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【サッカー考察編③】選手に求められるゲームモデルの理解と、試合での対応力と柔軟性。

皆さんこんにちは。西田です。

今回の記事では、「選手に求められるゲームモデルの理解と、試合での対応力と柔軟性。」について思っていることを書いてみようと思っています!

前回は、サッカー考察論①としてこのようなことを書かせていただきました。まだ読んでいない方はこちらの記事もぜひ読んでみてください!




【ゲームモデルの定義】


最近では日本でも様々なサッカーに関する情報や、多くの資料、考えを見たり、知る機会が増えてきたのではないかと思います。それらの中に「ゲームモデル」もその一つですが、欧州ではかなり前からこのような考えはその国のサッカー文化として体系化されてきました。
オランダの強豪アヤックス では既に1990年代あたりから1-3-4-3をベースにした、アヤックス のゲームモデルが確立されていました。各ポジションの選手の役割、どのようなプレーが必要か、チームとしてどのように攻撃し守備をするのかなど、、、そのようなことが書いてある論文を添付しておくので、興味がある方は読んでみてください。


では、今話に出てきた「ゲームモデル」について皆さんはどのように理解しているでしょうか?

ゲームモデルとは「そのチームの監督が目指すサッカー」などというように捉えている方もいるのではないかと思います。
しかし、想像してみてください。例えば、もし監督が「マンチェスター・シティのようなサッカーがしたい!」と思ったとして、果たしてシティのようなサッカーを自分が抱えているチームで実現することは可能でしょうか?

残念ながらそれは不可能です。それだけではゲームモデルを作ることはできませんし、むしろそれをもとにゲームモデルは作るべきではありません。ゲームモデルとは監督の目指すサッカーももちろん大切ですが、実際にプレーを判断して実行するのはそのチームに所属する選手たちですし、選手一人一人特徴や個性があります。(スピードに乗ったドリブルが得意な選手、周りをよく見てパスを出せる選手、対人が得意な選手、背の大きな選手、ロングボールが得意な選手など、、、)

では、私がバルセロナの指導者学校で学んだゲームモデルついて紹介してみたいと思います。そこでは、ゲームモデルは以下のように定義されていました。


サッカーチームおいて戦術的な仕事を展開するための主に重要になるものは、ゲームモデルです。チームがより明確なアイデンティティを持つためには、チームが達成したいこと、つまり「理想・志」を知り、それを達成するためには何をすべきか、何を果たすべきかを知る必要があります。そのためには、チームのコーチによるゲームモデルの作成が不可欠です。
そして、それを左右する要素は以下の通りです。

- コーチのゲームに対する考え方。
- クラブの文化的、構造的、経済的、そして人間的な特徴。
- チームのプレーヤーの能力や特性。


このようにコーチは、自らの構想から出発して、プレーフィールド上での選手のポジション装置(プレーシステム)、攻撃的なゲームモデル、守備的なゲームモデルを採用します。これには、プレーの手順やパターン、戦術的なスキームのほか、戦術的指導の原則、ゲームの状況を解決するための態度、決定、行動の再調整などが含まれます。
この発想は、チームのプレーヤーの能力や特性を即座に考慮したものでなければならない。これが、個人の可能性とチーム全体の可能性を最大限に引き出す唯一の方法なのです。


このように「ゲームモデル」とはその国、文化、選手、ホームグランド、サッカー環境など、監督一人の考えにみならず、そのチームの内的要因、外的要因など様々なことを考慮したうえで、そのチームにとっての最適なモデルを構築することが大切だと考えています。




【相手の戦い方への対応力と柔軟性】


ここからは、実際に試合の中で監督や指導者が行わなければならない「相手への対応」について書いてみたいと思います。

サッカーには数多くのフォーメーションが存在します。
それは、どのように組み合わせるのか、最終ラインは何枚にするのかなどなど、先ほど述べたゲームモデルに基づくものであったり、選手の個性や特徴などを考えてフォーメーションは組まれることが多いと思います。
それは相手チームでも同じことで、彼らは彼らのフォーメーションを組んで試合に臨んできます。

もちろん試合に向けて、対戦相手の過去の試合等から相手チームのフォーメーションや戦い方などをチェックして、分析はするものの、いざ試合になってみると、相手が分析した戦い方とは違うやり方をしてきたり、フォーメーションによる明らかなミスマッチ(例えば、相手の中盤が3枚なのに対し、自分たちの中盤が2枚によって生じる数的不利など)などが起きることもあります。

そこで監督に求められるのが、相手の戦い方を分析し、自分たちが有利に試合を進められるようにするための対応力とそれを可能にする柔軟性です。

具体的には、選手交代やポジション移動、そしてシステム変更などが思い浮かびます。しかし、ここで最も重要なのが、自分たちにとってその変更が有利に働くものであるということです。

つまり、このような試合中の変更が決して「即興で監督が考えたもの」ではなく、「チームとして予め準備していたプランの一つ」であって、選手がしっかりと対応の仕方を理解していることが重要なのです。

その変化によって選手が混乱して、余計に苦しい展開になってしまっては何の意味もありません。

その為にも、普段の練習から様々シチュエーションや相手の戦い方を想定したトレーニングを行なっておく必要があります。

選手には「相手がどのように戦っているのか」「それに対してどのようにすれば自分たちはもっと思い通りにサッカーができるのか」などを試合中に考えることができるぐらいの余裕さと、対応力、そして柔軟性を身につけさせることが必要だと感じています。

自分たちのスタイルはこれだからと意固地になって、90分ずっと不利な状況のまま苦しく戦い続けることは、「勝てる」可能性を自ら遠ざけていることと同じことではないでしょうか?




【まとめ】

今回は「ゲームモデル」の定義と、「相手の戦い方への対応力と柔軟性」とい2つのテーマで書かせていただきました。

この2つこそ、試合で勝利する為には非常に重要なことであると感じています。

私が思う「強いチーム」は、この2つのことを全選手が理解し実行できる、自分たちのやりたいサッカーを表現しどんな相手にも対応できる、そして、彼らが自分自身で考えてプレーすることができるチームのことを指すのではないかと思います。

そして、それをできるように導くことこそが私たちの指導者の仕事だと思っています。




最後まで読んで頂きありがとうございました!
それではまた次回の記事でお会いしましょう!
Hasta luego!





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