OPECプラス会合で減産継続決定
原油相場はどうなる
12月4日に開催されたOPECプラスの会合で、従来通り200万バレル減産体制を維持することが決まった。これにより、原油市場の需給は、即座に影響を受けることはないだろう。世界の原油消費は、日量1億バレル程度であり、今回の減産継続の影響度は、限定的と考えられる。もともと、生産枠に対しては、未達の状態が続いていた模様でもあり、現在の200万バレル減産自体が、実際の生産量に与えるインパクトは、実質的には50万から100万バレル程度だと推定される。つまり、消費量の0.5%から1%程度の影響であり、それだけで需給が逼迫するというものではない。
当面の原油相場は、実際の需給そのものよりも、思惑的な動きが中心になるものと見られる。ロシア産原油の上限価格設定などの影響もあるため、先行きには不透明感もある。先週末のWTI先物は、終値で80ドル程度になっており、乱高下する展開になるのか、あるいは、落ち着いた相場となるのか、引き続き注視したい。
OPECプラスの会合
OPECプラスは、生産枠に対して、従来通り全体で200万バレルの減産維持を決定した。現時点では、世界的な原油需要に対しては、やや慎重な見方を取っている模様である。とりわけ、ゼロコロナ政策の影響で、中国経済の景気後退が著しいとの見方から、需要減に対する警戒感は強い。
ロシア産原油の上限価格設定(60ドル)の影響
一方で、供給側については、ロシア産原油の動向が注目されている。G7各国、EU諸国、オーストラリアによる制裁措置の一環として、ロシア産原油には、上限価格が設けられた。60ドルという価格は、現状のロシア産原油のディスカウント後の実勢価格と大きな差異はない水準と見られ、それによって、ロシアが供給をストップするようなことは考えにくい。また、新興国等では、ロシア産が割安である限り、購入意欲が強いとも伝えられており、大きな影響はないとの見方もある。そうした点を慎重に見極めるということもあって、現状の生産体制を変更しないことを選択した面もあろう。
今後も価格維持が意識される可能性が高い
サウジアラビアのエネルギー大臣は、OPECプラスに先立って、現状の200万バレル減産体制は、2023年末まで維持する意向を表明していた。ただ、状況変化に応じて柔軟に動くものと見られるため、額面通り受け止める必要はないだろう。実際には、需給関係を見極めながら、価格維持を意識した動きになるものと予想される。
なお、次回の閣僚級会合は、来年6月4日に開催すると発表されている。それ以前にも、需給関係に変化が生じた際には、価格維持に向けた対応が行われるものと考えられる。原油相場が大きく下落する可能性は低く、当面、現状の価格帯での推移を予想する。引き続き、産油国の動向には注意を払っておきたい。
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