トローチ/サンシャイン 「メキシコは暖かい」という思い込みを捨てきれない
くもりの日は、思いのほか涼しい。
標高が高いせいなのかどうか、ここでは、日差しの有無で体感気温が大きく変わる。家の中でも、日当たりの良い部屋と、陰になる部屋では、室温に差が出る。
昨日は肌寒いくらいの日だった。ただ、家にいたので油断して、薄着で過ごしてしまった。
翌朝起きると、のどが痛い。
やれやれ。
私は未だに、メキシコが「温暖な国」だというイメージを捨てきれないらしい。
今日は、トローチを舐めながら仕事をしていた。
1つ取り出そうと、錠剤をアルミ箔の後ろから押す。パリッという小さな音がしてアルミ箔が破れ、同時に、細かな粒子が舞う。
この粉は、トローチの一部だったのか?トローチのまわりに付着していたのか?なぜ、開封された瞬間、ゆらりと立ちのぼる?
ふと、スピッツの曲、「サンシャイン」を思い出した。
すりガラスの窓を あけた時に
よみがえる埃の粒たちを 動かずに見ていたい
20年以上前にはじめて聞いてから、この部分がずっと耳に残っている。
「埃の粒たち」というと、なんだか、その一粒一粒に名前でもあるみたいだ。
ホコリなんて、普通は見向きもされない、つまらないもの。でも、それを「動かずに見ていたい」。
これは私が勝手に広げたイメージだけど、それは、流れる時間に逆らいたいような、自分のまわりだけ時間を止めようとするような気持ちだと思う。
曲のタイトルは「サンシャイン」で、歌詞には「白い道」とか「夏の花」とか、光を想起させる言葉がある。そういえば、微細なホコリを目に見えるよう浮かび上がらせるのも、光である。
光があれば、メキシコも暖かいのだが。