独創的なコンセプトでK-POPシーンの新時代を築く NCTの世界
BTSの活躍とともに、今や世界中にファンがいると言っても過言ではないK-POPミュージック。人気の高まりに比例するかのように、各芸能事務所からは次々と新たなグループが輩出されていきます。そんなK-POPシーンにて異彩を放つ多国籍ボーイズグループのNCT。2021年には派生ユニットのNCT 127がアルバム「Sticker」、NCT DREAMがアルバム「Hot Sauce」で揃ってダブルミリオンセラーを達成(リパッケージ版を含むとトリプルミリオンセラー)し、年末に発売された3rdフルアルバム「Universe」は予約セールスの時点で170万枚を記録し、2016年のデビューから着実に地位を確立しています。今回はそんなNCTの魅力にフォーカスしていきます。
あの有名アーティストを生み出した
大手芸能事務所からの衝撃デビュー
NCTが所属するのは、日本のK-POPブームの火付け役となったBOAや東方神起、そして世界的に絶大な人気を誇るEXOを輩出した、韓国の大手芸能事務所SMエンターテイメント。こちらの事務所はK-POPシーンにおいて、1990年代後半ころの第1世代から現在の第4世代まで、全ての世代で人気アーティストを輩出しています。2016年にデビューしたNCTは〝Neo Culture Technology″の略で〝開放″と〝拡張″をコンセプトとし、活動ユニットとメンバーの数に制限のないグループと、今までのK-POPグループにはなかったコンセプトが大きく話題となったようです。コンセプト通り、メンバー・ユニットともに徐々に増えていき、今では23人のメンバーと4つの派生ユニット(年末にその年のNCTメンバー全員での曲も発表したり)となりました。時期が来ればグループを脱退?があるかはわかりませんが、この途中から新メンバーが入ってくるのが当たり前という概念は、なんだか日本の女性アイドルグループに似ている気がします。また、メンバーの国籍は韓国、中国、日本、アメリカ、タイ、香港、カナダ、マカオ、台湾とかなり多国籍です。
バラエティ豊かなユニットが生み出す
幅広いパフォーマンスはK-POP界ナンバーワン
NCTの最大の魅力は何か聞かれたら、活動ユニットとメンバーの数に制限のない点と私は答えます。なぜなら、このコンセプトだからこそ、他のグループには成せないことができるからです。多くのグループはデビュー当時からのコンセプトを大事にし、歌やダンスなどのレベルを発展させていくことができても、曲の雰囲気を変えていくことはなかなか難しいのではないかと思います(デビューから数年経ったら、突然コンセプトがガラっと変わるグループもなかにはありますが)。でも、NCTは活動ユニットとメンバーの数によって、さまざまなジャンルのパフォーマンスに挑戦していくことが可能です。この後は、各ユニットのデビュー曲と最新曲を中心にNCTの多種多様な曲を紹介していきます。
メンバー同士の化学反応で可能性が無限に広がるNCT U
2016年1月に結成し、4月に「The 7th Sense」でデビューを飾ったNCT U。NCT Uの〝U″は連合や団結を意味する〝united″を表し、固定メンバーでなくリリースされる曲の世界観に合わせて、毎回メンバーが決まります。そのため、NCTのユニットのなかで1番チャレンジし易いユニットだと思います。それを証明するかのように発表されたデビュー曲「The 7th Sense」は、ボーイズグループのデビュー曲とは思えないほど、かなり難解な楽曲です(はっきり言って、アイドルファンは付きにくい曲でもあります)。でも、それをちゃんとものにできているのが彼らの強みです。
〈テヨン、ドヨン、テン、ジェヒョン、マーク〉
曲の構成に加えて、音の取り方など素人が見ても難しいとわかるこの振り付けは、日本が誇るダンスパフォーマンスグループのs**t kingzによるもの。
NCT UはMVありの曲を1年に何曲も出すことがあまりないのですが、大体年1でリリースされるNCT全体のアルバムには、NCT Uとしての曲が多く収録されます。誰がメンバーになるかわからないNCT Uの活動は、ファンにとって1番わくわくドキドキするユニットなのではないでしょうか。
また、2020年に発表されたアルバム「NCT 2020 RÉSONANCE Pt.1」、「NCT 2020 RÉSONANCE Pt.2」ではNCT Uとしての活動がとても活発で、MVが作られた曲も多く、NCTならではの世界観を視覚的にも堪能できた年になっていました。このアルバムについて語り始めると、かなりのボリュームになってしまうので、今度機会があれば別に書きたいです。
〈ドヨン、ジョンウ、マーク、シャオジュン、ジェノ、ヘチャン、ジェミン、ヤンヤン、ショウタロウ〉
NCT Uとしての最新の楽曲は、昨年末にリリースした「Universe(Let's Play Ball)」です。参加メンバーを見ると結構若いメンバーが多く、この曲のコンセプトにとても合っていると思いました。
ソウルから世界へ
変幻自在のエキスパート集団NCT 127
テイル、ジャニー、テヨン、ユウタ、ドヨン、ジェヒョン、ウィンウィン、ジョンウ、マーク、ヘチャンの10人のメンバーで活動するNCT 127。〝ソウルの経度である東経127度から世界へ向けて″が込められたNCT 127は、米ビルボードにも度々ランクインしています。言葉を選ばずに言うと、NCT 127の特徴は癖が強いことだと思います。NCT 127の発表する楽曲の世界観は他とは一線を画し、ヴィジュアルまで完璧に合わせてくるので、リリースする度にまったく異なった顔を見せてくれます。そのため、彼らはよく〝ネオすぎる″〝最初戸惑った″というような、ファンさえも驚かせることが多いようです。そのどんなコンセプトでも消化できる彼らは、ボーカル、ダンス、ラップのエキスパートが揃っていて、それぞれが自分の得意分野を最大限に活かしています。そして、全員が自分の見せ方をよくわかっている、プロフェッショナルな方の集まりだと感じます。
NCT Uの「The 7th Sense」とはまた異なったジャンルですが、デビュー曲にこの曲を持ってくるのか、と驚かせる要素が相変わらずあるのがわかります。でも、この奇抜かつユニークな楽曲、ダンス、衣装でもかっこよく決まるのが彼らです。
NCT 127の最新曲は、アルバム「Sticker」のリパッケージアルバムのタイトル曲となった「Favorite(Vampire)」。情熱的な愛をヴァンパイアをモチーフに表現しています。始まりの美しい口笛の音でもわかるように、彼らの曲はイントロから聴き手の心をグッと掴んでいく特徴があります。
進化の勢いは誰も止められない
エリートパフォーマー揃いのNCT DREAM
結成当初、20歳を迎えると卒業する制度をとっていたNCT DREAM。そのため最年長のマークがいない時期もありましたが、現在はその制度を撤廃し、マーク、ロンジュン、ジェノ、へチャン、ジェミン、チョンロ、チソンの7人で活動しています。NCT DREAMは7人中5人が、SMエンターテインメントの公式練習生 SMルーキーズ出身です。SMルーキーズとしてデビュー前から人前でパフォーマンスすることがあったからか、歌もダンスもレベルが高く、メンバー間のバランスもとてもよいです。
デビュー曲の「Chewing Gum」は当時、平均年齢15.6歳という若さの彼らにぴったりなポップで可愛らしい曲です。
昨年大ヒットした「Hot Sauce」から早くも2ndフルアルバム「Glitch Mode」を3月に発表したNCT DREAM。タイトル曲の「Glitch Mode」では更なる進化を見せてくれました。10代の頃から活動する彼らは曲を出すごとに進化していくので、見ていて面白いです。正直、いくつかあるNCTのユニットのなかでNCT DREAMの曲は、あまり聴いていなかったのですが、このアルバムはかなりの私好みのラインナップでした。
ハイセンスな世界観と美しい舞いに魅せられる威神V
NCTのユニットでは2019年デビューと現在1番新しい威神V(Way V)。中国語で〝神のごとき威力″を意味し、中華圏をターゲットに結成されました。メンバーの出身地は中国(クン、ウィンウィン、シャオジュン)、タイ(テン)、香港(ルーカス)、マカオ(ヘンドリー)、台湾(ヤンヤン)と多国籍という言葉がぴったりです。デビューは比較的最近な彼らですが、テンはNCT Uのデビュー曲「The 7th Sense」に参加していて、ダンスの実力はNCT内で1番と言っても過言ではないメンバーです。そして、ウィンウィンはNCT 127のメンバーでもあり、クンとルーカスは2018年にはNCTの活動に参加をしていたりと、決して活動歴が短いわけではありません。そこへ、SMルーキーズを卒業したシャオジュン、ヘンドリー、ヤンヤンの3人が加わりました。
彼らのデビュー曲はNCT 127の「Regular」を中国語で歌ったものです。この曲はNCT 127が歌う韓国語、英語ヴァージョンと3か国語ありますが、威神Vが歌う中国語版はMVももちろん異なるので、曲の雰囲気がガラっと変わってきます。
2021年には威神V内でもさらにユニットを組んで活動をしていたので、どの曲が最新かというと定かではないのですが、全員が参加している曲では「Kick Back」が新しいものだと思います。私の個人的な意見ですが、偶然なのか敢えてなのか、威神Vはガツガツしているよりも上品に綺麗に踊るタイプのダンサーが揃っている気がします。
このようにNCTは〝開放″と〝拡張″という特徴的なコンセプトを武器に、多彩な能力を多様に発揮しています。23人と人数が多いからでもありますが、あまりにもフォーカスしたい点(ポジション別メンバー紹介、各グループのおすすめ曲、NCTのアルバムについてなど)がたくさんあるので、NCTについての記事はシリーズ化できるといいなと思っています。