ミックス

6.ミックス

どうも皆さん
おはこんばんちは。

さて、いよいよミックスです。
ミックスとは読んで字のごとく
各楽器混ぜ合わせ
一つの楽曲に仕上げる作業ですね。
一番難しく、一番楽しく
一番気持ちがいい作業です。
これまた、これが正解というのは無いです。
モワモワしていようが
ジャギジャギしていようが
ご自身が気持ちがいい音なら
それが正解です。
とは言いつつも
ご自身のCDを作って売ったり
ご自身しか聴かないなら
それでいいのですが、
もしも楽曲制作依頼を受けたり
ミックス依頼を受けたりしたい場合は
クライアントの要求に応えないといけません。
たまにとんでもない要求が来たりします。
「ちょっと低音が大きいですね。
 ドンシャリにして下さい」
みたいな(笑)
は?
どっち?
困りますよね(笑)
この場合ボクは『ドンシャリ』を無視します(笑)
まぁ、無視と言うか
『低音が大きい』
という要求を優先させるという意味です。
音をコントロール出来る様になれば
幅が広がるという事ですね。

同じ楽器でも人によっては
全く違う雰囲気の音になります。
是非皆さんには
お手元のCDを聴き比べてみて下さい。
曲を聴くのではなく
音の違いに注目して聞いてみて下さい。
するとご自身が好きな音(ミックス)が
見つかるはずです。
いっぱい音楽を聴いてみて下さい。

さて本題に入りましょう。
ただ、これはボクが独学で学んだやり方なので、
市販されている本などやネットに
載って無い物から載っている物まで
ボク自身が実際やっている事をそのまま記事にしています。
あと、ミックスに限らず音楽全般に言える事ですが、
必ずしもこれが正解というものはありません。
参考にして頂ければ幸いです。
あと、余談ですが正直この記事は長いです(笑)
短く簡潔にまとめようと思ったのですが、
割と長くなってしまいました。
それでは、宜しくお願い致します。


6-1ミックスとは

では、根本的な話から綴っていきます。
ミックスとはなんでしょう?
前述したように
簡単に言えば、各楽器を混ぜ合わす事なのですが、
ただ同時に再生すればいいと言うわけではありません
各楽器の特色を把握し、
各楽器の音を綺麗にし、
それに応じてバランスを取っていかなくてはいけません。

と、言葉で言うのは簡単ですが、
音は形が無い物ですので
いまいちイメージが湧きませんよね。

まず、ミックスをする上で
一番気を付けないといけないのが、
最終的なボリュームです。
通常、音楽を聴く際
好きな音量にボリュームをいじったり
いくらでも大きく出来ますよね。
ミックスはそうはいきません。
最終的なボリュームに上限があります。
好き放題楽器を入れていくと
上限を振り切りノイズが入ります。
その時、ボリュームメーターの
ピークが点灯します。
これを『クリップする』と言います。
覚えておいてくださいね。
なので、ミックスは
クリップしないように気を付けて
ボリューム調整をしないといけません。
ちなみに上限は0dBで、
0.1dBになるとクリップします。
すべてマイナスの範囲で
調整しないといけないわけです。
何故こんな面倒臭い表記なのかは知りません(笑)
気になる方は各々でググって下さい(笑)。

では、どういう風にイメージするかと言うと、
ボールを箱の中に入れる
って感じです。

画像1

↑こういう感じですが…

画像2

↑残念ながらこうはなりません。
実際は…

画像3

こういう感じです。
あくまでイメージですよ!
楽器と楽器が重なったりしてますね。
こうなるとどういう現象が起こるかと言うと、
音と音がぶつかって干渉してしまい
聞こえ辛くなってしまうわけです。
これを『マスキング』と言います。
覚えておいて下さいね。
非常に嫌な感じです。

そこで便利にしたのが、
音を数値化したもの『周波数』です。
そう、というのは
周波数の集合体なわけです。
重なり合った周波数カットしたり増幅する事で、
楽曲全体を聞き易くします。
これを『住み分け』と言います。
覚えておいて下さい。
ちなみに『住み分け』には
楽器の音を左右に振る『パンニング』
と言う方法もあります。
イメージとしては…

画像4

↑こんな感じです。
あくまでイメージですよ(笑)
形は気にしないで下さい(笑)

そうです
周波数を制する者が
ミックスを制する

です。

6-2下準備

まず主に使うエフェクトを
紹介しておきます。
■EQ
■コンプレッサー
■マルチバンドコンプレッサー
■リミッター
■サチュレーション
■ディエッサー
■リバーブ
■ディレイ
■コーラス
■ゲート

他にもありますが、
まぁざっとこんな感じです。
が、必ずしも全部使わないと
いけないというものでもありません。

ボクはリミッターはミックスの段階では
ほぼ使わないですね(笑)。
クリップしないようにボリューム調整すれば
いいだけの話なので(笑)
どうしてもって時は…
使うかなぁ…
使わんなぁ…
あまりにも使ってないので
使った時の事を忘れました(笑)
あっ!
ラジオ収録をする時はリミッターを挿しておいて
掛け録りしたりします。
そんな時位ですかね(笑)

初めての方の為に、
ザっと簡単に各エフェクトの
役割を綴っておきます。
■EQ
イコライザー。
各周波数の増減を操作。
■コンプレッサー
音の圧縮。
■マルチバンドコンプレッサー
EQ+コンプレッサー
任意の周波数帯を圧縮。
■リミッター
主に任意のdBまで音を圧縮。
音圧を上げるのに使用する事が多い。
■サチュレーション
音に歪みを追加。
■ディエッサー
『サシスセソ』などの
歯擦音をカットする。
主にボーカルに使用。
ギターに使う人も…
■リバーブ
空間系エフェクトの一種。
響きを追加。
■ディレイ
空間系エフェクトの一種。
やまびこ効果を追加。
■コーラス
音の幅を広げる。
■ゲート(ノイズゲート)
任意のdBをカットする。

脱線してしまいました。
では下準備をしていきましょう。

まず、これは賛否両論
あるとは思いますが、
サブマスタートラックを作る
です。
何かと言うと…
昔、ある記事で見た事があるんです。
マスタートラックのフェーダー
基本的に触らない
マスターフェーダー
上げ下げすると音が劣化するので、
マスタートラックの前
サブマスターを作成する。
これが嘘か本当かは知りませんが、
しない方がいい
と言う事は素直に聞くのがボクのモットーなので
大人しくサブマスターを作成しています。

画像5

簡単に言うと、グループトラックを作成し、
名前をSUB MASTERにし、すべてのトラック
そこへ集約させると言う事です。

すくしょ_068

ROUTING』にある
Stereo Out』を
今作った『Sub Master』に
変えるだけでOKです。

このグループトラックは便利で、
例えば、ドラムパートを
一つにまとめて
ドラム全体の音量を調整したり
ドラム全体にエフェクトを掛けたり
出来ます。

ちなみに、こんな感じです。
↓↓↓↓↓

すくしょ_070
すくしょ_069

ご自身なりのグループを
作成してみて下さい。

次に空間系エフェクトです。
通常、エフェクトは各トラックの
インサートと言う所に挿して行くのですが、
同じ空間系のエフェクトを
何回も各トラックに挿して行くと重くなるし、
調整がかなりややこしいです。
なので、空間系のエフェクトの場合、
センド』を使用してエフェクトを掛けます。
その為にはまず、
エフェクトトラック(以下FXトラック)
を作成しましょう。

すくしょ_051

グループトラックを作成する手順と似ていますね。
リバーブディレイコーラス
それぞれ必要な分のトラックを作成して下さい。
ちなみにボクは、

すくしょ_052

■リバーブ(ホール)
■リバーブ(プレート)
■コーラス
■ディレイ(モノラル)
■ディレイ(ステレオ)

を作っています。
あっ!
ソロとミュートになっているのは
気にしないで下さい(笑)
解除するの忘れてました(笑)
次に、各FXトラック
前に作ったSUB MASTERに送ります。

すくしょ_053

次に各FXトラック
ハイパスフィルター(以下ハイパス)
ローパスフィルター(以下ローパス)を
設定します。
ハイパスローパスEQの一種で、
ハイパス(ローカット)は低音をカットし、
ローパス(ハイカット)は高音をカットします。
通常は楽器やボーカルに適用させるのですが、
空間系のエフェクトも低音がワンワン周り易いので
適用させています。
高音もキンキンしないようにカットしてみました。

すくしょ_054

数値は参考にして下さい。
次にディレイにもリバーブを適用します。

すくしょ_055

数値は参考にして下さい。

各エフェクトのソフトは
色んなメーカーが出しているので
好きなものを使用して下さい。
ちなみにボクは

すくしょ_056
すくしょ_057
すくしょ_058
すくしょ_059
すくしょ_060

こんな感じです。
数値は参考にして下さい。

次にすべてのトラック
エキスパンダー/ゲート
挿入しましょう。
嘘か本当か知りませんが、
海外のスタジオでは
主流だそうですよ。
全体的にノリが出るそうですよ。
■エキスパンダー/ゲート
 スレッショルド:-65dB
 レシオ:1:3~4
 デプス:-30~-40dB
 アタック:20us(最速)
 リリース:10s(最長)
 ホールド:5ms
ただ、エキスパンダー/ゲート
ProToolsに標準装備されているみたいで、
エキスパンダー/ゲートというプラグインは
売られてないみたいですね。
もし、知っているよって方が
いらっしゃったら教えて下さい。
なのでボクは、ゲートにしています。
■ゲート
 スレッショルド:-60~-65dB
 アタック:1ms(最速)
 リリース:1000ms(最長)
 レンジ:-35dB
 Frequency:500Hz
 Q:0.1
あと、チャンネルストリップの
ゲートを使用しています。
特に意味はないです。
なんとなくです(笑)
他社のゲートを使用したい方は
インサートに挿して下さい。

これで下準備は完了です。
いよいよ各楽器を
調整していきましょう。

6-3ミックス ー音質調整ー

とは言っても何から手をつければ
いいか分かりませんよね。
基本的には何でもいいので、
好きな楽器から調整していけば
いいのですが、
分かり易いのは
バスドラ→ベース→スネア→
ハイハット→ルームマイク→
オーバーヘッドetc→コード系楽器→
ボーカル

って感じですかね。
まぁ、土台から作って行くって感じです。
では、バスドラから調整していくのですが、
サンプリング音源系』の
ソフトシンセで作っている方は
あんまりごちゃごちゃ弄らない方がいいです。
せっかくプロが綺麗に音を作ってくれているので、
それを活かさない手はないですね。
サチュレーションEQ、少しコンプをかける位に
しておきましょう。

■バスドラ

では、バスドラからやっていきましょう。
まず、ハイパスをかけます。
好きなEQがある方は
そちらを使ってもかまいません。
ボクはチャンネルストリップを使います。
特に意味はありません(笑)
せっかくあるのに使ってやろうって言う
心意気のみです(笑)

すくしょ_062

数値は参考にして下さい。
だいたい20~30Hzカットします。
低音がモワモワしないようにって意味合いですね。
バスドラは60Hz辺り基音になると思うので
あんまり近付き過ぎるとせっかくの低音の迫力が
無くなってしまう
ので気を付けましょう。
まぁ、でも正直気休めです(笑)
ここで劇的に変わると言うことはないです。

次にバスドラのインサート
サチュレーションを挿して下さい。
主にテープシュミレーターですね。
デジタルの世界で編集をしているのですが、
いかにアナログに近づけるかが大事です。
なので、わざと歪ませてアナログ感を出しましょう。
ボクはCubase標準装備の『MagnetoⅡ』を
使用しています。

すくしょ_061

数値は参考にして下さい。
ボクはプリセット
Kick Panch』を選んでいます。
音が少し太くなり迫力が出るので好きです。
あっ!
ボク、結構プリセット好きです。
少し弄ったりしますが、
まずはプリセットをぶち込みます。
プリセットなんて
とか
プリセットはどうのこうの
ってイキるより
あるものは利用する派です。

すみません。
脱線しました。

次はEQです。
ここから人によって
物凄く分かれて来ると思います。
実際のバスドラを録音したなら
色々弄らないといけませんが、
ボクの場合は『サンプリング音源系』の
ソフトシンセで作っているので
あまり弄りません。

すくしょ_063

なので、
サチュレーション少し膨らんだ低音
少しカットする程度です。
何が変わってんだ!
って思う人も居るかもしれませんが、
元の音と聞き比べて見て下さい。
少し変わっちゅうでしょ(笑)?
そう、エフェクトを挿した時
何度もON/OFFをして聴き比べて下さい
これ大事です。
もちろん、元の音のままが好き
って人は、勿論そのままでも
かまいませんよ。

では、次にコンプレッサー
挿入しましょう。
コンプで音を均一にするって感じです。
ツブを揃えるって言います。

コンプは好きなコンプでいいですよ。
最初からあるコンプでもいいし、
有名所で言うとRCompとかCLAとかですね。
WAVESから出ています。
コンプはそれぞれ掛かり方とか
キャラクターがあるので
色々試してみるのが一番です。

コンプの設定のコツは、
ゲインリダクション-3dbを目安にして
スレッショルドを下げて下さい。
レシオは基本的には4:1です。
バスドラや曲調によって6:18:1
設定する場合があります。
中にはバスドラには8:1にしましょう!
って人も居ますが、それはどうかと思います。
バスドラに限らず、楽器はそれぞれ違います
録音の仕方や環境も、人それぞれ違いますので
実際の音を聞きながら調整して下さい。
ただ、掛け過ぎには注意です。
音が潰れてしまって耳がしんどくなるし、
ダイナミクスが失われて平坦な音になります。
あっ!
ダイナミクスは簡単に言うと抑揚ですね。
もしも、強く掛けたいって場合は、二段掛けにします。
一気に-6dbまで圧縮するよりも
-3cb+-3dbの方が掛かり方が緩やかになります。
あと、そっちの方が音楽的ですね。
バスドラのコンプのコツはアタック音が大事なので、
掛かりっぱなしにする
と言うより、
一音目が鳴って次の音が鳴るまでに戻る方がいいので
アタック音がちゃんと聞こえる様に
アタックタイムを遅めにして、
リズムに乗る感じ
リリースタイムを早めに設定しましょう。
あとは、圧縮した分ゲインを上げておきましょう。

すくしょ_064

一応、画像を貼っておきますが、
あまり参考にはならないかもしれません。
よく、コンプの設定値ネットにあったり、
参考書に書いてあったりしますが、
全く同じにしてもあんまり意味が無いですよ。
元の音の音質や音量で設定値は変わってきます。
あくまで参考にする程度にしておきましょう。
これが正解という値はありません。
自分の好きな音になるよう設定して下さい。

最後にEQで整えます。

すくしょ_066

65Hz辺りをブーストして迫力を加えます
打音を強調するのに2KHz辺りをブーストします。
ちなみに、9.6kHz辺りを0.8dBブーストし、
12.7kHz辺りローパス(-12dB)すると
前に出る感じになります。
音を聞きながら調整しましょう。

最後にベースの音をマスキングしないように
125Hz辺り少しカットします。
これは結構大事です。
やっといて損は無いです。

これもまた数値をそのまま設定しないで下さいね。
アナライザーを見ながら実際の音を聞きながら
設定して下さい。

■ベース

次はベースですが、
スネアにしてもハイハットにしても
シンバルにしても
基本的にはバスドラと同じです。
数値が違うだけです。
サチュレーション→EQ
→コンプ→EQ

と挿入していきます。
ただ、ベースはボクの場合
サチュレーションの変わりに
アンプシュミレーターを使います

基本的にベースは生楽器
録音するのですが、
環境上、アンプを通して録音出来ないので、
DIを通して直接録音しています。
なので、アンプシュミレーター
迫力を増幅させてます。
その辺りは好みなので色々試してみて下さい。

以下設定を書いておきます。

■EQ
ハイパスフィルターで超低音をカットします。
70~80Hz辺りカット
アナライザーで確認しながら
調整して下さい。
125Hz辺りをふんわりブースト
750Hz辺りをふんわりブースト
ベースの厚みが出ます。
6KHzブースト
ベースのメタリック感が増します。
音の好みに合わせて設定して下さい。
■コンプ
ドラムと違って掛かりっぱなしにするので
アタックタイムを早め
リリースタイムを遅めに設定。
ツブを揃えます。
特にロックなど激しいタイプは
あんまり音量差が無いように
気を付けましょう。
■EQ
最後のEQは落ち着かせる感じでいきましょう。
ただ、これは実際の音によって
変わってきますので、
アナライザーと耳で確認しながら
調整して下さい。
70~80Hz1~5dBカット
260~550Hz
1~10dBカット
2.1~6.3kHz
8~12dBカット
大体こんな感じです。
勿論、最後のEQは要らない場合もあります

サイドチェイン機能を使う人も居ますが、
ボク的には不自然な感じがして嫌いなので
使いません。

最後に位相を逆相にします。
ベースはBDとぶつかり易いので、
逆相にした方が気持ち良く聞こえると思います。
ただ、必ずしも逆相にした方が上手くいく
って事ではない
ので、
逆相にしてみて変な感じになったら
元のままで大丈夫です。

すくしょ_073

位相は波形の事ながですが、詳しい説明は省きますので
各々、ググって下さい(笑)

ベースは大体こんな感じですね。

■スネア

続いて、スネアの設定です。
これはほとんどバスドラと同じです。
EQの周波数が違うだけですね。
200~300Hz辺り基音になると思います。
アナライザーで確認してみて下さい。
2KHz辺りアタック感
4KHz辺りスナッピーの音を調整。

■シンバル系

次にハイハットシンバル等です。
これもEQの数値以外は
ほぼ同じです。
200~300Hz辺りに何か居ると思うので
音を聞きながら要ると思ったらブースト
要らなければハイパス等でカットして下さい。
ただ、ボク的にはカットし過ぎる
チープな音になる気がします。

シンバル等も含む金物は12KHz辺り打点があり、
12KHz以上シェルフでブーストしてあげると
ヌケが良くなります。
ただ、アコースティックギター
シェイカーなども共存する場所なので、
衝突しないようにパンで振り分けて下さい。

通常、次はルームマイクや
オーバーヘッドを調整するのですが、
『サンプリング音源系』のソフトシンセで作って、
各楽器の音をバウンスしているので
ルームマイクやオーバーヘッドはありません。
なので飛ばします。
ちなみに、通常シンバル
ルームマイクオーバーヘッド
含まれています。
他の音も混ざっているので結構調整は難しいです。
生ドラムを録音する機会があれば
チャレンジしてみて下さい。

ボクは生音録音では無いのであまりしませんが、
生音で録音した場合はグルーブ感を出す為に
ドラム全体へマルチバンドコンプレッサーなどを
掛ける場合もあります。
その場合はドラムのグループトラックに挿入します。

■コード系楽器

次はコード系の楽器です。
多いのはギターとかピアノでしょうか。
ボクの中でコード系の楽器はボーカルの次に難しいです。
倍音も鳴っているので音がめちゃくちゃ多いし、
ボーカルに干渉し易いし、
ちょっと弄ると音色がすぐ変わるし…
正直面倒です(笑)
あっ!
あくまでボクの主観ですよ(笑)

では、やっていきましょう。
基本的には順番は同じですよ。
ギターの場合、
アコギの場合はサチュレーション
エレキの場合はアンプシュミレーター
その次はEQコンプEQって感じです。
たまにコンプとEQの間
ディエッサーを噛ます人も居ますね。
エレキをアンプに繋いで録音出来る人は
アンプシュミレーターでは無くて、
サチュレーションでいいと思います。

■EQ
200Hz辺りから
ハイパスでバサッとカットして下さい。
と言っても緩やかな感じですよ。
単体で聞くと頼りなく感じるかもしれませんが、
ベースの邪魔をしないように必ずカットして下さい。
バンドが無い、ギター弾き語りみたいなタイプは
カットしなくていいと思います。
むしろ低音を効かせたりしますね。

4kHz辺りブースト
弦のザラつき感が増します。
特に弾き語りタイプに向いていると
思います。
8kHzブースト
これはなかなかギラギラします。
ここは結構おいしい所ですよ。
なんと、エフェクト
この8kHzのみをブーストするだけの物があるんです!
なので、絶対弄った方がいいですね。
実はハイハットスネア
ベースなどもここをブーストさせると
良い感じになったりします。
ボクはあんまりしませんが(笑)
お好みでどうぞ!
最後に12kHz辺りからシェルフでブースト
ヌケが良くなります。
ただ、シンバルなどの金物
ぶつからないように注意して下さいね。

■コンプ
バンドの場合
掛かりっぱなしでいいと思います。
なので、アタックタイムは早め
リリースタイムは遅めですね。
ボクは基本的にレシオは4:1ですが、
場合によっては8:1でもいいかもしれません。
これも-3dBが目安ですが、場合によっては-6dBまで
圧縮してもいいかもしれません。
勿論、二段掛けの方が自然ですが、
曲調によって色々試してみて下さい。

最後のEQは調整程度に留めましょう。
特に、ボーカルが入ったら
ぶつかり易い300Hz~1kHz薄っすらカット
前奏間奏後奏1kHz~2kHzの間
薄っすらブーストしてキラキラさせたりします。
けど、ギターは最初から最後まで
通しで録るのに、途中で変更出来るの?
って人が居ると思います。
その場合は、録音した後トラックを複製して
前奏・後奏パート歌パート分割します。

すくしょ_071

こういうのを
↓↓↓↓↓

すくしょ_072

こうです!
途中で波形を切ったら音が変にならんの?
って思う人も居るかもしれませんが、
安心して下さい!
音で聞けば切ってんのかどうか分かりません。
ただ、一ミリでもズレると音が途切れるので
気を付けて下さいね。
もし、再生してみて違和感があったら
ズレている可能性があるので拡大してみて下さい。
修正箇所が分かると思います。

ここで、少しテクニックを紹介します。
アコギ一本で弾き語り風な曲の場合、
アコギが少し寂しい
って思う事があるかもしれません。
そんな時は、アコギのトラックを複製して
オリジナルの方でも複製の方でもいいので、
少しズラします。
もの凄く微妙にですよ。
次に、二つのトラックのパン
左右にそれぞれ振ります。
だいたい50位です。
EQ処理も左右を少し違えるといいかもです。
すると、ギターに迫力が出るのと、
二人で弾いているみたいに聞こえますよ。
ただ、あんまり左右を振り過ぎないように
注意
して下さい。
マスタリングの際に詳しく説明しますが、
ステレオの広がりが基準を超えるので
パン50~60位までに
留めておいた方がいいです。

では、ピアノの場合ですが、
これも基本的にはギターと同じです。
バンド編成の場合は
ハイパス150~200Hz辺りから
バッサリいって下さい。
それ以外はハイパスでカットすると
ピアノの響きが失われますので
気を付けて下さい。
ピアノは音域が広いので注意が必要です。
レトロというか、フワッとしたかったら
180~350Hz辺りブースト
ロック系でシャキッとした感じにがいい場合は
2k~4kHzブーストして下さい。
やり過ぎは注意ですよ!
変な音になります。
勿論、8kHzも弄った方がいいですよ!
10kHz以上シェルフでブーストすると
ヌケが良くなって、キラキラした感じになります。

コンプはあまりかけない方がいいかもしれません。
気持ち程度でいいと思います。
粒を揃える感じですね。
パキパキにしたい方はゴリゴリに
掛けちゃって下さい。

■ボーカル

では最後にボーカルです。
ボーカルもまた難しいですね。
人それぞれ、声質は違いますし歌い方も全然違います。
変な声にならないように注意しながら調整していきましょう。
EQ、コンプは色んな本やネットを見たのを
ボクが総合的に混ぜ合わせています。
数値等は参考程度にして下さい。

ではまず、通常サチュレーション
挿入すればいいのですが、
ボクの場合は『モデリングマイク』を
使っているので、
一番上はマイクシュミレーターのプラグイン
挿入しています。
『モデリングマイク』お勧めです!
モデリングマイク以外の人は
サチュレーションで大丈夫ですよ。

■EQ
ハイパス
は大体200Hz辺りです。
最初のEQ思いっきりいきましょう!
嘘か本当か知りませんが、
海外のスタジオの設定らしいですよ(笑)
74.8Hz3dBブースト Q幅は少し狭め
310Hz1.5dB程度カット(モコモコ感を除去)
2kHz2.6dB程度カット(ヒステリック感を除去)
Q幅広めでいきましょう。
9.1kHz6.1dBブースト
Q幅を広めでいきましょう。
かなり変わったでしょ?

■コンプ
レシオは4:1です。
場合によっては2:18:1も試してみてもいいです。
ただ、基本的には自然な感じを意識して下さい。
アタックタイムは曲調に合わせて下さい。
大体6~52.5ms位です。
勿論、0.2msからかける場合もあります。
リリースタイムも同じです。
曲調に合わせて下さい。
10ms~3.7s位を目安にして下さい。
ゲインリダクションは勿論-3dBです。
-6dBまで圧縮したい場合は二段掛けです。
最後に圧縮した分ゲインを上げて下さい。

■ディエッサー
歯擦音の除去ですね。
ボクはプリセットをそのまま当ててます。
弄る事もありますが、
いい結果になった事があんまりないです(笑)
プリセットに男性用と女性用があるので
それをそのまま適用しています。
一応、各数値を書いておきますね。
男性:2kHz~5kHz
女性:5kHz~8kHz
レンジ:-0.4~-1.1dB程度

です。
一番大きくなる部分でメーターが動くように
調整して下さい。

■EQ
最後のEQは微調整です。
男性、女性共に同じです。
基音を薄くカット。
第2倍音をフワッとブースト。
第5倍音をフワッとブースト。

あんまりきつくやり過ぎないように
注意して下さいね。
【基音】
男性:220~440Hz
女性:261.63~659.26Hz

必ずしもこの周波数ではありません。
あくまで一般平均なので、
アナライザー確認しながら調整を行って下さい。
ちなみに、第2倍音や第5倍音は
単純に基音へ2倍、5倍して下さい。

ここで、一つテクニックを紹介しておきます。
ボーカルが弱いなぁ~
とか、
この人声量無いなぁ~
とか、
何かしっくり来ない時があります。
そんな時はダブルトラックという手法です。
アコギの時と同じ様にトラックを複製します。
ただ、ダブルトラックの時は片方をズラしたりしません。
そのままです。
すると、同じ波形が増幅するので、
ボーカルが太くなります。
使ってみて下さい。

これで、一通り音質の調整が終わりました。
録音状況楽器によって全然違います
プラグインも付属の物から
各社たくさん出ています。
それぞれ、掛かり方全然違いますので、
数値はあくまで参考にして、
アナライザーとご自身の耳で確認しながら
調整を行って下さい。

ちなみに、オーケストラを作りたい人や
オーケストラ楽器を入れたい人。
ボクも最近知ったのですが、
オーケストラは生音での演奏が目的なので、
各楽器の音マスキングしないよう
周波数をコントロールして作られているそうです。
なので、サンプリング系の音源を使う人は
EQで住み分けみたいな事はしないでいいんですよ!
逆に弄ると変な音になります。
曲調に合った音色に変える程度に
調整すれば上手くいきます。

では、続いてレベル調整に移りましょう。

6-4ミックス ーレベル調整ー

基本的に順番は音質調整の時と同じですね。
まず全フェーダー一番下まで下げて下さい。
上げたままでもいいですが、分かり難いと思います。
あと、サビで調整した方がいいですよ。
Aメロで調整すると
サビでボーカルが弱く感じる時があります。

では、バスドラから調整します。
まず、基準値を作って下さい。
何でもいいです。
ただ、あんまり0dB近過ぎるのも
どうかと思うので、-10dB程度に調整して下さい。
別に-15でも-20でもいいですよ(笑)
取り合えず0dBに近過ぎず遠過ぎずで(笑)
この時、空間系エフェクトも追加しましょう。
ボクの順番はこうです。
■リバーブ(プレート)
■コーラス
■ディレイ(モノラル又はステレオ)
■リバーブ(ホール)

掛け過ぎには注意です。
特にバスドラとベースは薄っすらです。
掛け過ぎると低音がモワモワしますよ。

パンも設定しましょう。
低音は基本的にセンターのままです。
真ん中でどっしりさせた方が
バランスがいいです。

次にベースです。
バスドラより少し小さめです。
耳とフェーダーの隣のメーターで
確認しながら調整
して下さい。
同時にスネアも調整しましょう。
ベースと同じか、ほんの少し強い程度
バスドラと同じか、ほんの少し弱い程度です。

次はボーカルです。
スネアより少し強め
キックより少し弱い程度です。
ベースと同じ位がいいかもしれないですね。
空間系エフェクト
全体を鳴らして分からない程度で、
ソロで聞いて響いている感じにしましょう。
たまにカラオケみたいに
ボーカルのリバーブがワンワンしているのを
聞いた事があるのですが、
あれ、ダサいので辞めた方がいいです(笑)
パンはセンターで大丈夫です。
ボーカル二人以上居る時は
その都度左右10以内で振っても
いいかもしれません。

次はハイハットです。
スネアと同じ位でいいです。
ただ、ハイハット高音なので結構目立ちます。
なので、全体の音を鳴らした時
微調整して下さい。
ボクはミックスする時
いつも演奏している所を想像しながら調整しています。
なので、パンの位置
実際その楽器がありそうな場所に決めています。
ハイハット向かって右側に大体あるので、
R20~30辺りに振っています。

通常、ルームマイクやオーバーヘッドなのですが、
ボクの場合は無いので、
ドラム全体の音を聞きながら、目立ち過ぎず、小さ過ぎず
シンバルの音を調整しています。
勿論、後に全体の音を聞きながら微調整もします。
パンクラッシュR15辺り、ライドL15辺りにしています。

次はタムです。
スネアと同じ位で大丈夫です。

タムやシンバル
ほとんど出て来ないので調整し難いですよね?
そんな時は範囲を指定して
ループをONにしてから
調整したらいいですよ。

すくしょ_074
すくしょ_075

こんな感じです。
タムのパン向かって右から左
Hi→Low→Flr
と並んでいる事が多いと思うので、
順番にR10→L10→L20にしています。
ドラム全体だけを再生してアナライザーの波形
低域と広域が盛り上がり
中域がゆったりと凹んでいる感じになっていれば、
これがドンシャリです。
確認してみて下さい。

次にコード系楽器です。
ボーカルに寄り添う様にして下さい。
パンボーカルを包み込む様に設定したり、
各楽器とぶつからない様に設定しています。

続いてはサブマスタートラック
プラグインを挿入して
全体の一体感を出して行きましょう。
まずはマルチバンドコンプレッサーです。
グルーブ感が出ますね。

すくしょ_076

こんな感じです。
ボクはWAVESのC4を使っています。
で、プリセットのBasic multiです。
色々弄ったりもしましたが、
結局これが一番しっくりきたので、
ずっとこれです(笑)
数値は参考程度にして下さい。

次にEQです。

すくしょ_077

全体的に落ち着かせてます
数値は参考程度にして下さい。

次はVintageWarmer2ですが、
持っていない人は
テープシュミレーターでいいと思います。
ようはアナログ感を出すと言う事ですね。

すくしょ_078

一応貼っておきます。
数値は参考程度にして下さい。

最後にEQです。

すくしょ_079

タイトな感じにして
楽曲全体を引き締めます。
どんなスピーカーで聞いても
同じ感じのバランスになるように
最終的にはニュートラルな感じ
仕上げるのがいいと思います。

最後に全体を再生して
微調整をしながら、
サブマスタートラック音量レベル
-8~-6dB程度にして下さい。
ボクはいつも一番大きい音-6dB位にしています。
これは、何故かと言うと、
マスタリングの際、音圧を上げるのですが、
ある程度余裕が無いと綺麗に
音圧を上げる事が出来ないからです。
皆さん、上げ過ぎには注意して下さいね。

ミックスも佳境に入って来ましたが、
どうですか?
耳が疲れてないですか?
やけにベースがうるさく聞こえたり
ボーカルが聞こえ難かったり、
ハイハットがうるさかったり、
スネアが聞こえ難かったり、
自分がどうしたいのか
分からなくなってきてないですか(笑)?

それは、耳が飽和状態になっているんです。
そんな時はよく聞く他の楽曲聞いて下さい。
それをリファレンスと言います。
新しくトラックを作成して、
普段聞いている楽曲を読み込み、
エフェクトをバイパスにした状態
再生して下さい。
それが目指すMIXですよ。
プロも常にリファレンスCDを持っています。
色んなスタジオや現場に行く人
その場所によって音場が違います。
普段よく聞くCDや好きなCDを再生する事によって
耳をリセットする事が出来ます。
皆さんもいくつかリファレンス楽曲
用意しておくといいと思います。

さぁ、これでミックスは終了です。

さて、いよいよ書き出しです。

6-5 2MIX作成

いよいよ2MIX書き出すのですが、
通常はファイル→書き出し
と言う風に、バウンスで行うと思うのですが、
ボクは違います。
とある方法で2MIXを作成します。
正式名称は知りません(笑)
ボクが見た資料にも
正式名称は知らないって載ってました。
ボクもその説明書に載っていた様に呼んでます。
行って来い
です。
何かと言うと、
新しいステレオトラック
すべてのトラックを録音する
と言うことです。
ただ、これはオーディオインターフェイスの
出力が4つ無いと厳しいです。
出力が2つの人は
大人しくバウンスで2MIXを作成して下さい。
では、出力が4つ以上ある人は
やっていきましょう!
例えば、今現在オーディオインターフェイス
出力1と2モニタースピーカー
繋いでいますよね?
その隣の出力3と4入力1と2に繋げ、
新しいステレオトラック録音します。
それをすると、一度アナログに変換され、
再度、デジタルに変換されます。
まさに『行って来い』です。
これはオーディオインターフェイス
プリアンプを通る事によって、
よりアナログ感のあるリアルなサウンドに近づきます。
ただバウンスするだけとは雲泥の差ですよ。
気を付けないといけないのは
繋いだままにしておくと
Cubaseを終了した時に
とんでもないハウリングを起こします。
スピーカーの故障に繋がるので
注意して下さい。
繋げっぱなしにしときたい人は、
ボリューム調整個別に動かせるように
設定しておいて下さい。

すくしょ_085

こんな感じです。
で、Cubase終了する前
必ず新しく作るStereo Outのボリューム-∞にして下さいね。
ちなみに、ボクは何回も下げ忘れて
耳が潰れる位のハウリング起こしてます(笑)

では、順番にやって行きましょう。

まず、入力と出力を増やします

すくしょ_080
すくしょ_081

ボクの場合、出力3と4は
ヘッドフォンアンプに繋いでいるので
出力5と6入力3と4に繋いでいます。
なのでStereo Out3になっていますが、
気にしないで下さい。
次にサブマスタートラック
出力を今作ったStereo Outにします。

すくしょ_082

次に新しくステレオトラックを作り、
入力を新しく作ったStereo Inにします。

すくしょ_083

ちなみに、トラック名は分かり易かったら何でもいいですよ。
ボクはOK_MIXにしています。
再生しても音が出ないでしょ(笑)?
音量はここで調整します。

すくしょ_084

ここで掛け録りをします。
コンプを緩く掛けて、EQで落ち着かせてます。

すくしょ_086

これはインターフェイス側でやっているので、
アナログに変換された状態で掛けています。
なのでCubase内で掛けていたコンプよりも
掛かり方が少し違いますよ。
より掛かり方が自然です。
もし、お持ちのインターフェイスに
内蔵されていなかったら、
掛けなくても大丈夫です。
AD/DAするだけでも全然違います。
ここで、レベルを-3dB程度に合わせて行きます。
ようは2段掛けと同じです。
マスタリングで一気に-6dBから0dB近くまで
上げるのではなく、
徐々に音圧を上げて行くわけです。
その方がより自然に音圧が上がります
ここでも全体の微調整をしてもいいですよ。
全部確認が終わったら、
あとはRECボタンクリックしたら録音が開始され、
終われば2MIXの出来上がりです。

他にも2MIXをわざと
モノラル2トラックに分けて
マスタリングするという技法もあります。
そう、ずっと言っていますが、
音楽に正解はありません
今回ボクが書いている事は
ボクが毎回やっている事と違う場合もあります。
毎回数値は違いますし、
プラグインを挿入する順番も違う場合があります。
皆さんも試行錯誤しながら
より良い楽曲を作成して下さい。

では長くなりましたが、
これで
『6.ミックス』を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
次回はいよいよマスタリングです。

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