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クラウド活用を全社に広げる専門部隊とは?「挑戦」と「変革」を続ける現場に迫る【リーダーインタビュー】

こんにちは!株式会社NTTデータ デジタルペイメント開発室(デジペイ広報)です。

第四回はNTTデータの クラウド活用を推進する専門部隊「SRE/CCoEチーム」にフォーカスし、テクニカル・グレードの矢口 拓実さんへのインタビューをお届けします!
 
デジタルペイメント開発室の立ち上げ当初からSREエンジニアとして活躍する矢口さん。「Digital Platformの提供」と「技術コンサルティング」の2つの軸で、NTTデータ全体のクラウド活用とDXを推進しています。
 
そんな矢口さんに、SRE/CCoEチームの取り組みや自身のキャリア形成などについて話を聞きました。ぜひご覧ください。

矢口 拓実(Takumi Yaguchi)
ペイメント事業本部 カード&ペイメント事業部 デジタルペイメント開発室 
テクニカル・グレード
NTTデータに新卒入社、初期はオンプレミス決済システムの開発・維持に従事。後に事業部初のパブリッククラウドリフトを実施、アプリ・インフラの両面からセキュリティとレジリエンシーを追求した。案件完了後はSRE/CCoEチームを組成、多数の決済システムをクラウド化するベースラインを用意し、開発環境から本番環境まで一貫したテクノロジー推進を実施。現在はSRE/CCoEチームリーダーとして決済インダストリー以外も含めたパブリッククラウド活用についてテクノロジー・プロセス面から推進している。


「テクニカル・グレード制度」「副業」―意外と柔軟なNTTデータでのキャリア形成

――今回は、デジタルペイメント開発室の初期メンバーであり、現在はリーダーとしてチームを牽引する矢口さんにお話を伺います! はじめに、簡単に自己紹介をお願いします。
 
矢口:私は大学院を卒業後、2016年に新卒でNTTデータに入社しました。最初にオンプレミス環境での開発を2年ほど経験した後、クラウド環境にシステムを移行するプロジェクトに取り組む中で、SREチームの発足やデジタルペイメント開発室の立ち上げに携わりました。
 
現在は、テクニカル・グレードとしてSRE/CCoE(※)チームを統括しています。

※SRE:Site Reliability Engineering(サイト信頼性エンジニアリング)の略称。システム運用の自動化・効率化などを行う方法論及びそれに対応するエンジニアを指す 
※CCoE:Cloud Center of Excellenceの略称。パブリッククラウド利用の推進・統制を行う組織内の専門チームまたは部門

 
――テクニカル・グレードとはどのようなポジションですか?
 
矢口:テクニカル・グレード(詳細はこちら)は2020年に新設されたNTTデータ独自の人事制度で、何かしらの専門性をベースとしたポジションです。私は今年(2024年)の4月に技術系のテクニカル・グレードに任用されました。他にも営業、PMなどさまざまな領域の人がいます。
 
キャリアパスとしては、一般、主任、課長代理と昇進した後、「管理職任用」と「テクニカル・グレード任用」に分かれます。自分の専門性を高めるキャリアを歩みたいと思い、この道を選びました。
 
もともとは、2~3年経験を積んだら転職するつもりだったんですけどね(笑)。実際には新卒からずっとこの会社にいます。
 
――転職を思い留まり、NTTデータで働き続けている理由は何ですか?
 
矢口:一言で言えば、デジタルペイメント開発室での仕事が楽しいからです。スキルやプロジェクトの経験を積み上げ、自分の市場価値を高められている感覚が面白いなと。周りには優秀なエンジニアが多く、情報もどんどんアップデートされていきます。
 
それと、副業できることも大きいですね。NTTデータでは全社的に副業が可能で、むしろ推奨されているんですよ。副業を通じて新たな学びやスキルを得て本業に還元できるので。私も裏でいろいろとつくっています。NTTデータはイメージとは異なり窮屈ではなく、寛容な会社ですよ。

「Digital Platform」と「SRE支援」。2つの軸で全社のクラウド活用を推進

―ここからはデジタルペイメント開発室についてお聞きします。
まずは組織の概要を教えてください。

 
矢口:デジタルペイメント開発室では、立ち上げ当初から一貫して「内製率を上げる」ことを一つの目標にしています。新しいプロダクトを速やかにつくるために、アジャイル開発のフレームワーク「SAFe®」を採用し、多数のスクラムチームがクラウドを活用して開発を行っています。
 
今年4月には一部が分離して「プロダクトディベロップメントユニット(PDU)」が新設されるなど、組織がすごい勢いで変化・拡大しているところです。

※PDUについてはこちらをご覧ください
 
――その中で、矢口さんが率いるSRE/CCoEチームではどのような業務・役割を担当していますか?
 
矢口:SRE/CCoEチームの最大のミッションは、デジタルペイメント開発室のノウハウを社内のさまざまな部門・領域に展開し、NTTデータのDXを推進することです。そのために大きく2種類の業務を担っています。
 
一つは、『Digital Platform』の開発と運営です。パブリッククラウドを統合し、開発環境と本番環境をDevSecOpsの観点から標準化しています。我々が標準化したプラットフォームを社内の各部門が活用することで、プロジェクトを安全にスモールスタートできます。
 
もう一つは、SREエンジニアとして行う「技術コンサルティング」です。メンバーを社内の各部門に派遣し、プロジェクトの立ち上げを技術面でサポートしています。商用リリースする段階では、デジタルペイメント開発室のマシン室もセットで提供し、自ずとセキュリティルールを守れる環境も整えています。
 
――「プラットフォームの提供」と「技術コンサルティング」の両輪で取り組んでいるのですね。
 
矢口:はい。社内の課題として多いのが、「パブリッククラウドを利用したいけれど詳しい人がいない」というケースです。人材を分散して配置するとマネジメントが難しくなるため、できるだけプラットフォームで解決しつつ、SREとして個別に支援するようにしています。
 
――全社のクラウド活用を推進するSRE/CCoEチームですが、現在のメンバー構成を教えてください。
 
矢口:人数は30人程度で、ほぼエンジニアのみで構成されています。クラウドインフラストラクチャーに強いエンジニアが多いですが、アプリケーション開発やフロントエンド開発が得意な人もいますよ。
 
若いメンバーが多く、活気がありますね。積極的なコミュニケーションを好む人も、そうではない人もいますが、どちらも楽しそうにやっているのが不思議だなと。組織自体がすごくフラットだと感じます。
 
――SRE/CCoEチームのリーダーとして、組織づくりで工夫していることはありますか?
 
矢口:SREの業務では1人か2人でプロジェクト支援に行くので、少し孤独な状況になりがちなんですよ。完全にバラバラになってはチームである意味がないので、CCoEの業務の中でつながりを持てる状態を意図的につくっています。
 
具体的には、CCoE領域の取り組み内容ごとに数人の小チームをつくり、3か月に1回あるPIプランニング(※)のタイミングで適度にメンバーを入れ替えています。業務上の都合で指名する場合を除き、どこのチームで何をやるかはメンバーが主体的に選択。チーム内で何かを決める際にも 、原則として私が決めるのではなく、メンバー間で意見を出し合って決めてもらうようにしています。

※PIプランニング:すべてのチーム、ステークホルダー、およびリーダーが共通のミッションとビジョンに対してベクトルが合っていることを確認するイベントです。詳細は公式ドキュメントをご参照ください。

「前例がない」新しい技術を取り入れ、会社の価値となる「前例をつくる」

――現在はSRE/CCoEチームだけで約30人、全体では100人を超えるデジタルペイメント開発室ですが、当初はわずか数人で取り組みを始めました。矢口さんは2018年の前身組織立ち上げ時からの初期メンバーですが、当時はどのような状況でしたか?
 
矢口:最初はとにかく全てを変えようと、大胆なやり方をしていましたね。アジャイル開発を取り入れるなど開発方法を刷新するだけでなく、メンバー全員のPCを古い社用端末からMacBookに入れ替えたり、慣れ親しんだExcelの使用をあえて禁止したり。古い方法に戻るのを防ぐために、半ば強制的に変更していきました。
 
開発方法や環境を変革する一方で、プロジェクト自体もチャレンジングでした。社会への影響が大きいクラウドリフト案件に取り組むことになり、「新しいチャレンジをする一発目にこれを選ぶのか。マジか」と思いましたね(笑)。
 
「この高度なプロジェクトがうまくいけば、後続のものにも応用できる」と考え、技術的にもプロジェクト的にも挑戦していきました。
 
――チャレンジしながら新しい技術を取り入れて来たデジタルペイメント開発室ですが、どのような基準で技術を選定していますか?
 
矢口:「先行事例をつくる」ことも我々のミッションの一つです。このため、プロジェクトの要件を満たすことを前提としつつ、可能な範囲で前例のないものを選んでいます。
 
新たな事例をつくれたら、それが会社の価値になる。現場の負担が増えることもありますが、プロジェクトの立ち上げ時には何かしら新しいものを取り入れるよう心がけています。
 
――「新しいプロジェクト」に「新しい技術を取り入れる」。どこまでリスクを許容できるか、判断が難しそうですね。
 
矢口:難しいですね。かといって、全て自分たちでホスティングするのは昔に戻るだけなので。どこまでベンダーを信用するか、その見極めが重要です。ベンダーの管理領域が広ければ広いほど、使用する際にはワークアラウンドを用意したり、緊急時の対応を整理したりするようにしています。
 
――特定のプロジェクトで採用した新しい技術は、どのように他のプロジェクトに展開していますか?
 
矢口:CCoEの領域で吸収したことは、毎週行っている共有会でチームメンバーに共有しています。CCoEのメンバーはSREを兼任しているので、新規プロジェクトの初期構築に誰かしらが携わることが多いんですよ。過去の事例やノウハウを踏まえて「このプロジェクトにはこれを入れていこう」と決めています。
 
技術を選定する判断も、プロジェクト単体ではないことが多いですね。基本的にはプロジェクト内でコストやリスクを管理しますが、単体では見合わない場合でも、他のプロジェクトへの横展開を見据えて採用することもあります。
 
――個別最適を図りつつ、プロジェクトを横断して全体最適化していくと。
 
矢口:「プラットフォームを個別につくって売る」のではなく、「実際に使っているプラットフォームを拡大していく」。これが我々の強みです。広めれば広めるほど、使われれば使われるほど、プラットフォームそのものを強化できます。
 
ただ、全体最適や共通化を追求しすぎると、変化に乏しいシステムになるおそれがあります。闇雲に広げるのではなく、相性が合うプロジェクトに対して利用を拡大する。その中で新たな技術やツールを開拓し、プロジェクトごとに適したものを選べるよう柔軟性を広げていく。バランスを取りながら進めています。

「クラウドインフラ」も「アプリケーション」も。多様な人材が適材適所で活躍できるフェーズへ


――SRE/CCoEチームの今後の展望をお聞かせください。
 
矢口:先に述べたとおり、我々のメインミッションは「デジタルペイメント開発室のノウハウを展開して社内でのクラウド活用を推進すること」です。これまでは顧客ニーズを起点に他部門から相談されるケースが多かったですが、今後はこちらからも働きかけていこうと計画しています。
 
中長期での目標としては、セキュリティ面の強化があります。これまでにつくってきた基盤でDevOpsはかなり実現できているので、今後はセキュリティレイヤーの課題を突破していきたいなと。過剰に守るのではなく、適切にセキュリティレベルを上げていく。そのためには社内のセキュリティルール自体を見直す必要があります。具体的な事例を示しながら、ルールをつくる部門と協議していきたいと考えています。

――DevSecOpsを真に実現していく。それは会社全体にとっても望ましいことですね。最後に、この記事を読んでいる方に向けてメッセージをお願いします。
 
矢口:SRE/CCoEチームで求められるのは、パブリッククラウドのインフラ系の技術が中心になります。インフラとアプリの両方に対応できる人も歓迎ですが、アプリだけの場合はPDUの方が合っているかと思います。PDUが新設されたことで、以前より多様なバックグラウンドの方が適材適所で働ける環境になりました。
 
私たちは、NTTデータの中でも特殊な立ち位置の組織です。「従来とは違う働き方をしたい」「新しいことに挑戦したい」といったモチベーションのある方は、ぜひ気軽にお声がけください。特にPDUは立ち上がったばかりなので、これから組織の色をつくっていくフェーズです。広く動ける立場で配属されるチャンスですよ。
 
――矢口さん、本日はありがとうございました!


第四回目のnoteはいかがでしたか?続々と発信していく予定なので、引き続き楽しみにお待ちいただければと思います。
また、引き続きデジタルペイメント開発室とPDUでは、一緒に挑戦する仲間を募集しています。

興味を持ってくださった方は、ぜひ一度お話ししましょう。お会いできることを楽しみにしています!

「SAFe」は、Scaled Agile, Inc.が保有する登録商標です。

企画・編集:株式会社スリーシェイク 文・撮影:三谷恵里佳