【 時間 ③ 】
#脳血管#脳オペ#コイル#脳幹#IgA腎症#全身麻酔#ICU#ステント
意識が、まばらな中、ICUへ。
オペが終わった時間も分からず、現在の時間も分からず。
睡眠ならば、だいたい、何時間寝たなぁ〜と言う体感のようなものがあるけれど、そんな感覚が、全くない。
本当に、時間が途切れた。
わたしは、仕事柄、時計を見なくても、だいたい、時間感覚は保っている方だと思う。体感は、業務の忙しさによって、早くも遅くも感じる時はあったけど。
こんなにも、把握できない感覚は、初めてだった。
ドクターが、会いに来てくれた時に、なんとなく時間を聞いたようだが、その確認したはずの時間だけが曖昧。
ドクターとの他のやり取りは、鮮明に覚えているのに。
そのやり取りもまだ、もやもやした景色の中で、視界が良好でもなかった。
景色は霧かかったようなベールを纏っているように見えていた。
声かけてくれ、数回やり取りしたけど、その後は、覚えていない。
夜9時になったら、水分飲んで良いよ。と、ドクターが言ったので、まだ、9時では無いんだ。
そう思いながら、知らぬ間に、寝たのか、記憶が無い。まだ、麻酔から、しっかり醒めていない。そう、痛みもまだ意識の外だった。
ふと、目が開き、見える天井が暗い。
暗いが、まだ、消灯していなかったと気付くのは、だいぶ経ってから。
なんだか、かなり、寝ていたのではないかと思うような(良く眠った、睡眠を取った感ではなく)時間が過ぎたような気がして、ちょっと周りを見ると、ドクターと話していたナースが、そばにいる。
そのナースに、ナースコールがあることを教えられ、届くところに置くと説明を受ける。
どうやら、ドクターとやり取りしたのは、ついさっきだったらしい。
ドクターとのやり取り後、2時間ぐらいは経ってから、目が開いたのだと思っていたが、数分過ぎただけのことだった。
特に、眠いわけでもないが、眠い感覚はないが、頭がボーっとするのと、まだ視界が良好でないし、見えても、天井だけなので、目を閉じる。
しばらくすると、そばで声がする。
小さく聞こえ声に反応して、目を開ける。
担当のナースが見えたので、「もう夜の9時になった?」と声かけるが、
まだなっていなかった。どうやら、20時過ぎだった。
どうやら、ドクターがやって来たのは、18:30頃だったらしい。
軽く、4・5時間が過ぎたような感覚だった。
再び目を閉じる。
徐々に、痛みを感じ始める。感じ始めた痛みが、いきなり、強烈なレベルから始まる。
痛みの弱さが、だんだんと強くなる感じ方ではなくて、痛みを感じ身体の部位が、徐々に増えていくという感じ方。
その痛みに悶え始めると、もう時間などわからない。
いやいや、現状の時間と、そもそも、一致していなかったので、わかってはいないんだけど、体感が…、間違いながらも、持っていた時間の感覚さえ無くなった。
あまりにも痛いので、ナースコールを押そうとしても、押す力がないことが判明する。
諦める。
チャレンジする。
諦める。
繰り返して、サーチをつけた指だと、なんとなるのでは…。
ようやく押せて、ナースに時間を確認すると、22時。水分をもらう。
半日過ぎたかのような気分だった。
そう、こんな感じで、束で時間を感じるのに…。
もう、確実に、6時間は経ったと思うレベルの体感が、たったの1・2時間だったと知る時の
ちょっとした絶望のような驚愕を覚える。
麻酔が残っているから、時間が把握できないんだろうなって思っていたものが、麻酔が切れつつある中で、出て来る痛みで、
痛みの渦の中で、今度は、時間が把握できないようになっていた。
この時間感覚の失い方は、過酷だった。
そう、痛みが激しいだけに。
ナースは、痛いのは、しょうがない。
麻酔が切れていってるからね。
つまり、痛みをこれから、どんどん感じ切るだけの時間となる。
一晩が過ぎ、朝食がやって来る頃の時間には、
軽く二日は過ぎただろう。
そう思うような感覚だった。
まだ、麻酔が効いていて、寝るではなく、
痛みが強過ぎて、意識を飛ばす。
痛みで意識が戻る。
それを繰り返していたので、ようやく、一晩が過ぎただけの時間に、理解が及ばなかった。