あの日のわたしは"なんでもない子"1

本当は、小学校の低学年の頃には気がついていた。


「あの子のペンケース、取ってきてかわいいペンを分けよう」


ダメという感覚はなくて、刺激的でもない。ただただ、わたしにそう言って頼ってくれた1つ上のSちゃんのことが大好きだった。Sちゃんの言うことなら、きっと楽しいはずだ。間違いなく"未発達"なわたしは、それが人に迷惑をかける人としてやってはいけないことの常識に気が付かず、言われるがまま、
されるがままの小学生を送っていた。


それでも、

だけど、
いいのかなぁ
Mちゃんは、困らないのかなぁ
体育の次は算数なのに。


チャイムがなり、外へ出たころには保健室に行くふりをして、Mちゃんのペンケースを机の中から取りに行った。

トイレで待ち合わせていたSちゃんが中身を見ながら、その中の黒ずんだシャープペンシルの余りを私にくれた。


その日の夜、母の雷が落ちてからは
何故やったの、とか
聞かれた気がするけれど
わたしは大好きなSちゃんのことをどうしてもいいたくなかったので、終始無言だった気がする。


初めての悪事は、
学年全員に無視されることで
"わたし"の存在をこの世から消した。Sちゃんはどうなったかはわからないけれど、今はMちゃん、あの時はごめんなさいと、心から謝りたい。会えるなら、あの教室での出来事を、口に出して

Mちゃんを傷つけたこと、
それから

Sちゃんも居んだよ、と。

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