初めての 診療報酬改定レポート12
8月4日中央社会保険医療協議会 総会(第485回)の忘備録 抜粋 主な論点と議論
こんにちは!須藤です。今回は歯科の論点だしがメインの議論でしたが、費用対効果評価における企業側からの意見陳述や話題のレムデシベルの薬価収載など盛りだくさんの内容でした。
また会議の最後にもと従業員の薬剤師による抗がん剤窃盗事件についても触れられました。委員の意見にあるように転売できる環境が問題だと思います。
が、考えてみれば私が新入社員の頃は半ば公然とブラックマーケットが存在していました。(当時は臨床用製剤サンプルが自由に?添付可能な商習慣でした。それを現金化するとの噂も・・)偽薬問題があった後も、何も変わらなかったということですかね?勿論違法に薬剤を持ち込むことは犯罪ですが、市場として存在が成り立つこと自体は自由経済なのでしょうね。複雑な思いがします。
〇費用対効果評価専門部会(第55回)
*業界からの意見陳述
・日本製薬工業協会:費用対効果の活用は新薬の価値評価の補完的役割として限定される。枠組み変更は時期尚早である。比較対象薬は最安価の品目ではなく汎用薬品が原則。効能追加時の取扱いとして最低9か月は必要。薬価反映については薬価算定と費用対効果検証は観点が違い、有用性加算は否定されないと考える。費用削減→ドミナント時の評価も必要である。
・PhRMA(米国):費用対効果検証は保険償還の判断では使わない。HTAの導入国では薬剤へのアクセスが制限される場合がある。企業分析期間は分析前協議とは別途で6か月必要。透明性確保について議事録と専門家同席が必要と考える。効能追加時の取り扱いは費用対効果評価の対象外とする。
・EFPIA(欧州):HTAの仕組み見直しは時期尚早で運営面の改善必要である。臨床的視点として臨床家を関与させ臨床実態を反映させる。費用対効果以外の価値を評価するアプレイザル必要。議事録と透明性必要である。
・日本医療機器産業連合会:今まで費用対効果検証の実績は無いが医療機器の特性に配慮した分析を望む。基本的枠組みには賛同する。医療機器の特徴として①RCT少ない②被験者数少ない③低侵襲の利点は消失するためICERだけでは評価できない等がある。臨床専門家の参画と分析期間の配慮を要望する。
*委員側意見
・分析期間の重要性は理解するが標準的期間を遵守してほしい。分析前会議で未合意のまま費用分析に入っているのではないか。臨床専門家の参画で合意問題は解決するのか。臨床専門家の企業推薦はバイアスがかかる可能性があり問題である。合意すれば不服陳述機会は1回でよいか。ドミナント時は引き上げ調整もセットで考える。
○医薬品の新規薬価収載について
・レムデシベル:薬価収載 63342円。自己負担分は公費負担とする。当面は現在市場にある在庫を優先し、時機を見て薬価品に切り替える。
・オフェブカプセル:市場拡大再算定の要件に該当。4440.8円→3968.9円
○歯科医療(その1)について
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000816087.pdf
・2号側意見:周術期との情報共有ができていない地域も多い。歯科と医科は薬剤中止情報等の連携が必要で、在宅についても同様である。情報提供料算定実績をみると、医科→歯科は 90000件に対し歯科→医科 1700件に留まっている。
・1号側意見:コロナ特例的対応は効果検証必要である。感染防止には十分対応しており重複しているのではないか。かかりつけ強化型診療所は約10000軒算定されているが国民には見える化されていない。施設基準の見直しが必要ではないか。治療型から治療管理型への変遷必要。歯科矯正治療のデータを取り、有用であることが判明すれば保険カバーも検討する。
・その他:今般発生した調剤薬局での抗がん剤窃盗事件について。管理体制はどうなっているのか。発注・納品体制は。そもそも転売できる環境が問題である。信頼が失墜しており、薬局運営の方策の見直しが必要。