産vs急進的な齋藤県政による混乱〜

こんにちは。ウミガメです。大阪府民の私には兵庫県におばあちゃんがいるので隣県のニュースは身近に感じております。兵庫県は神戸や芦屋というおしゃれなイメージがありますし、魅力あふれる山間地や海浜部、淡路島など島嶼部があり、日本の縮図と言われています。しかし、旧態依然とした政治とその改革による歪みもまた日本政治の縮図なのかもしれません。現代ビジネスの記事から一部抜粋、編集したものから読み解いていきます。

1.齋藤前知事の改革と腐敗した兵庫県政治

20年続いた旧体制の見直し〜

齋藤前知事は、改革派自民兵庫県議らと吉村代表をはじめとする維新による推薦を受け、2021年に当選。大阪府で職員として働いていた齋藤氏は2年で異動する予定だったが、吉村代表は大阪に引き留めていた。元々政界進出の意向もあった齋藤氏と手腕を見込んだ吉村代表の交流があったようだ。

当選後、齋藤前知事は改革を進めていく。隠れ負債とされた1500億円規模の地域整備事業や分収造林事業の負債の返済、外郭団体の天下り阻止。これにより負債を暴かれて恥をかかされたと感じた財政課の職員や定年後の職を奪われたベテランの強い反発を受ける。また、齋藤前知事は1000億円の兵庫県庁建直し中止を発表。1500億円規模の負債の返済に充てるためとした。これもまた、土木OB職員受け入れたゼネコンも何のために職員を受け入れたのやらと反発している。

さらに県立大無償化を提唱したことは、自民党国会議員の念願の政策だったこともあり、若手知事に奪われた恨みが出る。こうした不満を抑えていた、維新と交流のあった菅総理の退陣や有力者だった西村議員の自民党離党などを受け、兵庫県国会議員の知事批判の声が大きくなっていた。

→ここまで読んでいくと、自民党の県議は改革派と旧体制派に分裂し、旧体制側には一部県職員(特にベテランやOB)、自民党国会議員がつき、大きな権力や発言力を持っていたのかなと推察されます。この後に起こる大波乱は、齋藤前知事による急進的な改革がこうした勢力の強い反感に買ったことや改革派による強い後押しによって支えられていた構造が見てとれます。もう少し読み進めていきます。

2.西播磨県民局長の内部告発と自殺問題

〜局長の不満と議会の一連の動き〜

西播磨県民局長であるA氏は京大出身エリートで、井戸県政で人事を取り仕切っていた。本庁に戻る前提で西播磨県民局長の座に着いていたが定年目前に県知事交代により本庁に戻れなくなり、さらに元は齋藤知事と仲が悪くはなかったものの新しく設置された中心的な組織である新県政推進室に呼ばれることはなくがっかりしたA氏は「今の人事は低学歴」と不満を漏らす。

こうした流れを受け、3月に各所に送り先のない文書を送付。調査を経てA氏だと特定され、4月4日に公益通報窓口に届け出てこの問題が世間に知られるようになった。

A氏は今年7月、県の百条委員会に証人として喚問される直前に自殺。公益通報後にA氏は百条委員会に業務用PCの倫理上問題のあるデータの公開避けて欲しいと嘆願していた。第三者委員会による公益通報の内容の事実関係の精査があれば自殺は避けられた可能性が高かったという。しかし、百条委員会は知事退陣に追い込む政治劇を作り出すために利用され、性急な対応がA氏を追い込む結果になったのではないか。

週刊現代は

「齋藤氏に「改革」を進めるうえで不可欠な、部下・各関係先への配慮が足りなかったことは事実だろう。また少なからぬ県関係者が、齋藤氏の「ハラスメント気質」を指摘していることも事実だ。」

と締め、半年間の兵庫県政の混乱を招いたことなどにも触れた。

→非常に不可解な事件です。間違いなくA氏は現体制への不満や老後の心配があったようですが、少なくとも自殺が県知事のパワハラによるものではなく、業務用PCに残された倫理上問題のある私的データの公開を避けられなかったことにあるようです。もう少し、県知事や百条委員会が、どこかの段階で寄り添っていれば自殺は避けられていたはずです。しかし、この記事を読んだウミガメ個人としては、西播磨県民局長という公務員の中でも上に立つ立場でありながら倫理上問題のある私的データを業務用PCという公共の財産に置いた時点で公開を避けさせる権利はないと思っています。死んででも公開されたくなかった気持ちは重々理解できますが、弁護士を通じた話し合いや裁判などを通して大人の対応をしていただきたかったですね。残された人々の気持ちや兵庫県で働く人たちの立場に立つと、自殺による抗議はあまりに非合理的で不条理な手段であったなと、外野ながら感じてしまいました。とはいえ、もう亡くなられた方はご弁解もできませんので、ご冥福をお祈りし、この辺で終わりにしたいと思います。

最後に

大筋をさらっていきましたが、非常に面白い記事でしたのでぜひ週刊現代の元ページにて前後編を元記事でご確認ください。

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