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恋慕うこと

最近何かにつけ思うのは、恋愛の定義って何なんでしょうということ。私のクラスの後ろの黒板に、クリスマスまであと何日!彼氏募集中!みたいなことが書かれるようになりました。書いてた本人はきのう失恋したみたい。

恋愛ってなんだろうか。

『広辞苑』第6版では「男女が互いに相手をこいしたうこと。また、その感情。こい」と簡潔に記し、さらに「恋い慕う」は「恋しく追い従う恋慕」と記す。その「恋しい」は「1 離れている人を愛しく慕い、せつないほどに心ひかれるさま」「2 (場所・事物などが)慕わしい。なつかしい」と歴史的用法を踏まえて著わす。

Wikipedia

辞書の定義ではこうらしい。それなら、恋愛って2人でするものなのかな?私は恋愛をしていないのではないかしら。

でも私には、恋しい人がいる。

7年間、小学生の頃からずっと一緒にいた人。私は読書が好きだけど、彼は運動することのほうが好き。彼は数学が得意で、私は国語が得意。どこか正反対なところが多かったけれど、そばにいると居心地がよかった。

ちょっと色素の薄い髪や目の色が綺麗で、低めの声が優しくて、時々ちらっとこっちを見る上目遣いが大好きだった。はにかむように小さく笑うのが、ちょっとからかった後にこっちを伺うみたいにするのがかわいかった。
大体の人にぶっきらぼうな態度を取る彼が、私の声にはちゃんと答えてくれるのがうれしかった。席が近い時、彼の後ろにある時、授業中に目に入ってくるのは黒板ではなく彼の背中だったり、何気ない仕草だったりした。

私は、漠然と彼が好きだった。ずっと一緒に居れるものだと思っていた。

高校受験の時も一緒だった。彼の前の席で試験を受けた。緊張したまま教室に入って、彼の顔を見て少しだけそれが和らいだことを思い出す。

私は合格して、彼はそうならなかった。学校のアーチ下で、同じく受かった友達と抱き合いながら、嬉しいのに、本当に安心していたのに、でも素直に喜べなかった。不合格だったのだろう、大泣きしている人がいた。彼もそんな顔をしていたんだろうか。

合格発表の日からもう半年、それ以上経つのに、私はいまだに彼を想うし、何ならちょっと泣いている。私が恋しく思うのは、恋慕しているのは、中学を卒業するときまで一緒にいた彼だ。月日が経ち、環境も大きく変わったのだから、私も彼も変わっているだろう。再会が思っていたようなものではなくて、なんだということになっちゃうかもしれない。それでも私は会いたい。

そう思って、ようやっと勇気を出して、友人伝手にLINEを聞いたのに、それなのに、

彼はスマホを持っていません

ということらしい。詰みではないだろうか。泣いちゃう。そういえば彼から、父は厳しい人だと聞いたことがあった。スマホは望み薄だと、そう言っていたけれど、本当に、本当に、もう。

スマホがあると健康に悪影響は出るし、勉強だってしづらいだろう。間違いない。間違いないけれど、それでも私は彼がスマホを持っていたら、連絡手段があったらと思う。私のエゴでしかないことはわかっている。でも会いたい、顔が見たい、声を聞きたい。せめて文字でもやり取りをしたい。

書くだけ書いたら、なんだかすっきりした。私にできるのは、もうちょっと足掻いてみるか、気持ちが風化するのを待つか。新しい恋愛でもしてみる?一応華のJKではあるわけだし。まあなかなかそうはいかないかな。

本当にずっと一緒にいたから、ふとしたことで記憶が蘇る。その度に、自分が思ったより甘酸っぱい気持ちを抱えていたことに今更気づく。こんな思いをするなら、卒業式の時に言えばよかったかも。でもそれは何か違うように感じる。

人の気持ちってままならないですね。少なくとも高校生の間は、この気持ちを抱えることになるんじゃないだろうか。それも人生ですね、知らんけど。まとまらないけど、書き散らしたものをそのまんま公開してみる。罷り間違って本人に届かないかな。それはそれで恥ずかしいけれど。

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