あのときの感情に名前がついた

iPhoneのメモ帳を見返していたら、はじめての彼氏と付き合っていたときのメモ書きをみつけた。3回だけ、忘備録的に書き残しておいたものなのだけれど、アセク・ノンセクという概念を知った今になって読み返してみたら、当時は散分していた感情が、今になって点と点が線になって繋がってしまい、驚いたしおもしろかったので、ここにも残しておこうと思う。

・付き合って1ヶ月

付き合って1ヶ月ほどの彼氏に言われた「迎えにいくから、○日はうちに泊まらない?」の一言でこわくなり、次のデートで会うのが気が重くなってしまった。

恋人いない歴=年齢のまま二十代に突入した私にはじめてできた彼氏。付き合って欲しいと言われたとき、好きだとは言われなかったけれど、数回会っただけの相手を好きになれるはずがないと思っていたので、軽率に言わないところが逆に印象がよかった。また会いたかったし、この人なら好きになれそうだと思ったから了承した。お互い、これから時間を重ねてだんだん好きになれればいいと思っていた。

正直私はまだ恋愛対象として彼氏のことを好きになれてはいない。そもそも恋愛感情がわからない。けれど、内面はこれ以上私が好きになれそうな人にはこれから出会える気がしないと思っている。
お互いまだこれからだと(勝手に)思っていたのに、そういうことも考えていたのかと急にこわくなってしまった。これまでに言ってくれたことのない「迎えにいくから、」にも、低姿勢さにやましさを感じてしまってこわい。
相手もこわいし、何より行為もこわい。いい歳して付き合っておいて何を言っているのだと自分でも思うけれど、こわいものはこわい。案ずるより産むが易しと言うし、一度飛び込んでみれば思っていたほどではないかもしれない。でもそもそも、自分にそういう感情を向けられたことがこわい。
何度目のデートで身体の関係をもつかというアンケート結果をインターネットで探しまくったら、現在のデート回数は妥当だった。でもそれは好き合っているからであり、私はそこまで心が追いついていない。付き合っておいて、いい歳して、何言っているんだというかんじなのだけれど。
次また誘われたら、私は断れるのだろうか。何といえばいいのだろうか。身構えてしまい、次に会うことすら気が重くなってきてしまった。


・2度目の旅行時

(中略)

キスしながら、あっほんとだ、してみたら案外思っていたほどでもない。割と想像通りの感触だ。と妙に脳内は冷静で。全然嫌じゃないけど、うれしいとかきもちいいとかもなく、なんていうか、無。その先も少ししてみたけれど、彼氏もしたい感じはみえないし(隠してるのかもしれないけど)、私もしたいわけではないし、それ自体が気持ちいいわけでもないし、これが一体何になるんだろう?誰のために何をしているんだろう?通過儀礼?と、触れられながらぐるぐると疑問符が浮かび、虚無感が纏わり付いた。

(中略)

8ヶ月以上付き合っての旅行でこれしかできないなんて愛想尽かされたかなと思って。彼氏と手をつないだり肩が触れながらおしゃべりするのは幸せなのに、最後までできる気が全然しないししたいとも思えなくて。こんな状態で彼氏を拘束するのも申し訳なくて、いつもは会ってる間に次の予定を立てるんだけど、私からは言い出せなくて。さみしいし会えなくなるのやだけど、今日は決めずにバイバイして自然消滅されても仕方ないかなって思ってた。

(中略)

私は彼氏のことすきだけど、そういう意味でのすきなのか自信がもてなくて、すきだけどこういう場面でいうすきと言うとなんだか違う意味で捉えられそうでうそになりそうで、言える自信がない。


・4度目の旅行時

(中略)

触れられるのは多少痛かったりもするけど嫌ではないなというのはわかってよかった。ただ、くっついて一緒に寝るだけで私は満足だなぁとも思ってしまう。


以上。

旅行前はいつも、漫画喫茶や図書館や男女共同参画社会センターに行って本や漫画を読み漁っていた。経験や知識がないから怖いのかもしれないと思って、小学生〜大学生の各年代向けの性教育の本や団塊の世代向けの本、どうしてしたいと思うのか感情を知りたくて、恋愛小説や少女漫画、レディコミなどのそういうシーンがある創作物ばかり読み漁った。両方合わせたら100冊は下らないと思う。性格的な面もあるとは思うけれど、今となっては、そこまでしてる時点で無理してるんだよ…とわかる。

私は最中の、これが一体何になるのだろうという虚無感がトラウマで、自分からしたいと思えることはきっとないのだろうな、と思っていたのだけれど、読み返してみたら、プライベートゾーンの肌が触れることへの拒絶感はなかったんだな、と気付いた。今の自分が思い込んでいるよりも、意外と許容範囲は広いのかもしれない?うーんでもやっぱり、したいと思えないな。





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