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【試薬検討をしてみよう!プロトコル案公開】学会発表や論文作成の第一歩

割引あり

検体検査を担当している技師(特に生化学・免疫血清学検査)が、学会発表や論文作成のために試薬検討を行うことは多いのではないでしょうか。

今回は実際にどんなことをしているのかお話しします。
是非覗いてみてください👀

試薬検討の妥当性評価

試薬検討とは、新しい分析機器や新しい試薬が入った際などにその試薬の性能を確認する為に行う評価方法です。
妥当性評価(バリデーション)と呼ばれます。
代表的な評価方法を下記に示します。

1.室内再現精度試験(日差再現性)
2.併行精度試験(同時再現性)
3.希釈性能試験
4.感度試験
5.共存物質の影響試験
6.検体の保存安定性
7.相関性評価

室内再現精度試験(日差再現性)

同一施設で測定日・測定者・測定機器などを変えて測定する場合の精度のこと。
1日の間に生じる日内変動と、日が変わることで生じる日間変動の2種類があります。
最も多いのは測定日を変えて測定する方法で、
同じ測定を複数日かけて測定します。

併行精度試験(同時再現性)

短時間同一条件下(測定者、試薬、機器など)で測定する精度のこと。

例)新しい試薬名 A試薬とする
室内再現精度試験
A試薬を用いて12回(午前と午後)10日間検体を測定する。
併行精度試験
A試薬を用いて、連続で検体を10回測定する

測定後はそれぞれ
結果の平均標準偏差(SD変動係数(CVを求めます。

希釈直線性試験

検体を希釈測定し、測定値がどの測定範囲で、直線性が得られているかを確認する方法。
通常、高濃度と低濃度の2濃度測られます。
最小二乗法による回帰式(y=a+bx)、相関係数、残差平方和等を求めます。

例)5000U/Lまで直線性が認められる

感度試験

検出限界(LoD
試料に含まれる物質の検出可能な最低の量又は濃度のことです。
つまりブランク(0)と区別できる最低の量又は濃度です。
検出限界では定量できるとは限りません。

定量限界(LoQ
試料に含まれる物質の定量が可能な最低の量又は濃度のことである。
つまり数字で表すことのできる最低の量又は濃度です。

定量限界 > 検出限界

干渉物質の影響試験

干渉物質とは測定値を変化させる可能性がある目的成分以外の成分のことを言い、測定誤差を検討するために行われる試験です。

【干渉物質】
ビリルビン、混濁、溶血、
薬物・凝固剤の影響

自家調整の試料を用いるか、干渉物質試験専用のキットが市販されています。

検体の保存安定性

検体の保存条件と温度が検査結果にどのような影響を与えるか確認する為に行う試験です。
検体検査をしていると医師から「追加検査出来ますか?」と依頼を受けたことがあるのではないでしょうか。
追加検査に根拠を持って対応するために検体保存の安定性を調べることは必要になります。

方法
検体採取直後の測定値と
室温(25°C
冷蔵(4°C
凍結(-20°C-40°C-80°C
各種温度で検体を一定期間(数時間~数日)保存した後の測定値を比べ、経時的な変化を確認する。

相関性評価

新しい試薬や新しい測定法に変更になる際、古いモノと新しいモノの測定値を比較し、変更後に影響がないかを調べます。
その為に多数の患者検体を用いて測定法や、試薬を変えた前後のデータを比較します。

患者検体は50件以上が望ましいとされています。
相関係数(rより相関関係を判定します。

例)A法とB法は相関関係にある

参考書

バリデーションの参考書を添付しています。
私の説明より詳しく書かれていますので、ぜひ読んでみてください!

プロトコル案公開

検討する前に充分な量の検体を確保する為に、事前にプロトコル(計画書)を立てておく必要があります。
下記に私が試薬検討をする時に基礎としているプロトコルを記載しています。
是非参考にしてみてください!

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