オーストラリアの田舎町、イニスフェールの🍌ファーム
ファーム仕事(内仕事)の一日の流れ
5:25 起床
5:55 出発(車で出勤)
6:15 現場到着
6:30 仕事開始
10:00-10:20 休憩
13:00-13:30 休憩(昼休み)
16:30 作業終了
16:50 帰宅
(買い物や洗濯などを済ませる)
18:00 夕食の準備(気力があれば)
18:45 夕食
(雑談、リラックス、明日の準備)
22:00 就寝
基本的にファーム仕事の朝は早いです。遅くとも5:30には起きないと間に合いませんが、温暖な気候なので寒くて布団から出られないということはほとんどありません。また同業者のほとんどが夕方以降はゆっくりできるのでこの働き方のほうがいいと言っていました。最初はなかなか慣れないですが、1週間もこの生活をしてみると案外暮らしやすいと感じます。
住んでいたシェアハウスから職場までは車で約15分程度でしたが、他のハウスに住んでいる仲間をピックアップしなければならないため少し早めに出かける必要がありました。お昼ご飯は弁当であるので、前日の夕食の残りを弁当に詰めたり、朝の間に簡単なサンドイッチなどを作っておいたり、インスタント食品を持っていったりする必要がありました。
仕事の種類
バナナの木になっているバナナを切り落とすところから製品として箱に詰めるまでの流れ作業の一つ一つが仕事の内容と直結しています。主要な作業には名前が付けられていて、体格や性別からそのどれかに仕事が割り振られます。工程は以下のとおりです。
―外仕事―
① バナナの木か切り落とす
② 運んでトラックに積む(ハンピング)
③ 倒れないように固定
(シェッドと呼ばれる工場まで運ぶ)
―内仕事―
④ 器械に吊るしてカットしやすいように固定する(ハンギング)→
⑤ 大きい束からカットする(ディハンディング)
(水のたまったプールにバナナを入れてコンベアのようにして作業する
ため以下は工場でのライン作業となる)
⑥ 市販されているサイズにまでカットする(カッティング)
⑦ 見た目やキズのあるバナナを選別する(ソーティング)
⑧ 箱詰めする(パッキング)
イニスフェールはオーストラリアの北東部に位置する町で、年中半袖半パンで暮らせるほど温暖な気候です。夏には40度を超え、バナナファームは湿気と虫による二重苦、かつ1束60kg程度もあるバナナの房を運ばなければならないため②のハンピングをはじめとする外仕事は主に男性が担当します。シェッド内で仕事は、⑤のディハンディングは束からバナナを切り落とすためある程度の力が必要なので男性が、その他の作業は女性が担当することが多いです。良くファームと聞いてイメージするような日に焼けて、運動部のノリを彷彿とさせるのは外仕事担当になった人たちです。外仕事の人たちは決まって、最初の一週間はヘトヘトになりながらこなしていますが、日が経つにつれて徐々に日に焼けて黒く、筋肉がついてムキムキになっていくのが特徴でした。私は⑦のソーティングの仕事をしていました。一日合計で9時間以上立ちっぱなしでひたすらバナナをみてキズや汚れがあったらちぎってゴミ箱へとつながるコンベアへと乗せるという作業を行っていました。あまりのルーティンジョブに働いた5ヶ月の間に人生の振り返りや反省を合計で3回ほど繰り返し、それでも時間が余っていたのでついには悟りの領域まで達していたのではないかと思えるほどでした。救いだったのはうちのファームでは作業中にでもラジオが流れていて音楽やDJの話を聞いて過ごせていられるという点でした。他のファームでは、1日に1度は怒鳴り散らすスタッフがいて劣悪で殺伐としたところもあったのでここでも幸運に恵まれました。
職場の設備
工場内には冷蔵庫、お湯、冷水器、バナナのプールには水が溜まっているため長靴をかけておくところなどがありました。冷蔵庫やお湯は便利で、デザートを持ち込む人やインスタントのヌードルやスープを持ち込む人もいました。工場をでたところには男女別のお手洗いがあり、近くには野生のワラビーや体長2メートルほどの蛇が出没することもありました。
仕事のメンバー
私は人数の関係からなのか、なぜか男性でありながら内仕事である⑦ソーティングの仕事を任されていました。卒業する人やクビになる人、ファームを変える人、助っ人として手伝いにくる人もいたので一概には言えませんが最も長い期間ともにした固定メンバーは日本人男性1名、女性3名、フランス人女性3名、韓国人女性2名の計9名でした。ハウスから職場までは徒歩で行ける距離ではかったので車での移動することが必要でした。また、同じ職場へ行くというわけではなかったので車を持っていないメンバーのピックアップをしなければなりませんでした。しかし、最も大きな問題であったのはファームが必要としている人員が8名なのに対し、9名もの人がいたことでした。そのため必ず毎日一人は欠勤にならざる負えない環境になっていて、派遣主からday off (休日の意味) の知らせがくるたびに争いが起こっていまた。なぜならファーム来る人の目的のほとんどは一刻も早くセカンドビザ取得の労働日数(88日以上)を稼ぎたい人か少しでも多くのお金を稼ぎたい人のどちらかで、彼女たちにとって休日は不必要なものだったからです。また派遣主は韓国人であるので韓国人や発信力の大きいフランス人を優遇する傾向にあったため日本人勢の不満は大きいもので、毎週のように何らかの交渉の連絡をしていました。さらに私のみが男性でほかは外国人を含めて全員女性という状況、なかなか大変でしたがなかなかできない面白い経験でした。
ファームで英語のスキルは必要か?
毎日の作業で英語が必要になることはないと思います。実際にファームで働いている人の中には時間と曜日がようやく話せるほどの英語力の人もいたくらいです。稀に変更があるため次の日の仕事の開始時間と人数をファームのオーナーに聞いていましたが、それもドライバー(私)がメンバー全員に知らせていませた。ただ外国人と会話をして楽しみたいときや話したいことがあるときは必要になってくるので学んでおいて損なことはひとつもないことは事実です。現にハウスでは定期的にファームを卒業する人のための卒業パーティや誰かの誕生日パーティなどほとんど毎週末、どこかで何かしらのパーティが開かれているので英語を話せたほうが大いに盛り上がれることは間違いないです。特に好きな映画や母国語、食べものの話などは盛り上がります。
ファームの給料
参考として私が実際に経験した7月の第1週目のペイスリップ(給与明細)を転記しておきます。オーストラリアの7月は冬に当たり、バナナの旬の時期ではないためこの週の仕事の日数は4日でした。一日労働時間は通常は休憩を含めて10時間程度ですが、週の最終日はバナナの収穫量によって変動し、7、8時間であったり、時には午前中の作業で終了することもありました。逆に夏の繁忙期には週6日になるファームもあり、それに応じて労働時間も長くなるといった具合です。
労働時間: 33.75時間
時給: 24.46AUD (1800円程度)
給与総額: +822.15 AUD (62000円程度)
従業員の家賃: ー195.00 AUD (15000円程度)
税金: ー123 .00AUD
Superannuation: +78.10 AUD(給与とは別に付与される)
(退職金制度のための積み立て金)
――――――――――――――――――――――――――――――――
給与: +504.15 (38000円程度)
オーストラリアの最低賃金は日本の2倍程度あるため稼ぐには良い環境であると言えます。冬の時期であっても週に4万円弱ほどの給与はもらえるので生活していく分には問題なく暮らしていくことが可能です。他に遊べようなところもほとんどないので普通に過ごしていれば貯蓄は増えていきます。
給与に関して覚えておくべき2つのこと
Tax Return(税金過払いの払い戻し)
給与総額から一定の基準で税金が支払われますが、払いすぎた税金は申告することによって戻ってくることがあります。(厳密にいえば不足があれば余分に払わなければなりませんが収入から天引きされている場合は戻ってくることが多いと思います。)今はどうなっているかはわかりませんが、当時は仕事での必要経費は控除の対象となっていたので私の場合は約3ヶ月間で120AUD程度の税金が戻ってきました。税金の申告の方法は、税理士の方にお願いしてもらか、Web上で自己申告するかですが、前者のほうが確実ではありますが手数料がいくらかかるため、私は学習もかねてATO(オーストラリア税務局)のホームページから自己申告しました。日本語で翻訳されているページもあるようなので英語に不安のある方はそちらのページを使ってもよいかもしれません。またタックスリターンには申請の時期があるためしっかりと最新ATOのページなどから情報収集するようにしましょう。
Superannuation(退職金制度)
オーストラリアでは給与とは別に退職金の代わりとしてスーパーアニュエーションという積立金を雇用主が積み立ててくれます。基本的には退職金であるので「これでオーストラリアで働くのが最後」となったタイミングで申請をして受け取るというものです。職場を変えたり、一度国を離れてまた戻ったきたときでも継続して積み立てられるので申請のタイミングには注意が必要です。私は下のような封筒に入った形で受け取りました。今後オーストラリアで働く可能性がゼロではないのでしっかりと保管しています。
5か月間ファームで働いてみた感想
セカンドビザ取得のためには実質3ヶ月ほどの滞在でよかったのですが、契約上(暗黙の了解のようなもの)5ヶ月間イニスフェールという町でファームジョブをしていました。本当に小さな町なので5ヶ月もいるとその町のほとんどのことが分かり、何度も、初めて訪れた人に案内をするという経験をしました。いつも決まったメンバーというわけではなく常に出会いと別れが交差し一期一会という言葉がしっくりとくる環境でありました。出会う人たちも(ワーホリビザは30歳までであるので)”若い”という部分では共通しているものの、高校を卒業してすぐにくるもの、大学を卒業してくるのもの、社会人経験を積んでくるもの、夫婦で来るものなどさまざまなステージの様々な国の人たちが小さな町で一堂に会しているのはなかなか面白い光景でありました。コミュニケーションをとるような仕事ではないので英語のスキルは自由な時間に英語学習をしているときしか身についてはいませんが、無心になってこれまでのこと、これからのことを考えながら没頭できたのはそのときの自分にとって何か意味があるものであったように思います。
(下の写真は会うたびになぜか独特のイントネーションでフルネームで呼んでくるファームオーナーとのツーショット)
それではまた明日!
今日の一言:
ちょっと気合が入りすぎてしまいました。