ポーラライズドレンジをエクスプロイト...
はじめに
現代ポーカーでは、ポーラライズドレンジが非常に有効であると言われています。では、私たちはその知識を鵜呑みにして、非常に強いレンジと非常に弱いトラッシュレンジを混ぜて、ポーラライズドレンジを構築するべきなのでしょうか?
本記事では、ポーラライズドレンジをエクスプロイトしようと努力してみます。最後までお楽しみください。
参考資料
ポーラライズドレンジとは?
ポーラライズドレンジとは、レンジの形態の1つです。そのレンジの構成は、非常に強いレンジと非常に弱いトラッシュレンジで構成されています。
一番左のポーラライズドレンジを見てください。
縦軸はハンドの強さ、横軸はレンジの種類を示しています。内部の数字は、ハンドの比重です。
ポーラライズドレンジは、強いハンドと弱いハンドに2極化していることが図から読み取れます。
なぜ、ポーラライズドレンジが有効であるのか?
なぜ、ポーラライズドレンジを使うのか?というシンプルな問題から紐解いていきましょう。
まず、あなたが強い時だけでベットをしたとしましょう。すると、当然ですが、相手は素直にフォールドすればいいだけ(オーバーフォールドする)であなたの戦略をエクスプロイトすることができるでしょう。
では、そのようにエクスプロイトされないようにするためには、ある程度の頻度でブラフを混ぜることです。このブラフハンドの選択はチェックでは勝てないハンドでのブラフを選ぶことです。
つまり、ターンでは、EQ(エクイティ)が0%〜20%程度、リバーではEQ0%のハンドになります。
では、ここで実際のハンドを使って解説します。
BTN vs BB、2bp、ES100bb(Cash Game)であると考えます。
FLOPでBTNは、BET33%をし、BBはコールしてTURNをむかえました。
BBはチェックを選択し、BTNのターンです。
ここでのBTN戦略はこちら
BTNの戦略は、チェック or POT100%以上が多い戦略となっています。実際にPOT150%を使用してみましょう。
BTNがPOT150%打った後の、BBとBTNのレンジ関係です。
右がBB、左がBTNとなっています。真ん中の赤い枠に注目してください。
すると、驚くことにBTNとBBのEQ(エクイティ)はお互いに約50%であるのにも関わらず、BTN側のEVは、BBの約14倍にもなっています。
このように、ポーラライズドレンジでベットをすると、EQはお互い同じであっても、相手に一方的なEVを押し付けることができるのです。
これが、ポーラライズドレンジで大きいベットをする理由の1つです。
では、本題である「ポーラライズドレンジをエクスプロイとする」ことを考える前に、上図でのBTNレンジは本当にポーラライズドレンジなのでしょうか?
下図は、TURNにおけるBTNレンジです。
ポットオーバーを使うレンジをエクイティでフィルタリングして、色付けしています。
上図の下部(Equity)を見てください。下から上に、Equity順で並んでいます。
コンボ数とEquityに着目すると、しっかりと2極化しており、ポーラライズドレンジを作っています。
特に、Valueのコンボ数は0.8、Bluffのコンボ数は0.9になっておりしっかりとバランスされているようです。
※コンボ数が少ないのは、フロップで33%CBを行うのが低頻度であるからです。
しかし、このGTOwizardの結果をエクスプロイトすることは不可能です。
え、なんだよと思ったあなた!まだ早いです。
BTNのレンジをよく見てみましょう。
上図の赤くなっているレンジで、ポットオーバーをしています。例えば、65sを見てください。6d5dを含むすべての65sで高頻度POTオーバーを行っています。
こんなプレイヤーいますか???
細かくみたい方はこちら
多くの方が直面するプレイヤープールにおいて、このようなプレイヤーはいないでしょう。
ポットオーバーがValue過多になっている
ということが現実です。
ここでソフト(Hand2note)を使い、実際のプレイヤープールにおいて、Turnポットオーバーがバリュー過多になっているか調査しました。
実際のデータは割愛します。
サンプル数500
Twoペア+→25%
TPGK→25%
Set→18%
計)68%
Draw→10%
Lowペア→8%
Gutshot →7%
Aハイ→7%
計)32%
相手のUnder Bluffを入れると、Value : Bluff比は、約7:3になりました。
このデータを鵜呑みにすることは危険ですが、Value:Bluff比を、実際に7:3にしてみましょう。
先ほどの例を使い、BTN vs BB,2bpとします。BTNは、FLOPで25%CBを打ち、BBはコールしました。次に、TURNでは、2dが落ちたとします。
上図のようなレンジでオーバーベットをしていることが確認できます。
ここで、BTN側のポットオーバーを打った後のBB戦略は下の図です。
A8oなどがコールとフォールドのIndifferentであるくらいですが、基本的にAQでもコール100%をし、DFしています。
BTNをややバリュー過多に調節しましょう。
以下のように調節します。
ブラフのコンボ数を10コンボ減少させます。
結果:BB戦略 vs BTN BET150%
上図の中央を見てください。左が変更後、右が変更前のBB戦略です。
コール頻度は1/4になっています。フォールドレンジのほとんどはAヒットしているレンジです。
このように相手がバリュー過多になりやすいプレイヤープールでの、TURNポットオーバーバレルに対しては、Over-Foldすることで相手をエクスプロイトすることができます。
では、次に完全なポーラライズドレンジはエクスプロイトできるのかを考えます。
完全なポーラライズドレンジをエクスプロイトする
先ほどの設定と同じ条件で考えます。
先ほどは、フラッシュドローなどの中途半端なEQを持っているハンドでもベットをしていました。こちらの図のWeakハンドのコンボ数は、先ほどの例でのTURNでポットオーバーを打つコンボ数を表しています。
Weakハンド(FDを含む)があることにより、正確に言うと、このレンジはポーラライズドレンジではありません。マージ・ポーラライズドレンジであるのです。
ここで、完全なポーラライズドレンジにしてみましょう。
すると、BBはOverFoldをするようになります。
完全なポーラライズドレンジができるスポットは非常に少なく、多くの「ポーラライズドレンジ」と言われるレンジは、マージドレンジであるのです。
まとめ
ポーカーをプレイしていて、そこにブラフがあるのかということを考えるのは、大切なことです。特に、相手がバリュー過多になるスポットで、Over-Foldすることは有用なエクスプロイト方法です。
しかし、実際にそのオーバーベットに直面した際に、私たちは、Over-Foldさせられているように感じることが多いでしょう。
この時、グッとその感情を抑えて、FOLDすることも大事ですが、むしろ「Over-Foldすることで相手をエクスプロイトしている」のだと思うようにすれば、そのバリューしかない状況でフォールドを選択することができるのではないでしょうか?
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