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メールアドレスには、その人の物語が詰まっている。

メールアドレスには、その人の物語が詰まっている。

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今は昔、メールと電話が主な連絡ツールだった。
今日はその時代に青春を捧げていた時の話をしよう。

わたしが初めて携帯電話を持ったのは小学4年生のとき。
一人っ子かつ女の子、ということで何があっても大丈夫なように学歴を担保しておきたい、という祖父の意向で塾に通うことが決まった際に買ってもらったのがはじまりだった。
親と一緒に買いに行ったわけでなく、プレゼントのように渡されたため、あらかじめすべての設定はされており、もちろん、メールアドレスも「名前と誕生日の組み合わせ」といういかにもテンプレのようなメールアドレスであった。

それから時は経ち、中学2年生になった。
無事に中学に受かり、クラスにも慣れてきた頃。
初めて彼氏ができた。

(「彼氏ができる」という表現は、生み出したみたいでなんだか可笑しい。)

確か、この頃に機種変更をして、メールアドレスを変えたと思う。
「メアド変更しました☆」という連絡をしていたのが懐かしい。

中学生にもなると周りも色づく。
そんな中、当時、メールアドレスに含まれる単語や数字にも流行りが存在していた。

「love、xx、xoxo、記念日」などなど。
この辺の単語がやたら多かった気がする。
ちなみに、記念日をメールアドレスに使うと、別れたらメアド変更、付き合ったらメアド変更をするため、何かあったんだなとすぐに察することができた。
この文化、今思うと面白い。
あ、でも、なんだかインスタグラムやツイッターに恋人との写真や出来事を投稿するノリと似ている気がする。
いつの時代も何かしらで恋人がいることを表現したいのかもしれないね。

さて。
初めて彼氏ができたわたしも、この文化に乗っかりたかった。
メールアドレスで、恋人ができたことを表現したかった。
しかし、捻くれ者であるので、流行りの単語なぞ使いたくないし、察されるのは嫌なのである。
ということで、いかに分かりにくく伝わりにくく表現するか、が重要であった。

そのため、【愛 スペース 外国語】などと検索し、みんなが知らない単語を採用し、また、記念日も分からないように暗号化した。

そんな風に熟考して完成したのが、今も使っているメールアドレスである。
(とはいっても、今はラインやツイッター、gmailなどが主な連絡ツールなので使う機会などほぼほぼない)

一見するとアルファベットや数字、記号の羅列だが、実は、当時の恋愛が反映されている。

そのとき、わたしは紛れもなく恋をしていた。

このような体験があるから、今でも他人のメールアドレスを見ると、その背景を想像してしまう。

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