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ワンカップと傘が教えてくれた その1
おじいちゃんが好きだった大関のワンカップ。
いろんなワンカップ話を母から聞くけれど、
あまりいい印象ではなかった。
朝からお酒を飲んでいた、
ふといなくなったら自動販売機で
「ガチャン」という音。(ワンカップを買ってたそう。)
お酒ばかり、と聞かされていた。
最近意外な側面をいろいろ知ることができたからこそ
より"おじいちゃん目線"で見てみよう、そう思った。
だから、あらためて、
なぜワンカップだったのだろうと、
思いを馳せてみる。
ワンカップの由来を調べてみた。
ワンカップは、当時の大関社長・十代長部文次郎の「コップをそのまま酒の容器にしてメーカー名の入ったラベルをつけて売り出す」という提案を受けて商品化が企画された。
カップのデザインは、飲みやすい広口瓶の瓶形を東京芸術大学の小池岩太郎、青地に白抜きで「ONE CUP」の文字が入ったラベルを東京女子美術大学の松川烝二の2人が中心となってまとめた。当時の日本酒の瓶ラベルは漢字か仮名のロゴが当たり前で、アルファベットのロゴは珍しかった。
当時の日本酒は一升瓶から徳利へ移して呑む
のが一般的だったが、手軽さという伝統的な
日本酒の呑み方ではない、新たな視点が
若者たちへ広がったそうだ。
発売は当時の東京オリンピックに合わせた発売。
やはり伸び悩んでいたそうだが、
キヨスクで販売され鉄道との相性の良さで
次第に広がっていったそうだ。
そこから様々なカップ酒が広がる。
この最初の火付け役を担う、斬新さと、
対象の世代を変えて広げようとする部分は
とても参考になる気がする。
今までの”当たり前”に目を向ける。
デザインを一新、アルファベットでの展開。
伝統的な消費パターンにとらわれない若者へ向けて。
今、日本の伝統文化が失われつつある。
世代を超えて繋げていくためにはやはり
新たな視点で伝統を見つめ直す必要がある。
大関のように。
若い世代にどのように伝えていくか。
名前のことだまを学び、
一音一音に見えてくる日本人が大切にしてきたこと。
神社などあらためて日本の持つ伝統にやはり惹かれる自分は
この視点を大事にしてゆきたい。
手軽さ、利便さという当時の伝統的な清酒に
欠けた商品性を全面に出した「ワンカップ」。
たとえば毎年手作りしている「お醤油」。
今年の仕込みが終わり、昨年の仕込み醤油を搾った。
![](https://assets.st-note.com/img/1681831203231-21w1nzWZ3E.jpg?width=1200)
これも手作りであることはとても手間のかかるもの。
でもこの手間にこそ、価値がある。
そして毎年の繊細な変化を感じられる。
季節や天候など環境に合わせてどう仕込むか、
たくさん考えさせられる。
こんな風に始めから大変な作業は難しい。
最初から諦めてしまう。
だからこその「入り口」となる部分で
いかに興味、関心を惹くことができるか。
そこはやはり手軽さ、利便さは大切になってくる。
良さを知ってからこそ、
徐々にできることを増やしていけばいいのではないかと思う。
おじいちゃんが通訳を通じて海外との交流があったこと、
文学に長け、小説を書いていたこと、
同時に伝統や芯の大切な部分をしっかり見つめていたこと。
「ワンカップ」を手にしていたのは
この1杯から広がる世界を楽しんでいたからではないかと思った。
新たな時代をつくる視点、
若い世代へとつなぐ視点。
令和の時代は世代を超え、
世代を結ぶ時代だとあらためて感じる。
伝統で残っているものは
やっぱり「素晴らしい」のだから。
やっぱり「大切」なのだから。
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