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サハリンからウクライナに軍内犯罪の容疑者軍人が派遣?

 (タイトル画像は、後述の画像を補正したものです)

お久しぶりです。
ウクライナ侵攻の影響がサハリンでも出始めました。

今回はこの内、サハリン部隊のウクライナ派遣報道について考察したいと思います。

本文を紹介する前に、報道の特性を列挙します。
・検察の下部機関で軍内犯罪の捜査を担当する軍捜査部が、今回、兵員の派遣業務を行っている
・州や部隊の高官、家族、軍楽隊等の出席する壮行式典が実施されておらず、地味
 ・航空機での移動
 ・派遣される兵員に対し、ウクライナ寄りの情報がフェイクであることを徹底
志願による派遣であることが強調

これらの特性から、それぞれ以下の可能性が考えられると思います。
軍内犯罪に関係する兵員(裁判前のいわゆる容疑者)が派遣対象
・派遣に関する州民の支持が非積極的
・兵員のみの派遣
・派遣先での情報に動揺しやすい人物をわざわざ派遣している

また、志願による派遣が強調されていますが、紛争地域派遣が禁じられている徴集兵と異なり、基本的に契約勤務兵の同地域派遣に志願・忌避の権利はありません。従って、派遣志願を強調するのは不自然な感じがします。

では、本文です。4月13日の「オルタナティブ・サハリンTV」の引用です。

В Южно-Сахалинске проводили военнослужащих, уезжающих в районы боевых действийКолонна участников акции растянулась на 1,5 километра
ユジノサハリンスクを戦闘地域へ向かう軍人達が通過参加者の車列は1.5㎞に及んだ

Офицеры 318 военного следственного отдела, представители одной из воинских частей Сахалинской области и жителиЮжно-Сахалинска сопроводили военную колонну с военнослужащими, которые убывали для участия в специальной военной операции по демилитаризации и денацификации Украины.
第318軍捜査部の士官、サハリン州の某部隊の代表及びユジノサハリンスク住民達は、ウクライナの非武装化と非ナチ化のための特殊軍事作戦参加に向かう軍人を乗せた車列に随伴した。
Как сообщает пресс-служба ВСУ СК РФ по ВВО, чтобы поддержать тех, кто добровольно едет в районы боевых действий, и выразить им глубокое уважение, сотрудники военного следственного отдела на личныхи служебных автомобилях разместили знаки "Z". Колонна с российскими флагами растянулась на 1,5 км, проехала по Южно-Сахалинску до аэродрома.
東部軍管区担当捜査委員会軍捜査部報道局は、戦闘地域へ志願して向かう軍人を支援し、彼等に深い敬意を表明するため、同部職員の私有車両と公用車に「Z」マークが付けられた。国旗を掲げた車列は、1.5㎞に及び、ユジノサハリンスクを通過し空港へ向かった。
Следователи перед отправлением рассказали командному составу убывающих военнослужащих о правовых особенностях участия в специальной военной операции, ответили на интересующие вопросы.
捜査員達は、派遣前、指揮スタッフに特殊軍事作戦参加の法的特性について話し、彼等の関心ある問題に回答した。
Офицерам, прапорщикам, сержантам пожелали критически относится к "фейкам", распространяемым в социальных сетях. На конкретных примерах показали недостоверность информации в интернете о специальной операции.
士官、准尉、下士官達には、ソーシャルネットで拡散されている「フェイク」に批判的な態度をとることが望まれた。具体例によって、インターネット内の特殊作戦に関する情報のリアリティの無さが示された。

https://astv.ru/news/society/2022-04-13-v-yuzhno-sahalinske-provodili-voennosluzhashih-uezzhayushih-v-rajony-boevyh-dejstvij
車列の様子
軍捜査部の車両、タイトル画像です。これどう見ても護送車?

ロシアの検察機関は、公訴機能が強い日本と異なり、捜査機能、つまり警察権が非常に強く作られています。その検察機関の中で軍内犯罪を捜査するのが軍捜査部です。

今回の考察の結論は、少し強引かもしれません。

結論は、軍捜査部が軍内犯罪容疑者の起訴、つまり被疑者を被告人にする手続きを見送る代わりにウクライナに派遣している可能性があるというものです。

ウクライナでの軍事作戦中のロシア兵士が虐殺や略奪を行っているのは、この様な背景があるとすれば、腑に落ちます。第二次大戦時に有ったと言われる「囚人部隊」とその背後に配置された「督戦隊」を、当時の前線ではなく、占領地の掃討作戦辺りに投入しているのかもしれません。
悪名高いチェチェンのカディロフの部隊も、元を正せば、その様に部隊ですし。

最近、ロシア軍がウクライナの占領地で現地の市民を兵員として募っているという情報も有りますが、それも同じような構図(逮捕の見返りの戦闘参加)になっているのかもしれません。

今回はこれで終りです。分析と言うより、思い付きに近い話でした。

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