アーティストとしての自分を解き放つクリエーションスペース「NCT LAB」①
2022年2月に突如始まった、「SM STATION」を基盤とするNCTによるプロジェクト「NCT LAB」。このプロジェクトはNCT 127、NCT DREAM、威神V(Way V)の固定ユニットの垣根を超えたNCT Uよりも柔軟に、彼らの多様な音楽を見せる取り組みとなっています。ソロ曲や自作曲など、メンバー自身が普段に増して制作過程にコミットした作品は、彼らの〝アーティスト″としての姿を垣間見ることもできるのが魅力です。
心に秘めた葛藤と覚悟を歌う
マークによる「CHILD」
「NCT LAB」の記念すべき第1弾を飾ったのは、高度なラップスキルとダイナミックなダンスが武器のマーク。マークと言えばラップとダンスに注目しがちになりますが、それ以外もこなせるオールラウンダーであるのが彼の最大の魅力とも言えます。ご両親が音楽関係?のお仕事をされているようで、幼い頃から音楽に触れてきた彼は作詞作曲もできるので、トップバッターに抜擢されたのも納得です。ただ、私がちょっと驚いたのは、ソロ曲だったということ。今まで、他のメンバーがソロ活動をしていたことはありましたが、マークがソロというのは私の記憶ではなかった気がします。「CHILD」というタイトルでマークが曲を出すとアナウンスされたとき、ダンスが上手い彼のことなので、ダンスミュージック系を少し期待しましたが、良い意味で裏切られました。
マークの代名詞とも言えるラップパートはもちろんありましたが、アップテンポなダンスミュージックではなく、センチメンタルな心にしんみりと響く楽曲。でも、逆にそのテンポやメロディーが彼の歌声にマッチしています。私はマークの少しラフな歌い方がとても好きで、ユニット活動している時はメインラッパーなのでなかなか聴くことのできないボーカルを聴くことができて、とても嬉しかったです。NCTがオフィシャルYouTubeチャンネルで配信している、「MUSIC SPACE」でもパフォーマンスしていますが、音源版とはまた違った生歌ならではの味が出ています。
内容としては、若い頃から芸能界で夢に向かって突き進んできた(おそらくこの先も突き進み続ける)、彼の理想と現実の狭間での悩み・葛藤を歌っているのだと思います。私は韓国語がわからないので、色々な方が和訳したものをネットで読んだのですが、〝みんなが見ている僕は誰だ″〝夢というものが太陽ならば僕の頭の中はそれをぐるぐる回る″〝自由になるときまで後ろは振り返らない″など、かなり悩み苦しんでいるのがわかります。もちろん、アイドルとして、アーティストとして成功することが彼自身の夢であることは確かですが、それと引き換えに様々なことを犠牲にしてきた事実が痛いほど伝わってきます。
このように、ユニット曲では表現しきれない個々の想いが詰まったNCT LAB。とても素敵な活動なので、1曲1曲が待ち遠しく思えます。
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