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NTTデータとスリーシェイクが資本業務提携を締結!大企業×スタートアップの「これまでの軌跡」と「これからの挑戦」【トップ対談】
こんにちは。株式会社NTTデータ デジタルペイメント開発室(デジペイ広報)です。
2024年11月に、NTTデータはクラウドネイティブ開発に豊富な実績を持つ株式会社スリーシェイク(以下「スリーシェイク」)と資本業務提携を締結しました。
私たちは2018年から協業をはじめ、クラウド技術を活用したモダンな開発やシステム運用の自動化・効率化に取り組んできました。このたびの提携により両社の関係を深め、SRE人材の育成やプロダクト価値の向上、セキュリティサービスの強化を図ってまいります。
今回のnoteではスリーシェイクの吉田社長をお招きし、デジタルペイメント開発室の加藤室長と共に、これまでの軌跡と今後の展望について語っていただきました。組織の枠を超えて「変化を楽しむ」二人の対談を、ぜひご覧ください。
吉田 拓真(Takuma Yoshida)
株式会社スリーシェイク 代表取締役社長
2011年DeNA入社後、インフラエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、ソーシャルゲーム/IoTスタートアップの立ち上げを経験。2015年1月にスリーシェイクを設立後、SRE特化型コンサル「Sreake」、DXプラットフォーム「Reckoner」、セキュリティプラットフォーム「Securify」、エンジニア紹介事業「Relance」の立ち上げを行う。
加藤 大樹(Daiju Kato)
ペイメント事業本部 カード&ペイメント事業部 デジタルペイメント開発室 室長
NTTデータのカード決済総合サービス「CAFIS®︎」のインフラエンジニアとしてキャリアをスタートし、新規サービスの企画・開発、アプリケーションエンジニア、プロジェクトマネージャーを経験。その後、コーポレートスタッフとしてNTTデータグループ全体の人財開発に関わり、デジタル時代に対応した社内認定制度へのアップデートを実施した。現在は、デジタルペイメント開発室に戻り「Digital CAFIS」施策全体をリードするとともに、システムインテグレーション事業部プロダクトディベロップメントユニットを兼務し、法人分野におけるオファリング・アセット開発を進めている。
6年にわたる協業を経て、資本業務提携へ
――はじめに、今回の資本業務提携に至った経緯をお聞かせください。
デジタルペイメント開発室 加藤室長(以下「加藤」):協議を始めたのは、今年(2024年)の前半でしたよね。
スリーシェイク 吉田社長(以下「吉田」):2024年4月に、私からNTTデータさんに出資の提案をしました。以前イベントで名刺交換をした幹部の方にメールを差し上げたところ、翌日に「前向きに考えるので打ち合わせしましょう」とご連絡いただいて。内心かなりドキドキしていたので、まず返信いただいたことに安堵しましたし、光栄に思いました。
NTTデータさんと「資本を通じてより深くお仕事していきたい」という想いは、数年前から持っていたんです。当社の規模や実力がまだ十分ではないと思い控えていましたが、今年に入ってから「今のスリーシェイクならできるかもしれない」と考えるようになって。思い切って出資を提案させていただき、数か月にわたる協議を経て、晴れて資本業務提携に至りました。
――両社の関係はいつ・どのように始まったのでしょうか?
吉田:実はNTTデータさんの前に、グループ会社のNTTデータ・フィナンシャルコア(現:NTTデータ フィナンシャルテクノロジー)さんとご縁があって。2016年に、同社で働く大学時代の知人に声をかけてもらい、既存のプライベートクラウドの運用効率化プロジェクトに参画して自動化やDevOpsなどを支援しました。この時のスリーシェイクは私と社員1名だけで、私自身もプレイヤーとしてガッツリ現場に入っていました。
加藤:その後、2018年にペイメントイノベーションラボ(デジタルペイメント開発室の前身組織)からスリーシェイクさんに支援をお願いしたんですよね。
吉田:はい。ペイメントイノベーションラボを立ち上げた当時の室長は、外部ベンダーへの依存から脱却し自分たちで主体的にエンジニアリングをしていきたいと考えていらして。「こっちも手伝ってくれませんか?」と我々にお声がけいただきました。
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吉田:当時のペイメントイノベーションラボは立ち上げたばかりで、パブリッククラウドで決済システムを動かすための知見やノウハウを持っていませんでした。そこで我々が支援に入り、アーキテクチャの設計、セキュリティ、働き方などを一つずつ見直しながら、プロダクトのローンチまで一緒に取り組んでいきました。
――そんな中、スリーシェイクでは大きな決断をされたそうですね。
吉田:「NTTデータさん一社に全振りする」という決断をしました。当時は他にも10社ほどお客様がいたのですが、すべて丁寧に辞退させていただいて。経営的にはかなりリスクのある決断でしたが、現場からもそうしたいとの声があり、振り切りました。
当時のスリーシェイクの正社員は20人程度。複数社と関わりながら一社一社に丁寧に向き合うことは難しく、それがメンバーのパフォーマンスやモチベーション低下に繋がっていました。NTTデータさんに集中することで、より腰を据えて深く関わることができ、サービスを一緒につくるところまで踏み込めると考えたんです。
加藤:Digital CAFIS上でのプロダクト開発は大小合わせて年間で5~6件ありますが、そのほとんどにスリーシェイクさんが関わっています。『コード決済ゲートウェイ®︎』から始まり『Omni Payment Gateway®︎』など。立ち上げ当初から現在まで、主にインフラ周りを中心にSRE(※)として参画・支援いただいています。
※SRE: Site Reliability Engineering(サイト信頼性エンジニアリング)の略称。システム運用の自動化・効率化などを行う方法論及びそれに対応するエンジニアリングを指す
吉田:最初はこの組織がここまで大きくなるとは想像していませんでした。特に2018年から2022年にかけて、飛躍的に大きくなっていって驚きましたね。共に挑戦しながら、我々スリーシェイクも成長してきたと感じています。
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「大企業」と「スタートアップ」。垣根を越えてフラットな関係を構築
――両社はデジタルペイメント開発室の前進組織立ち上げ時から共創してきました。初期を振り返って、特に印象に残っていることはありますか?
吉田:オフィスがすごく斬新でしたよね。
加藤:現在のデジタルペイメント開発室は渋谷にありますが、当初は別の拠点にオフィスがあり、そこから徒歩数分の場所に新しいオフィスを借りて。既存組織とは物理的に切り離したのは、「違う風土・違う文化でやっていく」意思表示でもありましたね。
吉田:元々のオフィスは典型的なIT企業の雰囲気でしたが、新しいオフィスは開放感のあるおしゃれな空間で、スタートアップのような印象でしたね。働き方からシステムへの向き合い方まで新しくする意気込みを感じました。
――新しいオフィスで、どのように変革を進めたのでしょうか?
吉田:まず、当時のNTTデータさんにはまだ我々にとって当たり前の環境がなく、「これはつらいな」と思うことがたくさんありました(苦笑)。
加藤:まだメールの文化で、チャットも使っていませんでした。
吉田:そのほかにも、インフラやアプリケーションの設定情報をExcelで厳格に管理したり、情報共有のたびにパワーポイント資料を作成したり。これは運用者にとって非常につらいですし、更新漏れのリスクやナレッジの分散といった課題もありました。
加藤:我々は従来型のIT企業での活動しか知らなかったので、スリーシェイクさんをはじめ外部の方々の知見をいただきながら、モダンな働き方をどのようにプラクティスに落としていくか小さく実験的に進めました。
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吉田:0か1かの極端な選択ではなく、守るところは守りながら、ベンチャーでは当たり前のことを新しく取り入れていきました。
フランクに雑談しながら「これはつらいですよね」「じゃあ変えていこうか」と決めていく。その過程自体が楽しかったですね。NTTデータさん、既存のパートナーさん、そして私たちスリーシェイク。その場に集まる全ての人が「ここなら今までできなかった変化が許される」と感じられる空気感があったのが面白かったです。
加藤:当初からずっと、スリーシェイクさんは一緒にビジネスを考えてくれる存在です。「この開発はこの工数でやります」というのではなく、一緒に考えながら良いものをつくっていく。気持ちだけではなく、実際に行動してくださる。吟味した上で適切な人材をアサインしてくださっているし、同じ人が一つのプロジェクトに長く入るケースが多いですね。一般的には、短期間で人やプロジェクトが転々とするケースが多いと思いますが、どうですか?
吉田:こんなに長く一つのプロジェクトにご一緒するケースは滅多にないですね。長い上に関係性も良好で、思ったことを素直に言わせていただいています。私たちとしても、支援するサービスやプロダクトには伸びて欲しいし、成長や変化を一緒につくっていきたい。それが当社メンバーのモチベーションにもつながる。そう強く思っています。
――まるで凸と凹のような関係性ですね。スリーシェイクは踏み込んで提案する社風で、NTTデータは提案を歓迎すると。
吉田:私が知る限り、他の大企業では「それは良い提案ですね」とおっしゃっても、実際に行動を起こすのはとても難しいケースが散見されます。これに対しデジタルペイメント開発室の場合は、「これをやりませんか」と我々が提案すると翌月には実行するスピード感で、ベンチャー企業より早いくらいです。
加藤:我々は変化に強い組織でありたいと考えています。変わることへのハードルを下げ、新しいものや良い取り組みがあれば率先して取り組んでいく。それも何年か経つと古くなるので、継続的に変化し続けていく。その分、やめる判断も早いですよ。
吉田:柔軟に変化する中で、NTTデータさんからも我々に「もっとこうした方がいいんじゃないか」といった意見を言ってくださる。それをすごく嬉しく思っています。お互いに意見を言い合える環境をつくってきたことが、今回の資本業務提携に至った一つのキーポイントだと捉えています。
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より強固な関係のもと、新たな価値を創造する
――今回の資本業務提携により、両社の関係は新たなフェーズに入ります。今後、どのような取り組みを進めていきますか?
吉田:私たちが支援する中で、SREやその延長線上で実現できていないことがまだまだあります。技術的にも、AWS(Amazon Web Services)以外のプラットフォームへの拡大やR&Dなど、リソースの関係上できていないことが多くある。今回の提携を機に、これらを広げていきたいと考えています。
また、NTTデータ全体の中で、クラウドネイティブ・SREの人材が自然と生まれて育っていく仕組みもつくっていきたいですね。スリーシェイクでは中途採用の方のスキルアップのノウハウは持っていますが、新卒や学生の方をSREの世界やクラウドネイティブの世界で活躍させるノウハウは足りないので、ぜひNTTデータさんの豊富な知見をいただけたら。
加藤:この辺りはぜひ一緒に取り組んでいきたいですね。私たちが持つ新人育成のノウハウとスリーシェイクさんの知見を組み合わせることで、より効果的な育成の仕組みをつくれると期待しています。
――プレスリリースでは、スリーシェイクが提供するセキュリティサービス『Securify』との連携も挙げていますね。
加藤:クラウドベースの開発が増える中で、セキュリティの重要性が高まっています。セキュリティは常に進化するので、もちろん我々自身でも取り組みますが、専門的な技術を持つ企業とタッグを組めるのは大変ありがたいです。
Securifyは我々にはないASM(Attack Surface Management)の仕組みを持っているので、その機能や知見を組み込むことで、ベースラインを上げていきたい。基本的なところにはツールを活用しつつ、人やプロセスを使うところは私たちの仕組みの中でカバーするなど、階層的に防御していきます。
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吉田:Securifyに関して言うと、資本関係がない状況では、「使っていただくユーザー」と「提供するサプライヤー」という関係を超えることはできません。しかし資本関係が入ると、「Securifyを一緒に発展させていく」という共通のゴールが生まれます。これが資本業務提携の一番大きな効果です。
NTTデータさんのセキュリティ向上に貢献すると同時に、Securifyの機能や精度を深めていく。大きい規模だからこそ見える世界もありますし、デジタルペイメント開発室の中で使っていただきながら、より高度なプロダクトに磨いていきたいですね。
――資本業務提携を結んだことで、より踏み込んで双方が高め合っていけると。デジタルペイメント開発室全体としては、どのような方向性を目指していますか?
加藤:今後は、よりプロダクトの価値を高めていきます。一部のサービスは開始から5~6年経過しているので、筋肉質に刷新していきたい。スリーシェイクさんには、現在ご支援いただいているインフラ領域だけではなく、ぜひアプリケーション領域にも入っていただけたら。
以前のNTTデータではシステムのQCD(品質・コスト・納期)が重視されていましたが、最近はさまざまなお客様との共同ビジネスにおけるQA(品質保証)の観点も重要になっています。こうした新しい価値基準についても、一緒につくっていきたいですね。
吉田:開発力や運用力があるというだけでなく、もっと幅広い価値を世の中に提供していきたいですね。「ユーザー体験の向上」や「AIの活用」といったテクノロジーに関わるあらゆる領域において、デジタルペイメント開発室が関わることで成功につながる。そんな力をつけていきたいと、野心的な展望を抱いています。
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新たなフェーズに向けたそれぞれの想い
――今回の資本業務提携は、市場や業界にどのようなインパクトを与えると思いますか?
吉田:NTTデータさんがSREやクラウドネイティブ、そしてBizDevOpsに本気で取り組んでいると、一定のメッセージを示せたのではないでしょうか。
加藤:NTTデータは古くて堅い会社だと思われがちですが、今回の提携によってそうではない一面を見せられるといいですね。実際には既にさまざまな挑戦をしていますが、これを機に広く知ってもらえたら。
吉田:ベンチャー界隈で活躍されている方々にも「NTTデータでもモダンな取り組みをやっているのか」と知っていただき、キャリアの選択肢として考えるきっかけになれたらいいですよね。
加藤:そうですね。もう少し広い話で言うと、AIも登場し、人が集中してエンジニアリングする領域は大きく変わりつつあります。依頼されたものを単につくるだけの世界は既に時代遅れです。
NTTデータが築いてきた安心・安全・信頼性をベースとしつつ、より価値あるものを、より早くつくっていく。新たな開発方法をスリーシェイクさんと一緒に追求していきます。
吉田:NTTデータさんが発する「攻めているぞ」というメッセージは、業界に大きなインパクトを与えるのではないでしょうか。我々としても、一緒に取り組むことで、今までのNTTデータさんとは違う創造性や新しさを感じ取ってもらえると嬉しいです。
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――改めて、ステークホルダーをはじめ、この記事を読んでいる方へのメッセージをお願いします。
加藤:ともするとシステム開発は大変でつらい作業になりがちですが、エンジニアは本来、クリエイティブなことができる存在です。自分たちの開発技術や新しいビジネスやサービスをつくる力を高めていけば、やれることが増え、活動の幅も広がる。エンジニア自身が裁量を持って楽しく仕事ができる、そんな世界をつくれるよう邁進していきます。
吉田:当社のメンバーに伝えたいのは「これまで以上に遠慮せずにいく」ことです。一緒にサービスをつくっていくパートナーとして、言うべきことは言い、落ちているボールはどんどん拾う。SREやクラウドネイティブ技術の枠を超えて、「こんな企画をしてみました」「画期的な仕組みをつくってみました」といったところまで踏み込んでいく。共創しながら業界全体を盛り上げていきたいですね。
――本日は貴重なお話をありがとうございました!最後に、お互いへの想いをお話しいただけますか?
加藤:普通になんか、飲みに行きたいですね。
吉田:それはぜひ。今までとは違う関係性になりますし、より腹を割って話ができれば。夢を語り合い、それが実現して、よかったねと言える日が来ると面白いですよね。
加藤:より一層、関係を深めていきたいですね。ただ、これまでどおり言いたいことはどんどん言ってください。我々は時として大企業的な発想になりがちなので、「それは違う」「こうした方がいい」といった意見は遠慮なくいただけるとありがたいです。
吉田:私たちもフィードバックをいただきながら、一緒にどんどんものづくりができたらと思います。気恥ずかしいので、ストレートな想いはこれくらいで(笑)。
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「CAFIS」「コード決済ゲートウェイ」「Omni Payment Gateway」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
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企画・編集:株式会社スリーシェイク 文・撮影:三谷恵里佳