「LIGHTHOUSE」を見ながら泣いてしまったのは、その存在がうらやましかったから(やんわりネタバレあり)
まさか見終わったあと号泣しているとは思わなかった。また若林正恭に揺さぶられてしまった。
Netflix作品「LIGHTHOUSE」を視聴した。佐久間宣行さんがプロデューサー、星野源さんと若林正恭さんのトークバラエティ。全6話、約30分だったから、あっという間に見終えた。
途中途中、刺さるな~という内容も多々あった。特に#3は、すでに今の生活に飽き飽きとしている私にはしっかりと刺さった。今年の頭、唐突にピアノを習い始めたのも、私は新しい場所に行きたかったからなんだってハッとした。
ただ、私の涙を誘ったのはそこではない。
#1~3では悩みを吐露していたが、#4、#5と進んでいくに連れて、目に見えるほど変わっていく若林さん。そんな若林さんに真摯に向き合って、笑って、否定せず、すべてを受け止める星野さん。あまりにも自然な光景だったのだけど、けどこれって、”当たり前”のことなんだろうか。自分の腹の中(うち)をさらしても、笑ってくれる人はいるだろうか。悩んでんなあって、笑いあえる人はいるだろうか。
ずっともがくんだろうなって、そういう努力しているんだってところをもさらけ出しても、それを嫌味に捉えずに肯定して、笑いあえるって、とても貴重なことなんじゃないか。
こんなふうに自分の中の嫉妬、憎悪、泥臭さ、悩み、孤独を聞いて、共感してくれる人って、いるっけ。このなんとも言えない、空虚に、共感してくれる人って。
私にだって、友達も、仲間も、たくさんいる。けど、この「LIGHTHOUSE」のような関係性の人って、友達とも違う、仲間とも違う、盟友とも違う。以前若林さんが「アメーバ」と呼んでいたけど、そう、個体でない、互いにぬるっと侵食しあって、気づいたら一つになったり、また離れたりしている存在。近いけど、近すぎない存在。
私には、そんな存在いない。もしかしたら気づいてないだけかもしれないけど、気づけてないってことは、いないと同義だ。
星野さんと若林さんがなんだかうらやましくて、灯台を前にして話す2人を見て、嗚咽してしまった。寂しくて仕方がなくて、声を上げて泣いた。
私はずっと若林さんを仲間のように思っていた。「たりないふたり」でさらけ出す姿を見て、「あちこちオードリーオンラインライブ」でさらけ出す姿を見て、私の仲間だと。どこかネガティブで、気にしがちで、埋められない穴がある、”こちら側”の人間だと。
だけど、今回の「LIGHTHOUSE」で、そうじゃないと思い知らされた。いや、”こちら側”ではあるものの、はるか道の先にいた。自分の孤独を”同じような”誰かに勝手に重ね、日々慰みを受けている私とわけが違った。
若林さんと星野さんが積み重ねてきた、ラジオ、エッセイ、自分自身との対話と、自分の言葉で語るということ。40年近く生きてきて、自分をさらして、きっといろんな衝突もあって、いろんな傷を作って、ここまできた。そんな中出会うべくして出会った二人なんだと思う。
それに対して、私はどうだろうか。
#4の観客の中にいた、「メタル音楽が好きと言えない女の子」と同じだった。ガチガチに着込んだ鎧が脱げない、自分の素肌を見せられない。傷つくのが怖い。ぶつかるのが怖い。嫌われるのが怖い。幻滅されるのが怖い。どうしようもなく、自分が立派な人間でないのが情けないのだ。そんな姿を、他人に見せられない自分の弱さが浮かび上がった。「LIGHTHOUSE」のような存在がいないのは、私自身に理由があるのだ。
「合う人と会う」
若林さんのエッセイにあったこの言葉を思い出す。私自身をさらけだして、少しでも受け入れてもらえたら、この空虚は少しは埋まるのだろうか。誰かの姿に幻影を重ね、孤独を埋める日々は終わるのだろうか。
だったら、私もやるしかないんだと思う。
”さらけだす”ということを。
上記の本筋と逸れてしまうので分けて書くけど、人を傷つけない笑いをすると宣言する若林さんを見て、ここでも泣いてしまった。これが私のオードリーを、若林さんを応援する理由だと思った。
「悩み」というものをコンテンツに昇華する佐久間さんの技量もすごい。「悩み」がコンテンツになるだなんて思っても見なかった。企画書が見たい。
悩みというものは”陰”というイメージがあるし、個人的なものすぎて、他人と共有するだけで番組が成立するものなのかと思ってたけど、成立してた。それはきっと若林さんと星野さんの技量にもよるんだろうなと思う。そして、二人の技量を見出して、番組として成立する(成立させた)佐久間さんの手腕がすごい。
あと、Netflixらしく大量に予算が投じられてるところと、おしゃれな映像なのにテロップは私の知ってるバラエティのものだったところは笑ってしまった。(それがまた面白くて良いんだけど)
最後に。「LIGHTHOUSE」を見終わったあと、「明日のたりないふたり」の漫才のラストを見返した。#6のラストとダブるところがあったからだ。思ってた通り、通ずるところがあって、胸にじんときた。つまるところ、「もがき続けてきてよかったあ」なのかもしれない。
2023.8.26 追記
最終稿のUP。そして、つじーさんの記事にてご紹介いただきました。ありがとうございました。