【M-1グランプリ2024感想】これが本当に少年ジャンプだったなら
真空ジェシカ
バッテリィズ
令和ロマン
3組ともマジでアホほど面白いM-1史上最高の最終決戦だったことは間違いないとして、令和ロマンが2連覇を果たした瞬間なぜか自分でも意味不明なほど悶々悶々モンモンしてしまって気持ちの整理がつかない昨晩でした。
ラストがトム・ブラウンだったのも
巻末の『ピューと吹く!ジャガー』みがあった
阿部一二三さんの引くくじ順といい真空ジェシカ1本目「商店街」ネタといい、個人的には“少年ジャンプ”というキーワードが随所で頭をかすめた今大会。
せり上がり登場からすでに帝王のオーラをまとっていた令和ロマン。今大会においては圧倒的ラスボス、見方によっては打倒すべきヒール(悪役)なわけで、例えるなら『僕のヒーローアカデミア』のヴィラン連合?ってなるとそれは露骨に敵すぎる、それなら………
と、好きなジャンプ作品に当てはめていった結果「令和ロマン=白鳥沢高校(ハイキュー!!)」という位置づけが一番しっくりきたのでご報告させてください。
白鳥沢高校といえば、ハイキュー!!初期の全国高校バレーボール男子インターハイ予選編で主人公有する烏野高校をフルセットで破った青葉城西、を、あっさり一蹴して優勝した県内不動の覇者。強すぎてヒール。ゆえに令和ロマン。
そのインハイ予選を令和ロマンが優勝したM-1グランプリ2023とするなら、M-1グランプリ2024は次の春高予選編。
決勝の烏野高校 vs 白鳥沢高校
不遇続きだった古豪のチャレンジャーが
フルセットの激闘の末に
王者を
打ち負かす!!!!!!!!!!!!!
という少年ジャンプのお作法どおり「審査員表が割れに割れまくる激闘の末に、真空ジェシカが、悲願の、初優勝!!!!!!」という未来をどこかで疑いなく信じ込んでいた自分に気づいて膝から崩れ落ちました。ジャンプはジャンプ。M-1はM-1。
ということで、わたしにとってM-1グランプリ2024は「真空ジェシカ優勝を願う気持ちが自分でも予想外なほどに強すぎて、過去イチ面白かった一方で過去イチ胃痛がすごかった大会」となりました。
前フリが長くなりましたが、ここから振り返りです。
まずは、カベポスターの勝ち上がりを願う気持ちが強すぎて胃痛がした敗者復活戦から!
横顔-1グランプリ
推しオブ推しのカベポスターはAブロックのトリ。かつてM-1ツアーで腹抱えた「絵本」ネタだったけど、爆発し切らず金魚番長との一騎打ちで敗退。出だしからつらしんど悲しい。その後、浜田さんが早起きしてゲン担ぎした神社が恋愛成就系だったツイートしててフフッ…となりました。
金魚番長おもしろかったね。あと、どハマりせずともその後頭から離れなかったのがフースーヤの「じじいレンジチーン!」でした。今夜も星が綺麗・三福エンターテイメントさんは「わっかない……?」の声が良すぎた。
Bブロックが、死のブロックすぎて!!!
敗者復活戦における事実上の決勝戦みたいなメンツ。中でも家族チャーハンは「ゴーンゴーンカレー」「ゴーゴーカレーの過去分詞刑……!」でもう優勝ボタン押したくなるほど好きでした。
敗者復活戦全組のなかで個人的にいちばん面白かったのが家族チャーハンで、一緒に観ていた友人は男性ブランコ。男ブラはあの国語&数学教師な見た目でどこよりも激しい肉体派ネタをするギャップが本当に最高です。
家族チャーハン推しだったファンたちの「マユリカいらん」「けっきょく人気投票」の声には「そんなこと、ないやろォォ!!」と心の中で強めにリプライ。狂うに人形と書いてチャッキーどす~で持っていかれた京都の女どす。
Bブロックが怒涛すぎてCブロックはちょっと凪。個人的にはじわじわじわじわ弱火であぶられ終盤ではケラケラ笑い続けてしまった「例えば炎」が一番でした。
金魚番長、マユリカ、インディアンスだったらやっぱりマユリカだったので、マユリカが上がって嬉しかったです、マル!
敗者復活戦終了直前に三連単ツイートを投下。1位と2位は確定事項、3位をエバース or トム・ブラウンで迷った末にコレです。去年の敗者復活戦で酸欠なるほど笑ったもんね。
そして、伝説の本選が始まる
なにが伝説って、柔道の現レジェンド阿部一二三さんの引き。
1番:令和ロマン
2番:ヤーレンズ
3番:真空ジェシカ
開始即最終決戦カードなのよ。
令和ロマンの決勝進出までは全国民が予想できたとはいえ、2年連続トップバッターはさすがに行き過ぎドラマチック。昨年以上に荒れるぞ………。
1番:令和ロマン
荒れた。
出だしから追い風がすごかったですね。去年は去年で客席の温かさが常夏の楽園ベイベー状態だったけど、今年はもはや赤道直下のソレ。
ベースはわりとオーソドックスな名前いじりネタだけど「席順最強は渡辺」に納得せざるを得ない喋りと動きのうまさ。崩れない王者の安定感がやっぱり白鳥沢。
ただ、やっぱり良くも悪くも盛り上がりが異常だったというか、「また今年も令和ロマンがトップバッターだ!!!!やべぇ~~~~!!!!!」というドラマの熱に当てられて、わたしも友人も会場も38.5℃の浮かれた発熱モード、通常比2.5倍くらいで笑ってた気がしちゃう。
今朝改めて平熱モードで1本目を見てみると「めっちゃくちゃ面白いのは間違いないけど、ここまでのレベルで盛り上がる、か………?」となってしまった我々。でも、こうして流れも空気も全部自分たちのモノにするところが覇者たるパワーなわけで、やっぱすげェです。
2番:ヤーレンズ
昨年1本目のヤバいおばはんが「不動産屋」から「おにぎり屋」に業態チェンジ。楢原さんのヤバいおばはんが大好きなので、出だしの「ふふ、お米が立ってる……………座れェェェェ!!!!」で歓喜の拍手笑いしちゃったわね。
楢原さんの「OK牧場ボリビア支店」みたいなボソッとボケも、出井さんの「鈴木宗男?」みたいなボソッとツッコミも、ことごとくわたしのツボに入って気持ちいい。
好みでいえばこの時点で「令和ロマン<ヤーレンズ」だったので、まさかの25点差+思いのほか手厳しい審査員コメントにンンンン!??となりました。坂本冬美&嵐の深追い落ちこみボケの緩急がハマった民なのに、そこがピンポイント指摘されててンンンンン~~!??と飲みこめず。
え、え、みんなどうだった??
ヤーレンズ、そんなにアレだった……???
3番:真空ジェシカ
優勝(即落ち)
もう全ボケ全ツッコミ全拍手。おなじみ「商店街」ネタの偏った政党ポスターに今年の都知事選絡めるのがもうM-1グランプリ2024。
昨今のM-1では「連続出場=ハードル爆上がりからの失速」がほぼ定石だったのに、1年目より2年目、2年目より3年目、そして3年目より4年目(今年)と面白さが右肩上がりなの、本当にカッコ良すぎて鼻血が止まりませんでした。これで令和ロマンの1点下なのが苦しすぎていったんベランダに避難した。
4番:マユリカ
今回はトップバッター以上に4番がババ状態だったので、ここで敗者復活枠はある意味順当だなと思い……つつも「大急ぎで負けに来たってことですか?」という阪本さんのコメントが切な面白すぎて泣き笑い案件。
去年のネタが思いがけずドハマりしてしまった反動で、去年ほどは響かないな……とは思ってしまったけど、校歌と称した六甲おろしサウンドの上海ハニーは脳みそバグって笑いました。
5番:ダイタク
初めて観る双子のせり上がり登場、立ち姿と顔面の迫力がすごかった。ここまでドカンドカン系の高温ネタが続いたのもあり、ダイタクの安定したしゃべくり双子ネタは心地よかったし「タクがこっくりさんをやったのに憑りつかれたダイさんです」のシチュエーションと言葉のリズム感が最高でした。
その後の大反省会や打ち上げを見ると、ダイタク自身が「安牌なネタ選びをしてしまった」と少し後悔している様子だったので、来年すでにエントリーしてるらしいTHE SECONDで安牌じゃない双子ネタ観るのが楽しみです。
6番:ジョックロック
NHKお笑い新人大賞で観たときは激しめのツッコミスタイルがあまりハマらなかったのだけど、今回はあの動きで「やっぱり、マイナンバーカード、ちょっと怖いな~~!!!」の掴みがどストライクすぎて嗚咽笑いした。
ボケ一つひとつのハマり度にかなり差があったので最終的にあまり点が伸びず残念だったけど、これでボケの制度が上がったら霜降り明星みたいな爆発事案になっちゃいそうで期待大です。
7番:バッテリィズ
このジャイアントキリングはまったく予想してなかったし、エースくん絶対「ジャイアントキリング」の意味知らんやろなって思える可愛さも含めて全国民がメロメロになってしまう史上最高峰のアホ漫才でした。
「全部聞き取れたのに!」「自転と公転さえわかれば!」あたり、めっちゃアホなのにめちゃくちゃ高度な言葉選びしてるし、「働け!」「言うてる場合か!」「俺よりアホやん!」なんかの偉人ツッコミもシンプルアホなのに(だが確かに……!)と思わせる説得力もあって、結論ボケ偏差値が高すぎるアホ。あと相方・寺家さんの顔面と雰囲気と話し方がいかにも頭いい側なのバランス感良すぎる。
文句なしのぶっちぎり第1位、ではあったけど、正直この展開はまったく予想していなかったので「このあとエバースとトム・ブラウンを控えての、真空ジェシカ現在3位……?」と震える後半戦が始まってしまいました。
8番:ママタルト
…………ハマらず><
ママタルトファンの人たちが「いつものママタルトじゃない」「もっと面白いのに」みたいなツイートをしていたので、よかったら「もっと面白いいつものママタルト」のネタ教えてほしいです。観る。
9番:エバース
序盤の「静」な時間が長かったので去年のカベポスターを思い出してちょっとハラハラしたけど、ためてからの初手「さすがに末締めだろ」で会場の空気が見事に一転したのが超気持ちよすぎて新型アハ体験。
その後はもう「チッ都市開発」「1階の外だろ」と町田さんの端的な低温ツッコミがすべてハマるわ、「じゃあ1階はオレが見ます」「好きな男待ってる女の顔なんてわかるに決まってるやろ」の強面人情派な一面に心くすぐられるわ、「女は丘なんて気にせん」「女は空間把握能力が低いもんね」の唐突で絶妙なラインの女いじりも巧みだわ、しっかり右肩上がりで笑いが膨らんでいくわで総じて本当にお見事だった。
あまりにもエバースが良かったので、本来であれば最終決戦に上がってほしい………
ところだけど、どうしても真空ジェシカが最終決戦」に残ってほしい。高得点に次ぐ高得点からの1点差で真空ジェシカ勝利がわかった瞬間、申し訳ないけどあまりの安堵でベッドにダイブしました。でもエバース、来年も絶対に決勝で観たいよ!!!!!
10番:トム・ブラウン
令和ロマンで始まってトム・ブラウンで終わるM-1グランプリ、いつにも増して異種格闘技戦が過ぎる(期待どおりの展開)
3回戦でやってたかつての「合体」スタイルだったら……とドキドキしたけど、去年の敗者復活戦スタイルで良かったです。扇風機化したあとルンバにのせられる布川さん、見たことない人間の動きしてて涙出るほど笑った。
昨年と比べてしまう&審査員の評価がうまくバラついて点数伸びきらないのは納得だったのと、ともこ姐さんの「トム・ブラウンに点数は要らない」が国民の総意すぎて、トム・ブラウンらしい有終の美を飾ったな~とホクホクしました。
そして、もう何よりもコレです。
そして、史上最高の最終決戦が始まる
1番:真空ジェシカ
わたしがこれまで見てきた真空ジェシカのネタって、基本的には毎度シチュエーションを変えての爆笑小ネタ博覧会なわけで、最終決戦でもそう来るのかな、でもそれだと流れ的には不利っぽいな……
なんて、お笑い素人のウダウダした心配を一蹴してくれる「ピアノがデカすぎるアンジェラ・アキのコンサート」でした。ピアノがデカすぎるアンジェラ・アキのコンサートってなに。
M-1グランプリにおける最長沈黙時間、2010スリムクラムをぶっちぎっての断トツ歴代1位(当社比)
しかもその間の「プレデター化したアンジェラ・アキの徘徊」は面白いのに緊張感エグくて、あれ観客みんな息止まってませんでした? わたしは止まってた。あとプレデター化したアンジェラ・アキの徘徊ってなに。
もはや窒息寸前、からの、隣会場から小さく聞こえてくる長渕剛のトンボで、せき止められてた笑いのダムが爆破決壊。その後はもう最後までずっと笑い壊れていました。優勝(2回目)
ダレ手紙明美さん
2番:令和ロマン
1本目に安定した上質なしゃべくり漫才、からの2本目コント漫才でさらなる大爆発。去年の再放送すぎん????(褒めてる)
もう各ネタ一つひとつの精度も全体の構成もふたりの演技力も流れを読む力もどの項目とっても文句なしのオール5。ミルクボーイのネタを借りるなら「コーンフレークの栄養素を表す五角形」くらい全方位に突出してる。
今年10月に考えた新作2ネタだけで挑んだらしい今大会。どっちもクリティカルヒットさせるの、なんかもう本当にすごいとしか、としか………(語彙の喪失)
3番:バッテリィズ
最近はそこまでだったけど「1本目が強すぎて2本目がちょっと物足りない」のはM-1最終決戦あるあるだったわけで、バッテリィズも例にもれず……という評価が多かったけど、わたしはアホの墓攻めがしっかりハマった派でした。エースくんが楽しそうだとみんな嬉しくなっちゃうね。
M-1終了後、令和ロマン・くるまさんの分析では「バッテリィズが最終決戦トップバッターだったら負けてた可能性があった」らしく、そのあたりも含めてやっぱり令和ロマンの“もってる側”感がすごい。
そして序盤に戻ります
お伝えのとおり、3組ともマジでアホほど面白かったし令和ロマンにこれだけ票が入るのも全然納得、令和ロマン本当にすごい、カッコいい、心からおめでとうございます!!!!!!
という前提のもと、M-1グランプリにおいて「連覇」というドラマは、もしかして、あまり、お呼びではないのでは………?と感じてしまったのも正直なところでした。この日まで挑戦者であり続けた「次の誰か」が夢を掴む、そんなM-1ドリームであってほしい。
これは実際令和ロマンが2連覇しないと出会えなかったお気持ちなので、それはそれで意義がデカいし、あとは単純に真空ジェシカが優勝逃して拗ねてるのもあります。だって、あのネタで優勝じゃないのおかしくない……?(個人の感想です)
と!
あーだこーだ言いつつ、ここまで笑って泣いて胃痛してぐちゃぐちゃに感情かき乱されるM-1グランプリ、やっぱりめちゃくちゃ最高ですね。
特に、今年の決勝&最終決戦は確実に歴代最高レベル。もうずっっっっっっっっっっっ(いったんCM)っっっっっっっっっっっっっっっっっと笑い続けて本当に幸せな時間でした。
最愛のM-1仲間と「次こそは敗者復活戦会場で観るぞ!」と誓い合ったので、終わったそばからM-1グランプリ2025が待ち遠しいです。
<余談>
祭りにあやかってバズったけど
令和ロマン「終わらせよう」
ヤーレンズ「終わったみたいなので始めますね」
が正しいです。恥ずかしい。