試合レポート|天皇賜杯・茨城県大会 準決勝 筑波銀行 vs 常陽銀行
2020.7.12(日) 牛久運動公園野球場
天皇賜杯 茨城県大会 準決勝
筑波銀行 200 000 020 01|4
常陽銀行 210 000 000 00|3 (延長11回)
(筑)水毛、塚原-増田
(常)高崎-佐藤
スタメン
試合経過
※すべて手元でつけていたスコアをもとに書いています。公式記録ではありませんので、多少の判断違いはご容赦ください。
序盤から大きく試合が動きます。
1回表:筑波銀行は1死から荒原選手が左前打、走者を進められず2死一塁となるも、舟木選手が内野安打、秋川選手のたたきは野手の横を抜けニ走・福岡選手が生還(記録は安打)。続く主将の増田選手にも適時打が出て2点を先制します。常陽銀行のエース・高崎投手は初回に144キロを計測。すごいです。(筑波銀行 2-0 常陽銀行)
2回裏:2点を追う常陽銀行、2死一塁からなんと9番・高崎投手が同点2ラン!自らのバットで取り返しました。すごすぎます。(筑波銀行 2-2 常陽銀行)
ベンチのみなさんも驚きと喜びと、よい表情です!
3回表:筑波銀行、1死一塁の場面。舟木選手の右飛で一走・福岡選手が戻れず併殺に。常陽銀行のライト・五十嵐選手、風が強く難しい打球でしたが前進して好捕、そして見事な送球でした。
3回裏:よい守備が出た常陽銀行は先頭の原田選手が安打、すかさず二盗を決め、犠打で1死三塁。津田選手の三ゴロで三走・原田選手は一度立ち止まり、送球のスキをついて本塁へ!好走塁で勝ち越します。小野寺商事との試合でもそうでしたが、原田選手の走塁は素晴らしいです。(筑波銀行 2-3 常陽銀行)
ヘルメットのロゴが輝いていますね(笑)
仲間の好守あり、自らの同点2ランもあり、常陽銀行・高崎投手はリズムを取り戻し、テンポよくアウトを重ねていきます。
8回表:筑波銀行は1死から、ここまで3打席完ぺきに抑えられていた1番・佐藤選手が左前打で出塁。荒原選手がこの日3本目となる安打で続き、佐藤選手は一気に三塁を陥れます。1死一、三塁と同点の好機に福岡選手のたたきが決まって同点!仲間に迎えられ笑顔!(筑波銀行 3-3 常陽銀行)
一進一退の攻防、非常にしびれます。
常陽銀行ベンチは「延長は後攻が有利!」としきりに声を出し士気を高めます。笑顔です。
10回表:先頭の筑波銀行・金子選手が左越え二塁打で出塁するも、続く佐藤選手の打球で三塁憤死。常陽銀行はピンチ脱出。
10回裏:常陽銀行は三者凡退。7回から2番手としてマウンドに上った筑波銀行・塚原投手。よく投げています。高めに浮く球がほとんどなく、長打を許しません。
11回表:筑波銀行はこの回も先頭の舟木選手が左中間を破る二塁打。無死二塁。犠打で無死三塁とすると、増田選手は申告敬遠で無死一、三塁。7番・猿田選手の強い打球は三遊間へ。前進守備の常陽銀行・村田選手が好捕。しかし本塁へ投げることはできません。筑波銀行が勝ち越し!
村田選手はすごく悔しそうでしたが、仲間からは「ナイスキャッチ!」「よく止めたぞ!」の声。あの打球が抜けていたらさらに相手の好機が広がっていたので、ナイスプレーでした。(筑波銀行 4-3 常陽銀行)
11回裏:1点リードした筑波銀行。塚原投手が最後のアウトを取るとベンチは喜びを爆発させます。「なんとしても常陽銀行を倒すんだ」という強い気持ちが表れた試合となりました。前年度優勝の常陽銀行は準決勝敗退で今シーズン終了となってしまいました。
天皇賜杯・茨城県大会の決勝は日本原子力研究開発機構原子力科学研究所 vs 筑波銀行となりました。7月18日(土)9時より、牛久運動公園野球場で行われます。
使用した機材・設定
・7DmarkⅡ+70-200mm f4 IS
・ISO:400~800
・絞り優先(f4固定)
・ホワイトバランス:太陽光
西日の時間帯はすこし露出補正をアンダーにして光の感じを出すのが個人的にはすごく好きです。輪郭が浮き上がって被写体が際立ちます。
”スポットライト”
試合ごとに私の独断と偏見で気になった選手を紹介するコーナー、名付けて”スポットライト”。印象に残ったプレーや表情を中心に、エピソードを交えてお伝えします。
▶常陽銀行・河原井選手
常陽銀行は好守が目立ったのですが、その中でも二塁を守る河原井選手!
守備範囲がめちゃくちゃ広い!声が大きい!そして笑顔がよい!(ここ重要です)
今まで何度か常陽銀行の試合を見たなかで、河原井選手はチャンスに強い打者のイメージだったのですが、今日はよい意味で印象を覆してくれました!フライが上がったときなんか、だれよりも大きな声で奪いに(?)行きます。
よいプレーが出たときにつけているスコアのしるしは、河原井選手の守備だけで4つもありました!(拍手!)
ショートとレフトの間の飛球を捕ったかと思えば、一二塁間、深いあたりも難なく!球際が強いですね。
▶筑波銀行・佐藤選手
佐藤選手を初めて見たのは、2018年に福島で行われたバンバータチャレンジカップでした。1番を打ち、ショートを守る。まさに走攻守3拍子揃った、華のある選手。初見で感じたしなやかさに力強さが増していて、これからもたくさんプレーを見たい選手のひとりです。常陽銀行はショートに打ったらダメだよ、と試合中に何度も思っていました(笑)
▶筑波銀行・荒原選手
荒原選手の無駄な力が入っていない構えと、スムーズなバットの軌道にほれぼれしました。3安打もうなずけます。しかも左、中、右、と広角に打ち分けての3本。どこのコースに来ても体が自然に対応できている印象です。
構える前に、くるくるとバットを回すルーティンにより、いつも同じ状態で打席に立てているのではないでしょうか。
(ルーティンといえばイチロー選手やラグビーの五郎丸選手が印象的ですが、「心をここに戻し、呼吸を整える」効果があると言われており、持っているパフォーマンスをしっかり出すためにおすすめです)
2番打者ですが、対戦相手からしたら非常に嫌な打者ですね。
あとがき
天皇賜杯は社会人軟式野球で最高峰の大会です。
その予選となれば選手たちも一段と力が入り、好試合もたくさん生まれます。
社会人軟式野球は1年に大きな大会が3つあります。
・天皇賜杯 全日本軟式野球大会
・国民体育大会
・水戸市長旗 東日本軟式野球選手権大会(中部、西日本にも同様の大会あり)
※その他、企業大会や官公庁など、様々な大会があります。
上記3つの大会に出場できるのは社会人軟式でもAクラスといわれる、最もレベルの高いクラスのチームのみです。社会人軟式はほかにB、C、壮年など、クラス分けがされており、各クラスで様々な大会があります。
選手たちはこの3大会に出場することを大きな目標としています。
今季は新型コロナウイルス感染症の影響で、国体は年内の開催が見送られ、東日本をはじめ中部、西日本の大会は中止が決まっています。
天皇賜杯だけが9月から10月末へ延期し、開催する方向で進められています(今年は岡山県開催)。
※詳細は全日本軟式野球連盟の公式サイトをご参照ください。
そのため、今年の選手たちは天皇賜杯がすべて。
かける思いも相当なもので、天皇賜杯の予選で敗れると今シーズンが終了となる場合が多いです。
県大会の準決勝で敗退した常陽銀行は昨年度、この3つの大会すべてに県の代表として出ています。
・天皇賜杯 全国ベスト16
・国体 準優勝(地元・茨城での開催でした)
・東日本 優勝
各大会で素晴らしい成績を収めました。
なので、今日の敗戦は信じがたく、選手たちの落胆は計り知れません。
試合後のミーティングを遠くから眺めていましたが、主将の豊島選手は涙が止まらず、しばらく何も言えない状態。渡辺監督が代わりに何か話している様子も見えました。
なんとか豊島選手が声を絞り出して話を終えると、ミーティング後に渡辺監督が選手ひとりひとりと握手をされていました。今年で最後だったそうです。豊島選手の涙も理解できたような気がします。みんなが帰りの支度をはじめても、しばらくうつむいたままでした。
大会中止が相次ぎ、活動もままならない中、唯一の大舞台への準備にはとまどいや不安があったことでしょう。強豪チームだからこそ、余計に難しかったことと思います。
私はライターではないので、確信を突いた部分の話を聞いたりするのが苦手なうえ、不慣れです。特にこの状況でお話を伺うことはできませんでしたので、憶測でしかありませんが、時間をかけて前を向き、次へ気持ちを切り替えてくれたらいいなと思います。
常陽銀行は明るいチームですから、心配はしていません。
各県、熱い戦いが繰り広げられています。
牛久運動公園野球場にも多くのお客さまが観戦に訪れていました。球場ではしきりに「客席でのソーシャルディスタンスを」とのアナウンスも。
観戦できることが非常にありがたく、個々人ができる対策をしっかりとしたうえで、みんなで気持ちよく観戦し、選手たちに応援を送りたいですね。
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ご理解くださいますと幸いです。よろしくお願いいたします。