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あのFBIも採用するSAFeのビックイベント SAFe Summit 2024 ワシントンDC【イベント参加レポート】

デジタルCAFISで採用しているScaled Agile Framework(SAFe®︎)が開催するSAFe Summit 2024に参加してきました。このイベントはSAFeのスペシャリストだけでなく、ユーザ企業やベンダー企業が集まり、最新の事例やノウハウを共有する貴重な機会であり、私自身も多くの刺激を受けることができました。4日間の内容についてすべてを紹介しきれないのが残念ですが、特に印象に残った内容をお伝えします。ぜひ最後までお付き合いください!


イベント概要

  • イベント目的
    SAFeに関する見識の共有・知識習得を行うとともにネットワークを広げる

  • 開催日と場所
    2024年10月14日-17日(4日間) ワシントンDC(米国)

  • アジェンダ
    イベントのメインは15-16日の2日間で行われ、前後の2日間はトレーニングセッションなどを中心に開催されました。

  • 参加者数と参加者層
    正確な参加者数は不明ですが、1000人~2000人かと思います。
    SAFeを利用する企業、導入を推進するコンサル企業など幅広い業種の方が参加しております。

印象に残った内容

ここでは特に印象に残った内容をお伝えします。

キーノート:政府のデジタル化に関する基調講演

  • タイトル:Recoding America: Why Government Is Failing in the Digital Age and How We Can Do Better.

  • スピーカー:Jennifer Pahlka

米国では幅広い業種の企業のSAFe適用が一段落し、政府や公共機関での採用が増えている中での基調講演のようでした。Code for Americaの創設者でもあるJenniferさんの講演では、公共団体での変革を成し遂げた事例に関して実体験を交えた講演でシンプルでとても納得感があるものでした。

・シンプルなインプットを複雑なプロセスでシンプルなアウトプットを出す
・プロセスをあえて可視化することで誰もが理解できないことがわかる
 →誰もが理解できるシンプルなプロセスにしなければならない
・プロジェクト思考ではなくプロダクト思考で推進する
   →価値を積み上げていく必要がある

等、学びの多い講演でした。また、IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)にできて、あなたの環境に出来ないわけはないという力強いメッセージとともに、よりよい世界を実現しようと聴衆に訴える姿が印象的でした。

講演の一幕。「環境のせいではなく、あなたがその原因です(意訳)」

事例紹介:バーバンク市のSAFe導入

  • タイトル:SAFe Benefits, Risks, Myths, and Reality in City of Burbank

  • スピーカー:Marina Kernes, Kevin Gray

SAFeに関する神話や幻想をQAセッション形式で進めていく事例紹介でした。バーバンク市(Burbank)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡の都市で、ウォルト・ディズニーやワーナー・ブラザースなどのメディアとエンタメが中心となる都市で、1500人の従業員をかかえる自治体です。人口は10万人程度なので、日本の地方都市ぐらいの規模感のようです。

SAFeを導入することによって得られた成果として、
・PIプランニングを通じて各部門を横断した優先度を設定することが出来た
内部の人間をPdM(プロダクトマネージャ)として育成出来た
・クロスファンクショナルなチームとすることで、Pivot出来たり、より早いデリバリーが出来るようになった
をあったそうです。

また、米国のユーザ企業と異なり、外部のベンダーを調達していることが特徴的でした。調達時の注意点として、「きちんとした」エンジニアを調達することが重要だとのことで、この点は多いに共感できました。
SAFeの場合はロールベースの研修コースが用意されているのもあり、要件を満たしているかのスクリーニングには使えそうだとも感じました。

開演前の様子。和やかな雰囲気ながら中身は充実していました

技術講演:アーキテクチャの可視化

  • タイトル:From Duplo® to Digital: Streamlining SAFe with Visible Architectures

  • スピーカー:Luke Hohmann

SAFeではアーキテクチャランウェイを用いて継続的に価値提供していくためのアーキテクチャを維持することが大事だとしている。一方で、アーキテクチャや技術的負債を理解することは、非エンジニアにはなかなか難しいところである。本公演では、これを解消する方法としてブロックを使ったアーキテクチャの可視化を紹介している。

ブロックで可視化するメリットとして
・現状の複雑性が誰にでもわかるようになる
・ToBeに向けて具体的な議論しやすい
があると感じました。
アーキテクチャの話は抽象的になりやすいので、関係者と議論するうえではとても役立つ手法だと感じました。

これに加えて、
・改善リストに対する必要コストと効果の可視化
・システムの追い風(強み)といかり(弱み)の可視化
・技術トレンドの可視化
を行うことで、アーキテクチャの方向性を決めていく手法はとても理にかなっていると感じました。

オフラインでは出来ないのか?という疑問からマインクラフトで可視化した事例もありましたが、これは半分ネタのようでしたので、真似しないほうがよいかもしれません(笑)たぶん、相当時間かかります・・・。

マインクラフトを使ったアーキテクチャ可視化例

具体的な手順にご興味がありましたら、SlideShareで公開されておりましたので、Visible Architectureで検索いただければ見つけられると思います。

参考:アーキテクチャランウェイ

オフショット等

イベント会場の様子

今回の会場は、ワシントンDCのナショナルハーバーという場所で開催されました。ホテルとイベント会場が併設されている場所となっております。4日間の開催期間中、参加者の人達とすれ違う機会もあり、ネットワーキングには良い環境でした。

会場入口の様子

ワシントンDCの中心からははずれていますが、治安もよくとても過ごしやす場所でした。

ナショナルハーバーの夕焼け

3日目の最後には参加者向けの懇親会も企画されていました。バンド演奏が鳴り響く中でしたので、隣の人の声が聞こえず、アメリカを感じる時間でした。(笑)

3日目のパーティーの様子

オフショット

10月の中旬だったこともあり、アメリカではハロウィンの飾り付けがいたるところで売っておりました。日本のハロウィンとは違って、本格的に家を飾っている家もちらほらあり、文化の違いを感じました。

ハロウィンの雑貨たち

飛行機であまり眠れず、ほぼ徹夜状態でしたが、メインの観光場所をざっと駆け巡ってきました。計画都市だけあってとても整然とした町並みが印象的でした。

国会議事堂前での一枚

まとめ

4日間のイベントはとても充実したものであり、学びの多いイベントでした。SAFeの公式サイトでも情報が公開されると思いますので、気になる方はそちらも御覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

「SAFe」は、Scaled Agile, Inc.が保有する登録商標です。


執筆者プロフィール:長田 武徳
2006年にNTTデータに入社。決済領域でのウォータフォール開発を10年間実施した後、大規模アジャイルフレームワーク(Scaled Agile framework)を採用した開発に従事。SAFeプラクティスコンサルタント (SPC)