グラフィックデザイナーが共創型の場づくりを通じて、クリエイターチームの一員として商店街回遊のARゲームを作った話
半年間で、「ゲーム×〇〇の可能性」は見えたのか?
この半年、夫婦揃って新しい働き方LABの指定企画「the Port kakegawa」に参加し、「静岡県掛川市」における共創型の場づくりを通じて、地方の街を豊かにするという実験をおこなってきた。
夫婦2人とも、活動の軸として「ゲーム×〇〇の可能性」を掲げて、半年間の研究員活動をおこないたいと考えていた。
指定企画「the Port kakegawa」の中でも、夫婦が所属したのは「ゲーム部」。
ゲームという観点から「掛川」という街に何か新しい価値を創出できないだろうか、と考えて活動してきた。
結論、「ゲーム×〇〇の可能性」は見えた!
今回の指定企画では、「商店街回遊のARゲーム」をクリエイターチーム、それもゲーム部を超えてさまざまな研究員の力を借りながら成果を出すことができた。
詳しくは、下部の「半年間の活動」「実験結果」に詳しくまとめたので、参照してほしい。
指定企画として結果が出ただけでなく、活動を通じて自分のことを振り返った結果、「ゲームと自分の働き方・生き方」について考え直し、今後何をしていきたいのかを明確化するきっかけになった。
この指定企画だけでなく、自主企画も含めて、この半年の活動に非常に意義があったと感じている。
↓半年前の、実験計画書はこちら↓
オット「クリエイター・働き方」、ツマ「家族・生き方」の軸で報告書をまとめた
普段の仕事でも、夫婦2人で関わる仕事については大抵隣同士で情報やデータを共有しながら仕事をしているヤコ夫婦。
大体、考えている方向性は似通っていることが多い。
「この指定企画に関わってみてどうだった?」と夫婦で雑談をしていて感じたのは、それぞれが別々に報告書をあげても、大体同じような内容になってしまいそうということだった。
そこで、オット視点では、「ゲーム部の活動でクリエイターとして掛川という街に関わってみて、働くことへの感じ方がどう変わったか」を、
ツマ視点では「家族でワーケーションを兼ねて掛川という街に関わってみて、今後の生き方について感じることがどう変わったか」を中心にまとめることにした。
こちらの記事では、オットが「クリエイター・働き方」の視点で報告をまとめている。
ゲーム部の活動で、グラフィックデザイナーとして共創型の場づくりを通じて掛川という街に関わってみて、働くことへの感じ方がどう変わったか?
指定企画「the Port kakegawa」での活動で、やりたいこととして実験計画書の時点で考えていたことは以下の通り。
具体的に、どのような活動をしてきて、何を感じたのかをまとめていきたい。
◆半年間の活動
「妖怪商店街」決定まで
「the Port kakegawa」のゲーム部は、6月21日にキックオフ。
Zoomでチームリーダーのシモカタさんの元に集って、初めての顔合わせ。皆それぞれにどんなことをしたいかを話した。
「オリジナルキャラクターをモデリングしたい!」
「司会やアフレコしたい!」
「まちづくりに興味あり!」
「街をめぐる謎解きゲームを作りたい!」
メンバーそれぞれがやってみたいことをMTGで出し合って、「3DCGを活用したAR宝探し街歩きゲーム」をすることになった。
その後、8月に掛川の商店街の方のお話も伺って、最終的に10月29日に掛川城周辺で行われる和風ハロウィンイベント「掛川百鬼夜行」のタイミングにあわせて「妖怪商店街」というゲームをつくって設置することになった。
その際には「アート部など他の部の方とも協力して作っていこう」という方向性まで確定。
商店街の方からは、
「昨年も『掛川百鬼夜行』のイベントはあったが、その際は商店街を訪れてくれる参加者が少なかった。今年は、イベントに来てくれた人が商店街も回遊できる仕組みを作りたい」
というお話しを伺った。
そこで、掛川にまつわる11匹の妖怪をテーマに、オリジナルの妖怪キャラクターを作成。
商店街の10店舗にそれぞれ1匹ずつ+チラシに1匹、合計11匹の妖怪が登場するQRコードを用意して、カメラでスキャンすると妖怪が現れるという仕組みを作ることになった。
この時点で、本番まであと2ヶ月。
自分たちの仕事もしながら11匹の妖怪を作れるのか…!?
ゲーム制作
ゲーム制作を進めていく中で、実験計画書に書いた内容を思い出していた。
「フリーランスチームで価値を生み出す」ことにチャレンジしたい」。
ゲーム部のメンバーを含め、今回のゲーム制作に関わってくださった皆さんは、ひとりひとりが特化したスキルを持っていて、自然とメンバーの強みを活かした内容になっていた。
アート部からコズさんとsakkiさんが、妖怪のキャラクターデザインに参戦。
3DCG制作も、こみやさんの元に、りんさんやまやまさんが合流。
AI QRの制作にまこさんも参加してくださることに。
ツマがキャラクターのフレーバーテキストをつくって、葉月さんがナレーションをつけ。
シモカタさんがチラシを作って、動画にまとめ。
コンテンツ発信部の皆さんが、商店街の方にインタビューをしてくださり。
まさに「フリーランスチームで価値を生み出す」を体現したようなプロジェクトになった。
そんな中、オットは、ロゴやPalanAR上のUIなどを作成した。
特に参加してもらいたい若者やこどもたちに、親しみやすさを感じてもらえるような方向性を意識した。
撮影前に入る注意書きの文章も、親しみやすさを意識したものにツマが調整。オットは、画像を作成した。
他にも、キャラクターデザインを元にツマが作成した各キャラクターのフレーバーテキストにも仕掛けが。
「他のキャラクターも探してみよう!」と思ってもらうため、全キャラクターのテキスト内に別のキャラクターについて、匂わせ要素が入っている。
ちなみに、今回のプロジェクトを機に、少しだけBlenderに挑戦した。
形にできるまで十分な時間をとって学ぶだけは進められていないが、一歩は踏み出せた…かもしれない。
しかし、Blenderに関しては圧倒的に時間が足りず。
「このままだと作成時間が足りない!どうする!?」というMTGで、「それぞれの専門の方向に注力しよう!」という方向性にまとまった。そのおかげで、最終的にプロジェクトを最後までやりきれたのではないかと思う。
方向性がまとまってからのスピード感は、さすが各道のプロという印象。
ツマが各キャラクターの動画で流すフレーバーテキストをアップしたかと思うと、次の日にはその原稿をへちまさんが読んで収録したナレーションが届き。さらに、シモカタさんの動画がついて、形に。
最後の怒涛の追い上げをする3DCGチームの勢いのまま、百鬼夜行当日へ。
百鬼夜行当日
10月29日、3度目の掛川訪問。
当日ギリギリまで調整をおこなっていた、3DCGチーム。
「やっぱり、撮影するときにオビがほしいよね!」という話になり、オットも当日になって全キャラクター分のオビを作成した。
そんなこんなで、当日はバタバタしていて自分では「妖怪商店街」を遊びに行けず。翌日、大遅刻で参加してみた。
◆実験結果
「ゲームを通じたまちづくりの取り組みに関わる」ことで、
自分たちの取り組みが、商店街の回遊に結果としてつながったのか?
数値的な結果としては、以下の通りだった。
イベントに来てくださった方が、商店街に向かうアクションを起こしてくださったという意味合いでは、十分に結果が出ていると言っていいのではないかと思う。
若者や子どもたちに楽しんでもらえたら、と考えていたが、実際にさまざまな家族連れの方を中心に楽しんでいただけたようで、とてもありがたく思っている。
この他、メディアにも取り上げていただいた。
NHKさんの掛川百鬼夜行の取材の中で、妖怪商店街をピックアップしていただいり。
妖怪商店街で活用させていただいたpalanARさんにも、記事にしていただいたり。
妖怪商店街の取り組みを、来年度以降も継続できたら良いなと考えている。
反省点
オットとしては、UIや演出面のクオリティをもっと上げられたのではないかと感じている。
8〜10月まで、仕事との兼ね合いで時間の捻出が難しくなってしまったことが大きな原因だろう。
今後も引き続き継続して進めていく取り組みに対しては、この反省を踏まえてよりブラッシュアップさせていきたい。
もう一つの実験結果「家族全員が楽しみながら生きる、新しい生活のスタイルが見えてきた」
シナリオライターとして同じ研究をおこなったツマの研究報告書では、もう一つの実験結果として「ワーケーション」や「生き方」について考えたことをまとめている。
少しオットとしての視点から補足すると、今回の「妖怪商店街」の準備だけでなく、指定企画「the Port kakegawa」としての取り組みを通じて「『旅する家族』というイメージが見えてきた」ように感じている。
自分自身が地方出身ということもあるが、掛川はとても「ちょうど良い」居心地の良さがある。
もともと「研究員期間中に、MAXで3回掛川に行けるくらいに予定が組めたら…」と思っていたが、「3回では全然行き足りない場所」になった。
何より、この半年の間に掛川が「片道5〜6時間で行けるくらいの近さ」という認識に変わったのは、大きな変化だと感じている。
3期の活動が終わってからも、また何度でも掛川を訪れるつもりでいる。様々な気づきにつながった、この指定企画に参加させてもらえたことに、本当に感謝している。
↓新しい働き方LABの研究員制度の詳細はこちら↓
夫婦&家族&ヤモリたちのあれやこれや、意義のある研究から意義のないお遊びまでを記事にしていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします!