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たばこ、お酒、逃げ道
タバコはうまい。
タバコを吸っている人間の気持ちが理解できなかった。
今の時代タバコが体に悪いという話を聞かずにタバコを吸い始めた人間はほぼいない。
今生きているほぼ全てのタバコを吸っている人間は、これは体に悪いものですと喧伝される中でタバコを吸い出した人間である。
彼等の気持ちが本当に理解できなかった。
人生には、時にこれからの健康を犠牲にしてでも、今を何かにすがって生きずにはとても居られない瞬間があるとは思わなかった。
頻繁に死んだら楽だろうと思いながらギリギリのところで生きるのが人生だとは思わなかったよ。
とてつもないストレスに晒される人間、例えば経営者やエリートのサラリーマンが筋トレやサウナにハマる理由もわかる。
極度のストレスを発散するにはそれを上回る身体的疲労が必要である。
まともな家庭を築けるはずもない。
私のお世話になっている支店長の家庭は悲惨なものである。
一人娘は素行の悪い男に捕まり、日々血反吐を吐く思いで働く親の賃金を貪っている。
これが幸せか?
違うよなぁ!!!
今すぐにでもあの会社にフォークリフトで突撃してやろうか。
お前たちの築いた砂の城に背負うべき世帯もない無敵の新社会人パワーで風穴を開けてやろうか。
時に健康よりも目の前の仕事のストレスから逃れることを優先させてしまうこの社会はおかしいよ。
仕事をする人間が皆大きなストレスを抱えていることが俺たちが同様に大きなストレスを抱えなければならない理由にはならない。
俺たち以上に辛い人間がいることが俺が辛くない理由にはならない。
アフリカで1分間に何人が死のうが、俺たちが死に救いを求めてはならない理由にはならない。
コーヒーひとつをウーバーで宅配できるほど人間の命の軽い社会ではいけない。
Amazonで買った商品が明日届かないことに苛立ちを覚えてはならない。
誰かの命の削りかすが積み上がったこの便利社会をぶち壊せ、Z世代よ。