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自分の〈好き〉を見つけ〈得意〉を伸ばす: "ガチ"コードプログラミング ワークショップ「HAQUARIUM ハクアリウム」

2024年8月1日(木)に株式会社明治産業で行われた子ども向け"ガチ"コードプログラミングワークショップである「HAQUARIUM ハクアリウム」のようすをレポートします。


「HAQUARIUM ハクアリウム」とは?

HAQUARIUM ハクアリウム 」は、株式会社明治産業が地域社会への貢献と子どもたちの未来をサポートするために2023年から実施している、小学生を対象としたプログラミングワークショップです。

学生エンジニアに特化したサービスを展開する 株式会社ハックツ と協力して、プログラミングを学ぶ子どもたちに基本的なスキルだけではなく、自分の〈好き〉を見つけ〈得意〉を伸ばすような体験を提供します。

これまで2回開催してきた「ハクアリウム」ですが、去る8月1日にはその第3回目を実施。今回の記事では、子どもたちと一緒に行った「ハクアリウム」のようすと、講師を務められた株式会社ハックツのどりーさん(湯舟 武龍さん)へのインタビューをご紹介していきます。

「HAQUARIUM ハクアリウム」 のようす

参加者は小学生5年生以上の子どもたち。続々と集まってきます
まずは本プログラムの企画者である(株)パララボ 大仁田英貴さんよりご挨拶
続いて講師を務める (株)ハックツの「どりーさん」こと湯舟武龍さんがご登場
今日のワークショップで使っていくプログラミング言語「Swift」の説明から始まります
参加者は「プログラミングを専門に学んでいる特別な子」というわけではなく…
学校の授業や、自身の興味から
プログラミングに触れた「ことがある」レベルの子がほとんどです
それでも、見てくださいこの眼差し。
彼らはここからの5時間でどのような学びを得るのでしょう
ということで、約5時間のワークショップのスタートです!
アプリケーション上で、コードを入力してみては、その挙動を確認していきます。
少しずつ進めていく子。迷いなく手を動かしていく子。一人一人に進め方があります。
分からないことや難しいところがあったら、お兄さんたちがサポートしてくれます。
この講座の特徴は、子どもから求められない限り、大人は余計な手出しをしないところ。
まずは、先に進めなくなるところまで自分で考えて、正しいと思う方へ進んでみる。
そうすると、大人の手を借りなくても自分でも驚くくらい遠くまで進めたりします。
なかには、お題よりずっと先の内容にまで挑戦し始める子も。それも良し。
まずは夢中に手を動かしてみることが、このワークショップのポイントです。
そんななかで、困ったり、自分の成果を見せたくなったりしたら、大人に声をかける。
この感じ、なんか良いですよね。
あっという間に1時間が過ぎてお昼ご飯タイム。用意されたお弁当をもらったら…
みんなで美味しく、いただきます!
楽しそうで何より!
なかには、お兄さんたちと一緒にお昼を食べる子も。
お昼が済んだら、午後の部が再スタート!
ワークが進むにつれて、お兄さんたちの指導内容もどんどん本格的に。
大人の想像力を軽やかに超えていく子どもたちの力。本当に頼もしいです。
今回、この活動を紹介するラジオCM制作のために
参加してくれた数名にはインタビューも行いました。
出来ることなら皆のコメントをノーカットで使いたいくらい、どれも素敵なコメントでした。
ちょっと緊張しながらも、答え始めると、みんな丁寧に言葉を紡いでくれます。
彼らが「できること」の上限は、大人が思っているよりずっと高いところにある。
どうかこの子たちがみんな、願った通りの挑戦が出来る社会になれば。
このラジオCMは、LOVE FM「OUR CULTURE, OUR VIEW」10月6日放送回からオンエアです。
ワークショップも終盤になると、子ども同士の会話も生まれてリラックスムードです。
15時にはおやつをパクリ!(かわいい写真。笑)
場の雰囲気も、段々と「大人と子ども」ではなく
「プログラミングが好きなヤツ同士」になっていく。ここがポイントです。
参加してくれた子どもたちの記念写真も、少しだけ。
皆、この5時間で新しい「できること」が増えました。
全員分の写真を撮りきれなかったのが心残り!
またきっと遊びにきてね。
そうして皆で迎える閉会式。
この日 子どもたちが挑戦した内容について「皆は今日、実は高専一年目の前期試験でやるようなところまでをたった5時間でやり切ったんだよ」と衝撃の事実が告げられます(!)
最後は、ひとりひとりが今回のワークショップ参加への感想を発表していきます。
心なしか開始前の表情よりも頼もしく見えます。
今日はじめて挑戦してみたことや、夢中になれた手応えが、何かひとつでもあったなら。
ここで得た体験が、いつか一人ひとりのの背中を押す原体験になればと願う一同でした。
ということで、皆さん長時間のワークショップ、本当におつかれさまでした!

どりーさん(湯舟武龍さん)へのインタビュー

そしてここからは、ワークショップを終了した直後のどりーさん(湯舟武龍さん、株式会社ハックツCEO)へ行ったインタビューのようすをお届けします。

——本日はお疲れ様でした。今回が3回目のハクアリウムということですが、ここまで回数を重ねてこられたことでの手応えはありますか?

どりーさん 参加者のみんなが「もっと家でもプログラミングをやりたい!」から「そのためのiPadが欲しい!」まで、親御さんへ色々求めてしまうくらいに高まってくれているようで(笑)、それはまずとっても嬉しいことだなと思っています。

だけど何より嬉しいのは、これまで参加してくれた子たちの感想が「難しかったけど楽しかった」だったことです。プログラミングの世界は、本当にこの「難しいけど楽しい」に尽きる。プログラミングって、やっぱ基本的にはめちゃめちゃ苦しいんですよ。だけどその「苦しいけど楽しい」こそが一番成長を感じられるところだし、参加してくれた皆もそう思えるところまでちゃんと頑張ってくれたんだ、ということが何よりの手応えです。

これまで3回の開催にも繰り返し参加してくれる子もいて、はじめは小学6年生だった子たちが中学に上がっても参加してくれていたり。彼らが「中学校に入ったらプログラミングのサークルを作りたいんですよ!」なんて言ってくれるんです。そんなのもう、嬉しいに決まってるじゃないですか。皆の成長と、その輪が広がっていってること。毎回、嬉しさを感じながらやっています。

——そんな どりーさんは普段、どのようなお仕事をされているのでしょうか?

どりーさん 自分が代表を務める 株式会社ハックツ としては、プログラミングや開発の業務はもちろんですが、一番は大学生や高専生をメインのターゲットとした「ハッカソン」と呼ばれる、宿泊型の開発合宿イベントをやっています。1泊2日や2泊3日という限られた期間で、アプリやウェブをひとつ完成させるところまでやってみる。そこで大切にしているのは「好きな技術を使って、好きなものをつくる」ということです。

——作るもののお題を決めておくのではなく、あくまで「好きなものをつくる」なんですね。

どりーさん そうですね。一応テーマを設ける場合もあるんですが、みんなそこは大体聞いてくれないというか(笑)。僕らも、必ずしもテーマに沿ったものを作らなくても良いと言っています。その場で皆に注力してほしいのは、「自分たちが好きな技術や、面白そうだと思った新しい技術を、どんなふざけたことに使えるか」ということ。やっぱりまずは技術を試してみたい、その技術を使うこと自体が楽しい、というところから考えてみて欲しい。だから、先に明確に作りたいものを設定するよりは「この技術を使ってみるために、まず何かを作ってみる」ことなんです。何の役に立つかは置いといて、手を突き出すと波動拳が出るアプリを作ってみたりとか(笑)。

——明治産業の社長もよく「仕事と遊びの垣根はない」と仰っていますが、遊びから生まれたものが、気付くとすごいところまでいっちゃってる、みたいなことってありますよね。

どりーさん そうですね。それに大人になってからは なかなか「遊び」もしづらくなってくるので、学生たちにはまず「遊ぼうぜ」と言い続けています。

——今回、ワークショップで子どもたちが挑戦していた内容も、実はなかなかレベルの高いものだったと仰っていましたね。

どりーさん 今回、初参加の子たちもいましたが、彼らにここで触れてもらった技術は、プログラミングの授業があるような高校で、1年生が最初の基礎として学ぶものから前期の試験に出るようなところまでを、今日1日だけでいっぺんに全部やってしまった、という感じです。

——すごいですね。でも、このワークショップでは、そのように難しいプログラミングも、手取り足取り子供たちに教え込むような進め方はされていませんでした。

どりーさん
 もともと、第1回目のハクアリウムでは丁寧に教えてみたんですよ。まずは自分が前で順番通りにやってみるから、皆も一緒に進めてみて、と。だけど一緒にやってくれる子はゼロ(笑)。気がついたら皆どんどん先に行ってたんです。だからもう、わざわざゆっくり教えてあげる必要は無いんだな、と思いました。

そもそも自分が「ゆっくり教えてあげる」ってこと自体が、やっぱり小学生のことをナメていたのかも?とも思いました。「小学生ならこれぐらいしか出来ないでしょ?」みたいな扱い方は、自分もしたくないと思って。それならもう、自由に先に進ませてあげて、どうしてもわからない時にだけ僕らが手を差し伸べていけば良いんだな、と思いました。

——今後、こうした活動も含め、どりーさんはどんなビジョンを実現したいですか?

どりーさん 「どこに生まれても、正しいプログラミング教育が受けられる環境をつくる」ことを目標にしています。例えばどこかの島や田舎に生まれても、あるいはそれが都会だったとしても、みんなが同じように勉強できるチャンスがあるという状態。そこから成長するかどうかは、こっちが教えることというよりは、彼らがその環境をどう活かすかということだと思います。だけどまずは、その条件を平等にしたうえで弱肉強食を始められたらと思っています。

そのためにも、まずは日本47都道府県にしっかりその状況を広げていくことが目標になるので、今進めている九州から、最近は沖縄や京都などにも行かせてもらっています。そうやってどんどん地方に広げていきつつ、今回のワークショップ然り、プログラミングを勉強できる機会をどんどんローカルへと進めていけたらなと思っています。

——最後に。これはさっきまで参加者の子どもたちにもラジオCM用にお聞きしたことなのですが、どりーさんにもお尋ねしてみたいと思います。
「あなたにとって、プログラミングとはなんでしょうか?」


どりーさん わ、難しいな。なんだろう…。

僕にとってプログラミングは、「ソウル」ですね。魂。剥がそうと思っても剥がせないもの。どれだけ苦しくても楽しくても、面白くなくても面白くても、「そこにある」もの。

それに、僕はこうやって集まってくれる皆のことを、同じプログラミングが好き同士のソウルメイトだと思っていて。僕はプログラミングを好きな人が、めちゃくちゃ大好きなんです(笑)。そういう彼らと自分をソウルメイトとして繋げてくれるものという意味でも、僕にとってのプログラミングはやっぱり「ソウル」なのかなって思います。

——本当にどりーさんは、プログラミングとそれで繋がる仲間たちが大好きなんですね。素敵な回答をありがとうございました。今後の活動も期待しています!

どりーさん どうもありがとうございました。


PHOTO:橘ちひろ
TEXT:三好剛平(三声舎)

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