見出し画像

【ポーカー 攻略】 Ante Game入門

はじめに


久しぶりにnote記事を更新しました。今回は、Ante(アンティ)ゲームの基本戦略について解説します。
Ante(アンティ)は、ゲーム開始時に各プレイヤーが支払う強制的な賭け金です。このAnteの存在によって、プレイヤーの戦略は大きく変化します。それでは、プリフロップの戦略から見ていきましょう。

プリフロップでは、Anteの金額が大きいほど、プレイヤーはより積極的なプレイを強いられます。なぜなら、すでに強制的に投資しているお金を無駄にしないためには、より多くのハンドでプレイする必要があるからです。つまり、通常のノーリミットホールデムと比較して、プレイできるハンドレンジが広くなります。
本記事では、以下のようにゲーム設定を行います。

  • NL25レーキ(5% 7bbCap)

  • 200bb

  • 7max、全員Ante0.7(0.1x7人)


前回の記事

プリフロップ戦略の基本構造


プリフロップ戦略を理解する上で、以下の3つの要素が重要です:

  1. レンジの広がり:Anteの存在により、特にBB/SBではプレイ可能なハンドが増加

  2. ポジション効果:レイトポジションからのブラインドアタックが増加。IPのコール頻度増加

  3. アクション選択:コール/レイズの使い分けがより重要に

これらの要素を踏まえて、以下の2つの視点から詳しく分析していきましょう:

1.レンジの広がり

Anteの有無によって、プレイヤーのレンジがどのように変化するかを具体的に見ていきましょう。下の図は、BTNからのオープンに対するBBのディフェンス戦略を比較したものです。左側がAnteなしの場合、右側がAnteありの場合を示しています。

図を見ると、Anteありの場合(右側)では、BBのディフェンスレンジが明らかに広くなっていることがわかります。これは、Anteによって既に投資されているお金を考慮すると、より多くのハンドでプレイすることが利益的に正当化されるためです。特に注目すべきは、スーテッドコネクターやギャップハンドなど、ポストフロップでプレイしやすいハンドのコール頻度が増加している点です。

注意点としては、3ベット額の大きさです。これはAnteの影響ではなく、レーキ、Effective Stackが大きい場合に3ベットのサイジングが通常より大きくなる傾向があるためです。具体的には、通常の2.5-3BBのレイズに対して、IPのプレイヤーの3ベットは9-10BB、SBの3ベットは11-13BB、BBの3ベットは20BBとなります。

2.ポジション効果

Anteゲームでは、ポジションの重要性がさらに高まります。レイトポジションからのブラインドアタックが増加し、IPのプレイヤーはより広いレンジでコールしなければなりません。また、ポジションの優位性を活かしたポストフロップの駆け引きもより重要になります。これらの情報を表で整理してみましょう。

上記の表は、各ポジションからのオープン頻度を示しています。Anteありの場合、特にレイトポジションでの攻撃頻度が大幅に上昇することがわかります。

この表からも分かるように、Anteゲームではポジションの価値が通常のゲームよりも高くなります。レイトポジションからは、より広いレンジでオープンすることで利益を得ることができます。これは、すでにAnteとして投資されているお金を考慮すると、より多くのハンドでプレイすることが正当化されるためです。
重要な点として、Anteありのプリフロップではレーキが高いのにも関わらずコールを選択していることです。

3.アクション選択の重要性

アクション選択、特にコールとレイズの使い分けは、Anteゲームの重要な要素です。通常のゲームと比べて、Anteによってポットオッズが改善されるため、コールの価値が相対的に高くなります。そのため、3ベットレンジの調整が必要になります。
それでは、具体例としてLJのオープンに対するBTNのアクションを比較してみましょう。

EF=200bb

AnteなしとAnteありを比較すると、KQs、KJs、QJs、QTsのコール頻度非常に高くなっています。

ポストフロップ戦略の基本構造


ポストフロップ戦略を理解する上で、以下の3つの要素が重要です:

  1. 相手レンジの広がり:CB頻度の増加

  2. ボードタイプ別の分析:各テクスチャーの特徴と傾向を踏まえて

1.相手レンジの広がり:CB頻度の増加

Anteありゲームでは、BBのコールレンジが広がるという特徴があります。その結果、シングルレイズポット(SRP)において、オリジナルレイザーは小さめのコンティニュエーションベット(CB)を選択する傾向にあります。
この傾向を確認するため、184種類のフロップを使用して全体の頻度を分析してみましょう。
分析では、ベット33%と75%の2種類のベットサイズを使用することとします。

184ヒューリスティック

184ヒューリスティックは、フロップテクスチャーを体系的に分析するための手法です。これは、可能なすべてのフロップの組み合わせを代表的な184のパターンに分類し、それぞれのボードタイプに対する最適な戦略を導き出すアプローチです。
全体的な評価として、各ボード分類ごとのチェック率・ベット率の平均は以下のようになりました:

傾向の分析として、
ここでは、各ボードタイプにおけるベット頻度の傾向を詳しく分析していきます。特に注目すべきは以下の3つのポイントです:

  • Kハイボードではベット33%の頻度が最も高い(40.97%)
    →積極的に小さくベットする傾向

  • Jハイボードと9ハイ以下ではベット75%が比較的多い(26.17%、24.59%)
    → ハイカードが絡まないボードでは、大きくベットするケースが増える

  • Aハイボードではチェックが比較的多く、ベット75%が少ない(17.52%)→ フォールドエクイティが小さいためベット33%が有効

これらの分析結果から、ボードタイプによってベット戦略が大きく異なることがわかります。特に、Aハイボードでは相手のフォールドエクイティが低いため、小さなベットサイズを選択することが多くなります。一方で、Jハイボードや9ハイ以下のボードでは、相手のレンジが弱くなりやすいため、大きなベットサイズを選択することでより多くの利益を得られる可能性があります。それでは、各ボードタイプの特徴を詳しく分析していきましょう。最初にAハイボードについて見ていきます。

2.ボードタイプ別の分析:各テクスチャーの特徴と傾向を踏まえて


Anteゲームでは、ポットサイズが大きくなることにより、ベットサイジングの選択がより重要になります。特に、フロップでのベットサイズは、相手のレンジとボードテクスチャーに大きく依存します。以下では、代表的なボードタイプごとに最適なベットサイジングを分析していきます。

Aハイボード

Aハイボードの特徴について詳しく見ていきましょう。このボードタイプは、BTNのナッツアドバンテージが最も顕著に現れる場面の一つです。BBの3ベットレンジにAK、AQが極めて少ないため、BTN側が強力なナッツアドバンテージを持ちます。これにより、アクション選択が大きく影響を受けることになります。

特徴的なAハイボードの傾向

Aハイボードでは、BTNのレンジアドバンテージが顕著に現れるため、ボードテクスチャーに応じて戦略を適切に調整する必要があります。特に、モノトーンボードやコネクテッドボードでは、相手のエクイティ実現を考慮した慎重な戦略が求められます。以下では、具体的なボードタイプごとの特徴と最適な戦略を詳しく見ていきましょう。
1. チェック率が特に高いボード

  • AsQs7s, AsTh2s, As8s6h, As9h8d, AhKs3s

  • 傾向:

    • モノトーンやストレートドローが多いボード (AsQs7s, AsTh2s)

    • “A + ハイカード” (AhKs3s) → BTNがナッツアドバンテージを持っているため、チェック or BigBetが増える

2. チェック率が特に低いボード

  • AsAh4s, AhAd4s, AsQhQd, Ah9s2s, As5s3h

  • 傾向:

    • Aペアのボード (AsAh4s, AhAd4s) → BTNが圧倒的に強く、CB (コンティニュエーションベット) が多い

    • A + ミドルペア (AsQhQd) → 相手が弱いレンジを持ちやすくベットを優先

3. ベット75%が特に多いボード

  • Ah9s2s, As5s3h, AsJhTs, AhQs9s, AsKs6h

  • 傾向:

    • AJ+ボード (AsJhTs, AhQs9s)

    • Aローボード (As5s3h) → 大きめのベットでプレッシャーをかける

4. ベット33%が特に多いボード

  • AsAh4s, AhAd4s, AsQhQd, AhAd6s, AsAhTs

  • 傾向:

    • Aペアのボードが多い (AsAh4s, AhAd4s, AhAd6s) → ポラライズせずに33%CB

    • A + ペアのボード (AsQhQd, AsAhTs) → レンジCB


特徴と考察

  • Aハイボードではチェック頻度が比較的高い(49.30%)。

  • ベット33%の割合も比較的高め(33.17%)で、小さなベットが主流。

  • 逆にベット75%の頻度は最も低い(17.52%)、大きなベットは少ない。

具体例: A♠️ J❤️6♦️

このボードでは、BTNが強力なレンジアドバンテージを持っているため、33%ベットを主体とした戦略が効果的です。特に、BTNはAx系のハンドを多く持っており、相手のレンジに対して優位性を保持できます。また、相手のフォールドエクイティが低いため、大きなベットサイズよりも小さなベットで頻繁にプレッシャーをかける戦略が有効となります。
EQバケット(左:BB、右:BTN)を確認してみましょう。

BTNレンジとBBレンジを比較すると、EQ80-90%のハンド(Aヒット系)が明らかにBTNに多く存在します。ただし、BBレンジもAQを中心に強いハンドを持っているため、BTN側は大きなベットではなく小さなベットを選択します。
BBレンジ vs BTN33%CB

Kハイボード

Kハイボードを分析していきましょう。このボードタイプでは、BTNは依然として強いレンジアドバンテージを保持しています。そのため、一般的にベット33%の戦略が効果的とされるボードでは、小さなベットサイズの使用頻度が高くなります。

Kハイボードの特徴的な傾向

Kハイボードでは、BTNが依然として優位ですが、Aハイボードほどではありません。そのため、積極的に小さなベットを活用し、相手にプレッシャーをかける戦略が有効です。一方、ベット75%を使用する際には、KT〜KJハイボードのようなナッツアドバンテージがBTNにあるボードになります。

  • ベット33%の頻度が最も高い(40.97%)

  • チェック頻度は低めで、アグレッシブな継続ベットが主流

  • ベット75%は低め(14.69%)、広いレンジで小さくベットする傾向

具体例: K♠️ J❤️4♦️

このボードでは、BTNの基本戦略として33%ベットを選択します。また、BTNはナッツアドバンテージを活かして、ポーラライズした戦略を取ることも可能です。
EQバケット(左:BB、右:BTN)を確認してみましょう。

BTN側が80%以上の高いエクイティを持つハンドを明らかに多く保持しています。このため、ポーラライズした戦略を取ることが可能です。

Qハイボード

Qハイボードの全体像

特徴と戦略
Qハイボードは、Kハイボードに近い傾向を持ちますが、相手のレンジにもQが含まれるケースが増えるため、やや慎重なアプローチが必要になります。

  • ベット33%が多めだが、Kハイボードほどではない

  • BBがQを持つ可能性があるため、チェックの割合も適度に確保

  • ベット75%は控えめ(17.52%)

具体例: Q♠8❤️ 6♦

上図右上を見ると、お互いのレンジは拮抗していることがわかります。
EQバケット(左:BB、右:BTN)を確認してみましょう。

お互いのレンジが拮抗しており、BBレンジは中程度のハンドが非常に多い点が見受けられます。

Jハイボード

Jハイの全体像

  • チェック率が高い(49.70%)

  • ベット33%は少なめ(24.13%)で、慎重な戦略が主流

  • ベット75%が最も多い(26.17%) → 相手のレンジにプレッシャーをかけるため

具体例: J❤️9♠️3♠️

Jハイボードは、ストレートドローが絡むケースが多く、BBのレンジが強くなりやすいのが特徴です。そのため、慎重なプレーが求められます。
EQバケット(左:BB、右:BTN)を確認してみましょう。

Tハイ

特徴と戦略

TハイボードもJハイボードと同様にストレートドローが多く、BB側のレンジが強くなりやすいボードです。そのため、慎重なチェック戦略が重要になります。

  • チェック率が最も高い(49.98%) → 相手のレンジが強いボードでは慎重なプレーが求められる

  • ベット33%の割合はそこそこ(29.11%)

  • ベット75%は適度に使用(20.91%)

具体例: T♠7♠️3❤️

右上のEQチャートを見ると、Qハイ、Jハイと比べてお互いのレンジが非常に拮抗しています。
EQバケット(左:BB、右:BTN)を確認してみましょう。

9ハイ以下

特徴と戦略

9ハイ以下のボードは、BTN側のレンジが絡みにくいため、慎重なプレーが基本となります。しかし、BB側も強いハンドを持ちにくいため、大きなベットを行うポラーな戦略が有効な場面もあります。

  • チェック率が高め(49.95%)

  • ベット75%が比較的多い(20.17%) → 相手のレンジを圧迫するために利用

  • ベット33%は控えめ(29.87%)

具体例: 9❤️5♠️2♠️

EQバケット(左:BB、右:BTN)

ペアボードの評価と戦略

ペアボードでは、ボードの強さによって戦略が変わります。

  • 高ランクペアボード(AA, KK, QQ): BTNのレンジが有利であるため、ベット33%の頻度が高くなる

  • ミドルペアボード(JJ, TT, 99): 相手のレンジにセットが含まれる可能性があるため、チェック頻度が増える

  • ローペアボード(88以下): BTNとBBの両方が絡みにくく、ベット75%を使ってプレッシャーをかけるケースが増える

ペアボードでは、基本的に33%ベットが主流で75%ベットはほとんど使用されません。ただし、533のボードは例外となります。
具体例: 3♠ 3❤️ 3♦️

EQバケツ(左:BB、右:BTN)

まとめ


Anteゲームにおける主要なポイントは以下の通りです:

  • ボードの特徴に応じた戦略調整: ハイカードボードからローカードボード、ペアボードまで、それぞれの特性を理解し適切な戦略を選択する

  • チェック頻度の重要性: 従来の33%CBに依存せず、状況に応じてチェック頻度を高めに設定する

  • ベットサイズの使い分け: 33%と75%のベットを状況に応じて使い分け、効果的なプレッシャーをかける

  • レンジ評価の重要性: EQバケットを参考に、BTNとBBのレンジ構成を把握し、最適な戦略を選択する

これらの要素を総合的に考慮し、Anteゲームならではの戦略的アプローチを実践することが重要です。
Anteありのゲームに慣れたプレイヤーの多くは「トーナメントと同じ戦略でよい」という考えから、安易に33%のCBを使用しがちです。しかし、今回の分析結果から、実際にはチェック頻度を高めに設定することが重要だと分かりました。この知見を活かし、国内外のAnteありゲームでより効果的な戦略を実践していきましょう。

限定オファー:使用データをプレゼント!🎁

今回使用した184フロップのデータを公式LINEで配布しています。
友達追加後、「184」とメッセージを送信していただくと、ファイルをダウンロードできます。

🏆 POKER GYMで実力を伸ばそう!

POKER GYMでは、実績あるプロコーチ陣による実践的な戦略解説と、9万字超えのトレーニング指南書を提供しています。
経験豊富なプレイヤーが、初心者から上級者まで対応できる体系的なカリキュラムを用意し、あなたのポーカー力を確実に引き上げます。

今回の記事で興味を持った方は、ぜひPOKER GYMでさらに深く学んでみてください!

新コーチ"とらじろう"の記事


いいなと思ったら応援しよう!