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High Jumpの読書記録~向日葵の咲かない夏~(ネタバレあり)

High Jumpの読書記録のコーナー!!

第2回は......

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道尾秀介さんの「向日葵の咲かない夏」です!!!

ずっと前から読んでみたかった1冊なのですが、ついに読了することが出来ました。きっかけは自分が尊敬している人の一人である、Youtuberのヨビノリのたくみさんが「一番好きな本」と紹介している動画を見て、そういえば読んでないなぁと思い、読んでみました。

道尾秀介さんは、とても有名な作家さんですが、実は「いけない」という作品しか読んだことはありません。それは"絵"を使ったミステリー小説だったんですが、当時の自分がミステリーに慣れてなかったのか、"絵"を使ったトリックには全然気づくことが出来なくて、読後に考察記事を読んで、そうゆうことだったのか、と思った記憶があります。

なので、"道尾秀介マニア"ではないですが、今回、読後、嫌な気持ちになる、「これぞ、イヤミス!」という本作を勝手ながら感想を含め紹介させていただきます。

まずは、簡単なあらすじを紹介します。

主人公は小学4年生のミチオくん、次の日から夏休みという終業式の日に、友達であるSくんが学校を休みます。担任の先生にプリント等を休んだS君の家に届けるように頼まれ、放課後、S君の家に向かいます。S君の家に着いたミチオ君。チャイムを鳴らしても返事がありません。不思議に思ってドアノブを引くと鍵はかかっておらず、おそるおそる中に入っていくとそこには....首を吊って死んでいるS君の姿がありました。気が動転して学校に戻り、先生にそのことを報告し警察と見に行ってもらうと、そのときS君の家から、なぜかSくんの死体がなくなっていたのです。それからしばらくして、ミチオ君は蜘蛛になったSくんと再会するんですが、そのとき、Sくんはミチオ君に対して「僕は、殺されたんだ」と話します。一体どういうことなのか。その謎をミチオ君とSくん、そしてミチオ君の妹であるミカちゃんの3人で解き明かしていく物語です。

これだけきくと、小学生の冒険心をくすぐる謎解きミステリーなんじゃないかと思うかもしれないんですが、これがまたとんでもない話なんです(笑)簡単に言ってしまえばいわゆる「夢オチ」と似たような物だと思うんですが、そんな簡単な一言で片付けられないし、片付けたくない。後半になるにつれてどんどんと謎が解き明かされていき、先が気になるんだけど、もっとやばかったらどうしよう、という二つの矛盾する気持ちがぶつかり合う、そんな作品です。ただ終盤は物語が急展開を迎え、少しついて行けなくなる部分がありました(汗)ただ、そんな点を含め、読了した人と考察したくなるような、そんな作品でした。

物語の進行自体は、さすが道尾先生となるようなもので、なにより伏線回収の自然っぷりが圧巻でした。こんなこと気づかないよ、と思うほど些細なものでも、これは絶対伏線だなと思うこともなく、あぁ!ここに繋がるのか!と素直に感心して楽しめます。ただ、妹のミカの言動には最初から違和感はありましたね。3歳とあるのに3歳の物言いじゃなかったですもん。だってカブトガニとか知ってるんですよ。ありえますか(笑)自分はアルバイトのスイミングスクールで2~3歳のクラスを持ってますが、絶対にありえないですね(笑)

ここからは個人的に印象に残った場面2つを紹介します。

1つ目。今回は1度死んでしまったSくんが蜘蛛として生まれ変わり、ミチオ君の前に現れるのですが、作中にこんな記述がありました。
(以下作中より抜粋)

「――人は、死ぬと身体から魂が抜け出て、その魂はこの世とあの世の間でうろうろ迷うんだ。その迷っている期間のことを、何だ・・・・・・中有って呼ぶらしい。つまり魂が、あの世とこの世の間にあるわけだ」
(中略)
「中有の状態にある魂には、七日ごとに、生まれ変わるチャンスがめぐってくる。最初の七日目で駄目だったら、つぎの七日目、それでも駄目だったら、またつぎの七日目、ってな」
「へえ、1週間ごとなんだ」
「そう、1週間ごと。それぞれのチャンスで生まれ変わる人もいれば、そうでない人もいる」
「じゃあ、ずっと生まれ変わらない人もいるの?」
「いや。何回目に生まれ変わるのかは、人によって違うんだけど、それでも七かける七――つまり四十九日目には、必ず何かに生まれ変わることが出来るんだと。まあ、宗派によって考え方は違うんだろうけどな」

これを読んだときに、小さい頃からの謎が解決したんですよね。というのも自分のおばあちゃんの家が田舎で、お年寄りが多かったので亡くなる方も多くて、昔から何回もお葬式に出てたんですよ。
(なんかの話題でお葬式が出た際に友人が「俺葬式とか1回も経験したことない」って言ってて衝撃を受けたことがあります(笑))
で、お葬式の後、初七日から四十九日まで、毎週お参りがあるんですけど、なんで四十九日までなのかと小さい頃の自分が、疑問に思って母親に聞いたら母親が、
「四十九日までは、魂があの世に行かずに、まだこの世をさまよっているんだよ」
といわれたんですが、自分の中では死んだ人は、すぐにあの世に行くと思っていたので、なんのためにこの世をさまようのかということに関しては疑問が残ったままだったんですが、20年越しに腑に落ちました。生まれ変わりを探していたんですね。

もうひとつ、これは本作を読み進めていく上で一番印象に残った一節があるので、それを紹介します。(以下作中より抜粋)

何かをずっと憶えておくというのは、大変なことだ。しかし、何かをわざと忘れることに比べると、大したことはない。

不思議ですよね。勉強などで暗記したいことを覚えるときと言うのは、すぐに忘れちゃったりして大変ですけど、嫌なこと、忘れたいことを意図的に忘れるというのはそれよりも遙かに大変です。忘れようとすればするほど、脳内に残りますから。嫌なことを記憶から意図的に消すには、どうしたら良いんですかね。良い方法を発見した人がいたら教えてください(笑)

とまあこんな感じで、さすが名作といわれるだけの作品でした。読んだことある人と熱く語り合える日が来るのを待ちわびて、終わりにしようかなと思います。まだ未読の方は是非!
ではまた次回~バイバーイ

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