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相手のチェックレイズ頻度をいじる愚行


はじめに

本記事では「相手のチェックレイズ頻度が均衡戦略よりも低い場合、小さいベットが有効」と覚えている方に対しての記事です。そんなニッチな方は少ないと思いますがエンタメな記事となっているのでぜひ読んで下さい。

一般的に全レンジCBが許容されるボードとシチュエーションが存在します。例えば、UTGからオープンし、BBがコールしたSRPでしょう。

Kハイボードでは多くの方が脳死で25-33%の Continuation Bet(CB)を行うのではないでしょうか。KQ5レインボーボードを例にして見てみましょう。(本記事ではNL50,2.5x Genearalを使用しています)

KQ5レインボー


UTGの戦略を見てみましょう。

UTG戦略

UTGはレンジ全体でベット33%が許容され、一部のレンジでベット50%を行います。実際、一部のチェックはエラーであり、ベット33%以上のアクションが求められます。これら2つのサイズが使われる理由を探ってみましょう。

UTGの戦略を2サイズのみに制限してみます。

すると、チェック頻度はほぼ0%になり、全レンジでベット25%が許容されます。

なぜベット25%という小さいサイズが好まれるのでしょうか?

これは、JJs、TTs、QTsなどの中程度のハンドが理由です。UTGの中程度EQハンドは、ベットすることでバリューを得ています。
中程度のハンドをピックアップしてみました。各EVを見て下さい:

それぞれのハンドは、チェックEVよりもベット25%EVの方が高く、ベット67%EVが低くなってしまうハンドです。そのため、ベット25%を使っているのです。つまり、ベットサイズを67%のみにした場合、チェックハンドになるのです。

中程度のハンドで利益を得るために、小さいベットサイズを使う

「ベット67%のみの戦略」と「ベット25%とベット67%」の戦略比較を行います。

ベット67%のみとベット25%&67%戦略の比較

結果;
ベット25%&67%:EV3.73
ベット67%のみ:EV3.71

ベット67%のみを導入した場合、UTGのレンジEVが低下することがわかります。このように、EVが減少しています。上図の赤枠をご覧ください。赤枠内のレンジは中程度のハンドです。

これらのハンドではEVの低下が確認できます。一方で、55sのセットはEVが増加しています。中程度のハンドで大きいベットが適していない理由は、EQロスにあります。

例えば、今回のJJsを持っていたとします。
ベット67%をコールされた後のJJs-EQと、ベット25%をコールされた時のJJs-EQを比べると、ベット67%にコールされた後のEQの方が低くなります。そのため、EQをロスしていることになります。

以上から、小さいベットのメリットは中程度のハンドで利益を上げられることにあります。

さらに、小さいベットについて掘り下げてみましょう。

本記事を読んでいる方の中には、「相手のチェックレイズ頻度が均衡戦略よりも低い場合、小さいベットが有効」と認識している方も多いでしょう。

それでは、実際に相手BBのチェックレイズ頻度を低下させてみましょう。

UTGのベット25%に対するBBのレイズ頻度を変更します。

均衡頻度では、BBのチェックレイズは16%です。

均衡頻度-16.1%

BBのチェックレイズ頻度を約半分の7.6%に設定してみます。

均衡頻度の約半分-7.6%

BBチェックレイズ頻度-半減後のUTG戦略

すると、「ベット25%とベット67%の混合戦略」から「ベット25%とベット40%の混合戦略」 になりました。相手のチェックレイズ頻度が下がることによって、ベット67%よりも小さいサイズ-ベット40%が有効になったのです。

EVを比較してみましょう。

相手のチェックレイズ頻度が半減することでEVは+0.18bbとなっています。相手のチェックレイズ頻度が少ない場合に正しいアジャストをすることで+EVとなることがわかりました。

さらに、AAsやKヒットなどの強いハンドのベットサイズを40%に調整することで、バリューを最大化しています。以前は、これらのEQ80%以上のハンドでベット25%を使用し、相手のチェックレイズを誘発していました。

しかし、相手のチェックレイズ頻度が減少したため、ベット25%の期待値が低下しました。その結果、ベット67%よりも小さい40%のベットサイズを導入しています。EQ80%以上のハンドの半数以上で、このベット40%以上のサイズを使用することで最大の期待値を得ています。

つまり、相手のチェックレイズ頻度が低下すると、逆説的にベットサイズが大きくなる傾向があるのです。

別のシナリオを検討しましょう。一般的に、UTG vs BBの状況では、UTGのレンジ自体がタイトなため、ベット頻度が高くなる傾向があります。
BTN vs BB SRPで同様のボードを考えてみます。

BTNの戦略は次の通りです:

BTNは相手の強いレンジに対して、一部のブラフと上位のレンジを使ってベット116%を実行しています。また、チェック頻度が非常に高くなっています。
均衡状態では、BBのチェックレイズ頻度は約13%です。

このチェックレイズ頻度を半減させる操作を行ってみましょう。

操作後のBTN戦略はこのようになります:

操作前と比較すると、ベット25%の頻度が大幅に増加し、チェック頻度が消失しています。一方、ベット116%の頻度にはあまり大きな変化がありません。頻度がやや低下している理由は、KKs、QQs、K5、KQなどの強力なハンドが、チェックではなくベット25%のスロープレイを選択するようになったためです。

つまり、均衡状態でチェック頻度が存在するボードにおいて、相手のチェックレイズ頻度が低い場合、チェックレンジの一部がベット25%の頻度に移行することが明らかになりました。

一方、均衡頻度において全レンジベットが最適なボードでは、ベットサイズが大きくなる傾向があります。
BTN vs BB SRPで全レンジコンティニュエーションベット(CB)が許容されるボードを例に見てみましょう。KK4ボードがこれに該当します。

ここでも、相手のチェックレイズ頻度を半減させてみます。今回は20%から10%に調整します。

その結果、ベット40%という新たなサイズが出現し、主にKXハンドを用いてバリューの最大化を図ります。

相手のチェックレイズ頻度が均衡戦略よりも低い場合、一般的には小さいベットが効果的だと考えられています。特に、UTG vs BBのようにベット頻度が高くなりやすい状況では、多くの場合25%ベットが最適です。しかし、意外なことに、相手のチェックレイズ頻度が極端に低い場合、むしろベットサイズを大きくする傾向があります。これは、相手の防御戦略の弱点を最大限に活用するためです。

では、この記事で得られた知見を応用してみましょう。
相手のチェックレイズ頻度が高い場合、どのような傾向が見られるでしょうか?
ベットサイズが小さくなり、相手のチェックレイズを誘発する戦略が有効だと考えられます。

UTG vs BB SRPでのKQ5レインボーボードを例に取り、操作を行ってみます。相手BBのチェックレイズ頻度を6.5%から17.5%に増加させると、UTGの戦略はベット25%を好むようになりました。

BTN vs BB SRPでのKQ5レインボーボードでも同様の操作を行います。相手のチェックレイズ頻度を12.9%から26%に引き上げます。

その結果、BTNの戦略はベット25%とベット40%の混合戦略に変化し、全体的なベットサイズが低下しました。

この分析結果から、相手のチェックレイズ頻度が高い場合、ベットサイズを小さくする傾向が明らかになりました。

まとめ


相手の傾向によって戦略が大きく変化することが明らかになりました。様々な戦略を試すことは非常に有益ですが、相手の傾向を安易に判断することは危険です。このような判断ミスは、不適切なアクションにつながる可能性があります。したがって、相手の傾向を正確に把握することは極めて重要なスキルといえます。
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