NLH Head Up の世界
◇はじめに
こちらのnoteは、POKER GYMに入会して1ヶ月受講していただいた方のレポートです。
先日、POKER GYMというポーカーのトレーニングサービスを正式にリリースいたしました。
初心者から中級者を対象としたポーカートレーニングにより、ポーカーへの理解を深めるための習慣とテクニックを履修してもらっています。
現在受講生の中で学習を自走できるようになった成果として、こちらの戦略noteを書いてもらいました。
1ヶ月程度のコミットトレーニングによりnoteが執筆できるようになるという大きい成果を残してくれました。
制作 受講生 監修 NSY
◇POKER GYMへの相談・入会などはこちらより
サービスを受けられている方の声としては,直近のAPPT manilla HighRollerにおいて好成績を残されています。
◇Head Up 戦略
Head-upにおいては、SBにポジションがありCashGameのブラインドヘッズよりもお互いレンジが広くなります。
そのため、通常のCash Gameのプリフロップと同様の認識で戦っていると、すぐに降りすぎ・アグレッションが不足しすぎになってしまいます。
本記事では、 PreFlop、PostFlopの戦術について紹介していきたいと思います。
Heads Upをする機会はほとんどありませんがPokerStarsなどのサイトでは、Heads up zoomというCash Game専門のプラットフォームがあります。
プリフロップからガッツリ学んで、基礎からしっかり身につけましょう。
今回は100BBでの戦略記事になっています。
今回のメインとして、GTO baseを使用しました。まずはPreFlopから見ていきましょう。
▽HU PreFlop 100bb
Openレンジ
vs SB Open
上図HU 100bbでのOpenレンジを見るとFoldするレンジが少なくSuietedハンドであれば全レンジでOpenのようです。
▽Openレンジ
Openサイズは、2.5bbが一般的なサイズとなります。100bb以上の場合、Callレンジというものを設けないことが多いです。
Foldレンジとしては、「J2o〜32o」「J3o〜63o」「T4o〜84o」のStraightが狙いにくく、Flashも狙いづらいようなハンドレンジです。
vs Openを見てみましょう。
▽vs Open
まず、3betレンジとしては以下のことが特徴として挙げられます。
とかなりFoldレンジは少ないです。主に2主体のOffSuitが多いです。
では、Flopのアクション内容をみていきましょう。
▽HU 2bp Flopアクション
◇シチュエーションを以下のように設定します
Cash Game 100bb Heads up
SB(Hero) vs. BB 2bp
「GTOBase」 https://app.gtobase.com/dashboard
HUでのFlop CBアクション 2bet-potの集合分析です。
上図がHU 100bb 2bpでの集合分析です。
全体的なアクション分類としては、Check、Bet30%、Be67%、Bet 100%、Bet150%
というような分類です。
主に使うサイジングとしては、Check/Bet30%/Bet67%というような分配になるでしょう。本記事では、細かいサイジングを使わずに、Flop Betサイズを 33% or 67%について焦点をあて解説していきます。
Flop集合分析より、Check、Bet30%、Bet67%をメインとした混合戦略となっています。
このことより、まず考えられることとして、レンジCBというものが大きく影響することが少ないという可能性でしょうか。なぜなら、HU 2BPではCappedレンジを加味してもお互いにレンジが広いことよりこのようなBet or Checkが50:50に近い値を示していると予想されるからです。
しかし、CappedレンジがBBには存在するわけなので、ボードを分類わけし、細かいCB頻度を見ていきましょう。
▽ボードをソート
ボードを以下①〜⑦のようにソートしました。
①Aハイ
②Kハイ
③Qハイ
④Jハイ
⑤Tハイ
⑥9ハイ以下
⑦ペアボード
① A high
一般的に6maxのCash GameであればAハイはCheckと33%、75%と混合します。6maxにおいてブロードウェイ2種時の場合Bet過多になる傾向があります。近年のポーカーではA hiということで全レンジで33%CBを打たれる場面も見かけます。
一方、HU cashである場合はどうなるでしょうか。
集合分析を見ていきましょう。
Aハイ
AハイではCheck、Bet30%がそれぞれ頻度40.86%、頻度46.07%です。
下図がソート後の集合分析です。
ブロードウェイ2種ソート → Bet33% 頻度50Fq%
Check頻度
AKハイボードを除く → Bet33% 頻度56Fq%
・Aハイブロードウェイ3種 → Check or 75%
・Ahi Monotone → Check過多,75%CBもあり、33%もある
上図の集合分析をまとめました。
表より、ブロードウェイ2種時にBet30%の頻度が増加し、ブロードウェイ3種時になるとBet67%以上の頻度がドラスティックに増加しています。
特定の条件にソートしても頻度が70%以上に変わらないということが言えるでしょう。今回の場合、Bet30%が増えるようにソートしましたが、一定以上の頻度から増加しませんでした。
この減少の理由は、バランスとして、AヒットのWeakKickerが常にCheck頻度に存在するから、これ以上ソートしてもBet33%の頻度は上がらないと考えられます。
つまり、役ごとでのバランスにより、CheckとBet頻度が決定されるということが予測されます。
さらに特徴としてBet67%というアクションがブロードウェイ3種時にドラスティックに増加していることより、Straight Draw、Top hit GoodKickerで積極的にBetをしていると考えられます。
②Kハイ
HU cashでのKハイ集合分析を見ていきます。6maxの場合、一般的にBet30%を全レンジで受けることが多いボードです。
HU cashの場合、Aハイでの集合分析より
「役ごとでのバランスにより、CheckとBet頻度が決定される」ことが示唆されました。Kハイも同様にCheck,Bet30%が混合戦略でありソートを行ったとしても一定頻度以上にはならないことが予想されます。
では、実際に集合分析を見ていきましょう。
▽Kハイ 集合分析
ブロードウェイ2種
Kハイ ブロードウェイ3種
Kハイ Monotone
Kハイの集合分析を表にまとめます。
表より役ごとでのバランスにより、CheckとBet頻度が決定されるということが予測されます。
KハイではBet30%がメインサイズとして使われていますが、Bet67%の頻度が常に15%以上存在していることです。Aハイと同様にブロードウェイ3種時にはbet67%が好まれます。
HU cashでは「役ごとでのバランスにより、CheckとBet頻度が決定される」ということが確認できます。
Kハイブロードウェイ3種
実際にブロードウェイ3種のボードです。
レンジとしてBet67%を使っていることが見て取れます。レンジでBetしていますが、SDVがあるハンドかつNot Good Kickerの場合はCheck頻度を優勢にすることでレンジ全体のバランスを保っているようです。
Kハイでの特殊なボードを発見しました。
Kハイにおいて、2nd,3rdカードを9〜6種に設定すると
Check, Bet30% ,Bet 67% ,Bet100% が全て混合するようなボードが存在します。
K 9〜62種をソートしました。
K(9~6)2種
集合分析のアベレージに着目すると
Check>,Bet30%>Bet100%>Bet67%>Bet150%
の順でアクションが分かれています。この原因をEQ分布を使って探っていきます。
K7s6でのEQ分布を比較します。
K7sEQ分布 一覧
上図より
Bet30%後のEQ分布では、下位25%のレンジでのお互いのEQ分布が乖離がなく連続して上回っています。
Bet67%後のEQ分布では、SB EQd下位10〜30%ほどで下回っているが上位50%レンジで大きく上回っています。
次に役ごとの集合分析を確認します。
K76の4Flopでの役ごとの集合分析
K(9〜6)2種であるK76ボードの場合
いわゆるValueとしてはTophitをCheck or Bet30%レンジに組み込み、2ndペア〜Weak ペアまでをCheckレンジにインストールしています。さらに、Set、2ペア、OverペアをBet30%,Bet67%,Bet100%という構成にしています。
一方、Bluffレンジとしては、コンボDraw、FlushDraw、OpenEndStraightDraw、BDFDSDをBet30%,Bet67%,Bet100%の混合戦略をとっています。No DrawのみBet30%頻度が非常に高くなっています。
ここで役とアクションをパラメーターにし◎、◯、▲、×の4段階評価を行い表にしました。
この評価により下記のことが考察できます。
このことより、役主体でバランスをとっていることが確認できました。
さらに、Bet67%以上のサイズ感を使う場合は、Gutshot以上のDrawで比較的大きいサイズ行っていることから
「ターンでのバレルカードの枚数の影響を受けている」
と考えられます。
つまり、ターンバレルできるカードが多くなるからK(9〜6)2種でBet67%程のサイズがアクションとして混合される理由になるでしょう。
◇K(9~6)2種時にBet67%打った時のターン集合分析
では、実際にK7s6の以下の状況を想定した場合のターン集合分析をみていきましょう。
・設定
Flop
BB:Check
SB: Bet67%
BB:Call
Turn
BB:Check
ターン集合分析
この結果より、レンジ全体として、ターンBetサイズにBet100%とBet150%をメインとして使い、Checkを半分ほどの頻度で入れています。
ここでBet100%を行うカードを降順にし、K7s6においてどのようなカードで役発展が生じているかを見ることで、SBのFlopBet67%を行っているレンジを確認します。
前述の「Bet67%以上のサイズを使う理由はターンでのバレルカードの枚数の影響を受けている」と仮定すると、TurnカードがDraw完成カードとBlickカード(ラグ)と予想できます。
Bet100%カード 降順
上位のカードをみてみると2,9,4または5以下のFD完成カードになっています。これらのカードはラグ、SD完成カード、FD完成カードが上位に並んでいます。
よって、Bet67%以上のサイズを使う理由はターンでのバレルカードの枚数の影響を受けている」は確からしいです。
さらにSD/FD完成カード、ラグが落ちた時のSBレンジをみていきます。
いかがでしょうか?
SBが Flop Bet67%以上をした場合、Turnにおいて特定のカード群でかなりの幅広いレンジでBet100%以上をしていることがわかります。
一方、Flop Bet30%を選択した時のTurnカードを確認すると
K7s6 Bet30%を使用 ーK(9~6)2種
メインで使っているサイズはBet67%です。
Bet67%カード 降順
K7s6ボード時にBet30%を使った後、FDが完成するターンカード2hをおとしてみると
下図のようなレンジでBet67%を行っていきます。
やはり、HU 2BPの場合は、レンジ全体でのRepresentによりBetラインで押し切るようです。特徴的なところとしては、SDVがあるハンドレンジをCheckし、Nothing,Drawと2ndペアのTopKickerをBetレンジに取り入れることでバランスをとっているという部分が見受けられます。
続いてQハイ以下も確認してみましょう。
③Qハイ
HU cashの場合、QハイはKハイと似たような性質を帯びていてKハイ同様に「役ごとでのバランスにより、CheckとBet頻度が決定される」ことが
Check,Bet30%が混合戦略でありソートを行ったとしても一定頻度以上にはならないことが予想されます。
では、実際に集合分析を見ていきましょう。
Qハイ
Qハイの集合分析の平均AVGより、若干のBet過多になっています。メインBet Sizeとしては、Bet30%を使っています。簡易戦略としては、レンジ全体でCheck or Bet30%でも良さそうですが、特定のボード時にBet67%を使用しています。
ここまでのボード考察より、
ということが言えます。
よって、Qハイ時も同様なことが言えるのでしょうか。
Kハイの結果と比較すると以下のようになります。
表の比較より、KハイとQハイでのBet30%頻度の差は大きく変わらないということがわかります。
一方、ブロードウェイ2種時のCheckと、Bet67%以上の頻度が大きく変わったことが印象的ですね。
ブロードウェイ2種時のCheck頻度は、Kハイ(39.57%Fq)、Qハイ(28.67%Fq)であり10%以上の変化が確認できます。これは、Kハイ時にBetしていたQXが、Qハイ時ではCheckレンジに一部なることで生じていると考えられます。
KTs4とQTs4のFlop SB 戦略(Flop/ BB x, SB ???)
続いてBet67%においても、KハイとQハイを比較すると、QハイのBet67%頻度が1/3程度に大きく減少しています。この減少においても、SBがQハイ時にValueとして打つことのできるハンドレンジの減少に伴う変化であると予測できます。
HU時のQハイボードは、Bet67%以上の頻度が全く無く、Jハイを境目にBet67%の頻度がドラスティックに増加しています。この理由は、BB CallレンジにQハイを非常に多く含むためです。下図のようにPreFlop BBレンジにQXを多く含んでいることが確認できます。
よって、Qhiボードでは、WeakKickerのQペアがFlopCBを打たずにCheckレンジに構成されます。
HUPreFlop Callレンジ
表のデータ詳細はこちら↓
ブロードウェイ2種 → Bet 33% 54Fq%
ブロードウェイ3種 →check or 67%bet 32Fp%(QJTsを除く)
Qハイ Monotone →check or 33%bet
・Q(9~6)2種 →check過多 or 33%bet
④Jハイ
Jハイ〜Tハイにおいては最初にデータのみを載せ、後半から比較していきます。
J(9~6)2種 →check過多 or 33%bet
ブロードウェイ2種
Monotone
⑤Tハイ
集合分析
Tハイ時の各種データ↓
T(9~6)2種→checkかなり過多 or 33%bet
Tハイ Monotone →check or 33%bet
Tハイまとめ表
Tハイでは、Check頻度が40%前後であり、Bet67%以上のサイズをメインサイズでBetを行っています。TハイでBetする場合はBet67%以上のサイジングが頻度的には好まれそうです。
ここでJハイとTハイを比較してみましょう。
JハイとTハイを比較すると以下のことが挙げられます。
以上のことが読み取れます。JハイとTハイでの比較はやや変化する点はありますが顕著な変化と言えるほどの値は可視化できませんでした。このことは、性質が似ているボードであることが理由といえます。
ではここで①Aハイ〜⑤TハイのFlop集合分析結果を表にして比較することで体系的に比較しました。
まとめ表
全体的に比較していかがでしょうか?
・A、KハイはCheckとBet30%の構成比率が非常に高い
・Qハイは、Bet67%の頻度が極端に少ない
・Jハイ、TハイはBet67%の頻度がAハイ時と比べると2倍ほどの頻度がある
・TハイのBet30%の頻度が少ない
という特徴があります。
ここまでに確認されたHU cashでの特徴
「役ごとでのバランスにより、CheckとBet頻度が決定される」
「Bet67%以上のサイズを使う理由はターンでのバレルカードの枚数の影響を受けている」
を踏まえると
J,TハイFlopに対して、SB Openレンジに含まれるA〜Jハイの内SDVのあるハンドであるAX,KXをCheckレンジ回す傾向になると言える。よって、SDVのないと判断されるQX,JXがBet67%を行うことから、上図のBet67%の頻度が増加していると考えられる。
Tハイボード時(T42r)のSB のBet67%,Bet100%レンジです。
Top hitのGoodKickerのAT〜JTがValueレンジとして、BluffレンジとしてSDVのない一部のQX,JXとTrashハンドをBetレンジにしています。
⑥9ハイ以下
Monotone
⑦ペアボード
33%betを高頻度で打つ。22x.77xのみcheck頻度があがる可能性あり
AAx〜JJx → Bet30% 73Fq%
9~6ペア →check or 33%bet58Fp%
(77xだとcheck頻度が上がる)
5~2ペア →check or 33%bet50Fp%
22xのみcheck頻度が上がる。40Fp%ほどになる
◇まとめ
ここまでの結果を表にまとめます。
Flopアクションごとの頻度
Jハイ以下の場合Bet67%サイズの頻度が増加し、Check頻度も増加します。
一方、Bet67%頻度が増加するほど、Bet30%頻度が減少しています。
Tハイ以下の場合は、Bet67%サイズをメインに使い、Check or Bet67%以上というアクション選択が推奨されています。
2BP Flopでのアクション選択
以上の結果より
特典:細かいアクション分類↓
今回の記事は終了です。
今後も様々なスポットにおける戦略考察記事を作成しますので、是非フォローしていただければと思います。最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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