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モダン開発×価値創造でDXを推進―NTTデータの新組織「PDU」とは【トップインタビュー】

こんにちは!株式会社NTTデータ デジタルペイメント開発室(デジペイ広報)です。

NTTデータでは近年、価値創造を中心としたデジタル変革に力を入れています。その中核を担うのが私たちデジタルペイメント開発室です。2019年の創設以来、アジャイル開発やモダン技術を活用して「独自のプロダクト開発」や「デジタル人材の育成」に取り組んできました。

初めてご覧いただいた方は、以下の記事をぜひ読んでください。

 
こうした取り組みをペイメント以外の領域に広げるため、今年(2024年)4月、新たに「プロダクトディベロップメントユニット(PDU)」を設立。PDUのミッションとデジタル変革の軌跡について、デジタルペイメント開発室の加藤室長に話を聞きました。ぜひご覧ください。


加藤 大樹(Daiju Kato)
ペイメント事業本部 カード&ペイメント事業部 デジタルペイメント開発室 室長

NTTデータのカード決済総合サービス「CAFIS®︎」のインフラエンジニアとしてキャリアをスタートし、新規サービスの企画・開発、アプリケーションエンジニア、プロジェクトマネージャーを経験。その後、コーポレートスタッフとしてNTTデータグループ全体の人財開発に関わり、デジタル時代に対応した社内認定制度へのアップデートを実施した。現在は、デジタルペイメント開発室に戻り「Digital CAFIS」施策全体をリードするとともに、システムインテグレーション事業部プロダクトディベロップメントユニットを兼務し、法人分野におけるオファリング・アセット開発を進めている。


モダン技術で独自プロダクトを開発する「PDU」を新設

――2024年4月に「プロダクトディベロップメントユニット(PDU)」が新設されました。まずはPDU設立の目的を教えてください。

加藤:NTTデータでは2019年に「デジタルペイメント開発室」を創設し、モダンなアーキテクチャやクラウド、アジャイル開発を取り入れながら、価値創造を中心としたデジタル変革を進めてきました。
 
この取り組みを「ペイメント以外の領域」に展開するために設立されたのが、PDUです。
 
――実際の活動は、PDUが発足する前から進めてきたそうですね。
 
加藤:はい。デジタルペイメント開発室の中で、2年ほど前からペイメント以外の領域にもリーチしてきました。これまでに手がけた具体例として、温室効果ガス(GHG)排出量可視化プラットフォームの『C-Turtle®︎』があります。2022年にリリースしたプロダクトで、大手鉄道会社が利用するなど一定の成果を上げています。

――晴れて正式な組織となったPDUですが、現在の状況を教えてください。

加藤:今はまだ20名超の小さな組織です。『C-Turtle』をはじめ、ペイメント領域以外のプロダクト開発に携わっていたメンバーがデジタルペイメント開発室から異動してきました。
 
デジタルペイメント開発室で培ったプラットフォームエンジニアリングの仕組みをPDU でも全面的に使っています。技術スタックはのれん分けという感じですね。

今まさに、複数の開発チームを立ち上げているところです。

――歴史ある大企業でありながら、新たな変革に挑んでいるのですね。

加藤:NTTデータは一般的には堅いイメージを持たれていますが、実は意外と寛容なんですよ。「新しいことにチャレンジする人」や「既存の枠から飛び出そうとする人」を会社が応援する風土があります。
 
もちろん会社の取り決めやプロセスに沿う必要はありますが、ある程度は自分たちの裁量で進められます。デジタルペイメント開発室に限らず、既存のやり方や仕組みに課題意識を持っている人が挑戦しやすい環境だと思いますよ。

「全体最適」から「変化に強い組織」へ ~デジタル変革の軌跡~

――デジタルペイメント開発室では、既存組織とは切り離した「デジタル特区」としてDXを推進してきました。そもそもなぜ設立されたのか、経緯を教えてください。

加藤:最初は何もかも変えなければいけない状況でしたね。
 
経緯は2010年頃に遡ります。当時はエンタープライズアーキテクチャ(EA)が盛んで、カード&ペイメント事業部では徹底的に標準化・効率化しようと全体最適化に取り組んでいました。しばらくはうまく進みましたが、7~8年経つと課題が出てきて……。
 
――どのような課題ですか?
 
加藤:特に大きかったのは、現場のスキルが劇的に低下したことです。敷かれたレールがないと開発できなくなり、あらゆる問い合わせがシステム企画部署に集中してボトルネックになった。良かれと思ってやったことが、組織を空洞化させてしまったんです。
 
当時のペイメント業界では、キャッシュレス決済の多様化により参入障壁が下がり、ベンチャー企業と競合が避けられなくなっていました。ベンチャー企業ではSaaSを組み合わせるなど最先端の開発を行っていて、当社とは大きなギャップがあった。そのギャップを埋めるには、社外の知見も取り入れながら、プロダクト開発のやり方やマネジメント手法などを全面的に変えることが必要でした。
 
そこで2018年に「ペイメントイノベーションラボ」を実験的に立ち上げ、一定の手応えと評価を得て2019年1月に「デジタルペイメント開発室」を創設しました。

――環境変化への危機感が、変革のきっかけになったのですね。
取り組みを始めた当初はどのような状況でしたか?

加藤:始まりはごく小規模で、数人のスクラムチームでしたね。外部のベンチャー企業からもエンジニアを招き、私の前任者が率いていました。
 
私はデジタルペイメント開発室が立ち上がる少し前までこの事業部にいて、いったん別の部門に異動し、2022 年に戻ってきました。当初は近くで見ながらどうなるのかと思っていましたが、戻ってきた頃には既にいくつかプロダクトをローンチし、『Omni Payment Gateway®︎』を立ち上げようとする段階で。組織の勢いを感じたし、「よくここまで形にできたな」と純粋に感心しましたね。
 
――デジタル変革に取り組む中で、どのような変化が生まれましたか?
 
加藤:まず開発の内製化が進んだことが挙げられます。以前は開発の主体が委託先にありましたが、現在はかなり内製率が上がっています。
 
また、「ユーザー目線でつくる」意識も高まったと感じています。「つくりました」で終わるのではなく、「つくった結果それが使われてどうなったのか」まで考える。そういう視点が養われてきたし、その重要性を今もメンバーに伝え続けています。
 
――全体最適化に取り組んでいた2010年頃と、現在のデジタルペイメント開発室やPDUの大きな違いは何でしょうか?
 
加藤:「変化への強さ」ですね。いま振り返ると、かつては「こうするべき」といった考えが強く、決められたものを変更する余地はありませんでした。
 
デジタルペイメント開発室やPDUでは、テンプレートを決めてそれに従うのではなく、「変化に強いこと」を基本としています。ナレッジやベストプラクティスを蓄積しながら最新情報を共有し、より良いものを選択していく。適度に意見を交わしながら開発しています。

課題解決型のプロダクト開発人材を育て、NTTデータ全体のDXを推進する

――デジタルペイメント開発室では、毎年多数の新卒社員を受け入れているそうですね。
 
加藤:何十人も入ってきますね。昨年度は35人、その前は30人と、年々増えています。背景にあるのは、デジタルネイティブな人材を素早く育成する会社の戦略です。
 
新卒入社のメンバーにはまず内製のプロダクト開発を経験させ、「組織の課題をどう捉え、どう解決するか」考える力を育てています。配属当初はまるで学校のようですが(笑)。1年経つ頃にはしっかり成長していますよ。
 
――組織の雰囲気はいかがですか?
 
加藤:それぞれ身近にロールモデルがいる中で、明るく楽しそうに仕事をしていますよ。
 
若い社員が活躍する一方で、裏では中堅社員や腕利きのメンバーが支えています。エンジニアには「できる人と一緒に仕事がしたい」と言う人が多いですが、そういう環境はつくれているかなと。
 
――実力がついたメンバーを他の事業部に送り出していると伺いました。
 
加藤:はい。徐々に送り出しています。巣立っていくメンバーとは今後もつながりを持っておきたいし、「元デジタルペイメント開発室」「元Digital CAFIS」といった存在が社内に浸透していってほしいですね。ここで経験を積んだメンバーがさまざまなプロダクト開発の現場に入っていくことで、NTTデータ全体のDX化が進むことを期待しています。
 
ただ、全員を送り出すわけではありません。一定数のメンバーには残ってもらって、プロダクト開発のSRE(※)やプラットフォームエンジニアとして育てていきます。また、PDUに移る道もあります。

※SRE:Site Reliability Engineering(サイト信頼性エンジニアリング)の略称。システム運用の自動化・効率化などを行う方法論及びそれに対応するエンジニアを指す


――デジタルペイメント開発室やPDUで長く経験を積む場合、どのようなキャリアパスが考えられますか?
 
加藤:想定されるキャリアパスは大きく分けて2通りです。
 
一つは、テクノロジーを武器に専門性を発揮していく方向。クラウドを中心としたエンジニアリングのスキルを深掘りしていく感じですね。
 
もう一つは、プロダクトオーナーなどを目指す方向。プロダクト開発に携わりながら「ビジネスとしてどうするか」の視点を身につけていくイメージです。
 
――本人の志向や適性によって多様な活躍の道があるのですね。
中途採用については、どのような人材を求めていますか?

 
加藤:若手が多い組織なので、彼らを技術面で牽引するテックリードをもっと増やしたいですね。新しく入る方には、まずは安定したチームに開発メンバーとして入ってもらい、様子を見ながらステップアップしていただきたいと考えています。
 
プラットフォームエンジニアについては、自分でプロアクティブに課題を捉えて、それを新たな仕組みに落とし込んでいける人に来てもらえたら嬉しいです。
 
――プロダクトオーナーなどマネジメント領域についてはいかがですか?
 
加藤:もちろんマネジメント領域の強化も必要ですが、まずは技術に明るいことをベースラインに持っています。
 
「つくる」だけではなく「“なぜ”つくるか」。「クラウドサービスがあるから使う」ではなく「“なぜ”それが必要なのか」。役割にかかわらず、課題を捉える力を求めています。
 
純粋に「つくる」ことに集中したい人には合わないかもしれませんが、課題の本質に踏み込みたい人には絶好の環境がありますよ。

「システム請負の会社」から「価値を創造する主体」へ


――PDUの発足により、NTTデータのデジタル変革が今後どのように進んでいくのか。展望をお聞かせください。
 
加藤:NTTデータは、世間的には「システム請負の会社」と見られがちです。確かにそれも大事ですし、売上の大半を占めているので突然なくなることはないでしょう。
 
しかし、自分たちがサービスの主体となって事業を展開することで、より訴求力が高まる。我々はそう考えています。顧客のシステムをつくるだけでなく、自分たちが主体となってチャレンジし、成果も出す。ペイメント領域で培った「プロダクトを通じた価値提供」を、他の産業領域に広げていきます。
 
――「ペイメント」という高度な要件が求められる領域でチャレンジしてきた。だからこそ、他の領域にも通用するノウハウを得られたのですね。
 
加藤:そう思います。デジタルペイメント開発室を創設した前任者は、強いプラットフォームそのものに価値があると考えていました。ペイメントは非常に高いサービスレベルが求められるため、それに沿ってつくれば横展開できるだろう。それをやりたいとおっしゃっていましたね。
 
一方で会社としては、最初は理解が追いつかなかったかもしれません。実際に人が育ち、新たなプロダクトが立ち上がる成功事例が出てきた。それを会社が認め、より広げる動きにつながりました。
 
――最後に、この記事を読んでいる方に向けてメッセージをお願いします。
 
加藤:NTT データは安定した基盤がある会社です。その中で最先端の技術を使い、自分たちの手でプロダクトをつくり上げていく。ベンチャー企業のようなモダンな開発に携われる。大企業でこのような働き方ができるところは、私が知る限りほとんどありません。ベンチャー企業に一人で飛び込むことに抵抗がある人にとって、今までにない選択肢になるのではないでしょうか。
 
PDUに入っていただく場合は、新しい組織特有の「カオスな状態」を経験することになります。常に変化し続けなければいけない中で、その変化を楽しむ。これは最初のフェーズの醍醐味です。チャレンジしたい人に合っているし、やりがいのある環境だと思いますよ。
 
――加藤室長、本日はありがとうございました!


デジペイ広報としての初インタビュー記事はいかがでしたでしょうか。
今後も、デジペイの人や組織について発信しますのでお楽しみにしていてください! 

また、デジタルペイメント開発室とPDUでは、一緒に挑戦する仲間を募集しています。興味を持ってくださった方は、ぜひ一度お話ししましょう。お会いできることを楽しみにしています!

企画構成:株式会社スリーシェイク 文・撮影:三谷恵里佳

「CAFIS」、「C-Turtle」、「Omni Payment Gateway」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。